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金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

戦争がコワイので、こんな本を読んだ

  1. 2019/01/13(日) 17:43:33_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
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ほんとうに何回も書くけれど、わたしが世の中で一番怖いものは、戦争だ。
戦争は、考えつく限りの絶対悪の集合体だ。
昨年も、何冊かの戦争にまつわる児童書を読んだ。

何度も小学校で読み語っているのが、この絵本。
『キンコンカンせんそう』
ジャンニ・ロダーリ 作 ペフ 絵 アーサー・ビナード 訳 講談社

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 戦争を続ける二つの国。大砲を作るために、教会の鐘まで供出させるが、
その大砲をぶっ放すと・・・。ロダーリのユーモアたっぷりのトゲトゲが小気味よい絵本。
キン! コン! カン! が読者の耳に鳴り響くこと間違いなし。

こちらは、昨秋の読書会で取りあげた、高学年から中学生向きの本。
『ファニー 13歳の指揮官』
ファニー・ベン=アミ 著 石川えりこ 絵  伏見 操 訳 岩波書店 

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フランスで暮らすユダヤ人の少女、ファニーの戦争体験の実話。
ユダヤ人迫害の手が迫るなか、子どもたちは集団でスイスへ逃がしてもらえることになり、
危険な旅が始まる。しかし引率の青年が逃走、
13歳のファニーが、急きょ子どもたちのリーダーに。子どもたちだけの逃避行が待つものは――。
『少女ファニーと運命の旅 』という映画にもなった作品。
「しっかりしなくちゃ」と、恐怖と涙をこらえて、子どもたちを率いるファニーの姿が凛々しい。

『ある晴れた夏の朝 』小手鞠 るい 作 タムラ フキコ 絵 偕成社

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 主人公はアメリカの高校生たち。
ヒロシマ・ナガサキに落とされた原子爆弾は、
かの戦争の終結を早めたという肯定派と、まったく人道に反するという否定派にわかれ、
ディベートをくりひろげる。
真珠湾攻撃、日中戦争、ナチズム、人種差別など、
多方面から繰り出す高校生たちの弁の真摯さ、見事さ。
原爆という人類最大の負の側面を学ぶ決定版といえるだろう。
それにしても、広島の慰霊碑に刻まれた「過ちは繰返しませぬから」を、
英語圏ではそんなふうに解釈される危険性があるとは! びっくりだった。
 
『マレスケの虹』 森川成美 作 Re゜絵 小峰書店

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第二次世界大戦期のアメリカ・ハワイで、日系二世の少年マレスケに戦争の影がのしかかってくる。
アメリカ国籍を持つマレスケと兄、あくまでも日本人として生きようとする祖父。
マレスケたち日系人二つの国のあいだで揺れ、波にたたきつけられていき・・・。
ずしりと重い内容ではあるが、筆者の端正で行き届いた文章により、
読後感は透明で、心強く未来を感じさせてくれる。

最後に、絵本作家さん61人によるメッセージ画集を。
『戦争なんか大きらい! 絵描きたちのメッセージ』子どもの本・九条の会 著 大月書店

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 画家さんたちの平和への思いの詰まった絵が見開きの片側に、
もう片側には日本国憲法の条文を掲載。
画家さんには、和歌山静子さんや田畑精一さん、故かこさとしさんはじめ、
日本を代表する絵本作家さんがずらり。
その顔ぶれだけでも、唸ってしまう。
内容の一例をあげれば、ささめやゆきさんの銃をかまえる兵士の絵には、
「その銃の先にはほんとうに敵国はあるのか」という問いかけが。
大人と子ども、いっしょにページをめくって、話をしながらながめてほしい一冊だ。



この一瞬を

  1. 2019/01/06(日) 13:37:03_
  2. 金亀のひとりごと
  3. _ tb:0
  4. _ comment:2
2019年になり、もう一週間。
今年は、初孫のえむちゃん、ママパパと共に年越しをした。

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えむちゃんは10か月児。なにをしてもかわいい。
たまにしか会えないけれど、
ママパパがせっせと画像映像を家族アルバムアプリに投稿してくれるので、
成長ぶりがリアルタイムでわかる。

それらを日々ながめていると、
息子たちの子育て期が悔やまれてならない。
デジカメもスマホもない時代とはいえ、
写真がすごく少ないのだ。
そのころは、「このかわいい一瞬を残したい」と、
あんまり考えていなかったのだろう。
ちゃんとミルクを飲ませ離乳食を食べさせること、
ちゃんと時間通りに寝かせること、
そんなことで日々追われていたような気がする。
もっと大事なことがあったのに。

この子の、この日は二度と来ない。
だから、今、かわいい!と感じたこの瞬間を慈しもう。
そんなふうに赤ちゃんとの時間を楽しめばよかった。

今さらだけど、息子たちにゴメンナサイ。

その分、えむちゃんのこの一瞬を、楽しもう。
・・・そうか、孫がかわいいって、子育てリベンジの意味もあるのね。

次に会う時には、えむちゃんはもうあんよしているかもしれない。
このかわいいハイハイ期も、終わってしまうんだな。
両手いっしょに、バンバン何かをたたくしぐさも、
おもしろいかっこうでミルクを飲むのも、
見られなくなるかもしれない。

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                                      トイレットペーパーの芯で遊ぶえむちゃん

そう思ったら、えむちゃんが帰っていくときに、
ガラにもなくウルッときてしまった婆でした。


埼玉で地獄を見た!

  1. 2018/12/30(日) 15:46:49_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
  3. _ tb:0
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地獄を見てきた。

近所の文学館で「古典文学講読講座 埼玉地獄案内
~古典作品からみる人々の生活と思想」(全四回)を受講していたのだ。
古代、中世、近世の「地獄と閻魔」が、
当時の日本人にどんな影響を及ぼしていたのか、という講座だった。
講師は、明治大学の先生、田村正彦氏。
『古事記』『日本書記』から『日本霊異記』『往生要集』、
『太平記』『大日本国法華経験記』などなど、
ふだん目にすることのない、た~くさんの文献を集めて、解説してくださった。

地獄って、おもしろい。
古代は死後の世界は「黄泉の国」であったのが、
仏教の広まりとともに地獄思想が定着した。
お坊さんの読み解く地獄絵図が、民衆をビビらせ、
臨死体験して三途の川を渡って地獄を見、生還した人の「地獄めぐり」の話が
リアリティたっぷりに語られていた。
時代が新しくなるにつれて
「嘘つくと地獄で鬼に舌を抜かれるよ」的なしつけや脅しの効果は薄れ、
地獄めぐりのパロティの笑い話が登場、
地獄の沙汰も金次第、という文言も出てくる。
だんだん、地獄の権威が薄れていくわけだ。

これは、タイで葬儀の時にお棺に入れるお札。田村先生からのプレゼントだ。

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あの世で、係官に渡すためのものらしい。
中央に閻魔様の絵。「冥都銀行 拾億圓」だって! 
どこの国も、地獄の沙汰も金次第なのね~。

地獄は女性に酷い。女なら100%地獄行き、と定められていたそうだ。
ひどすぎ~。
逆に、オトコの地獄で笑えるものもある。
刀葉林(とうようりん)という地獄だ。
木の上に、艶やかに美女が微笑んでいる。
鼻の下をのばし、うへうへと登っていくと、葉は鋭い刃物になっていて、
血がダラダラ・・・。マッタク男って。

興味を惹かれたのは「奪衣婆」。
三途の川で、死者の衣をはぎ取るお婆様だ。
衣の重さで、現世での罪の重さが計れるのだそうだ。
奪衣婆の像は、全国にいくつもあるらしい。

田村先生所蔵の奪衣婆と地獄絵図

    DSC_0466.jpg
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地獄を、日本人はいつまで信じていたのだろう。
大・水木しげる翁は子どものころ、近所に住む「のんのんばあ」に連れられ、
お寺の地獄絵図を見に通っていたそうだが。
わたしが子どものころは、「地獄で閻魔さんに」的な脅され方をした覚えはないし、
そんな話をしたこともない。
でも、地獄はあると信じるも自由だ。
特に、物語の世界ではね。

三途の川、奪衣婆、といえば、これがおもしろかった。
『三途の川で落としもの』西條奈加 幻冬舎 絵 Nao

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橋から落ち、意識を失って三途の川にやってきた六年生の叶人。
出会ったのが、「ダツ・エ・ヴァ」だ。
ゲームのキャラのような派手なローブ姿、黄緑色の瞳に金髪で登場する。
このいでたちは、叶人が「ダツエバ」という音だけで頭に浮かんだイメージが
具象化した、ということらしい。
叶人は三途の川の“渡し守”を命じられ、死者の未練を叶えてあげるはめに――。

地獄めぐりの絵本といえば、これ。
『じごくのそうべえ』たじまゆきひこ著 童心社

           そうべえ

上方落語『地獄八景亡者戯』を元にしたロングセラー絵本。
綱わたりの最中に、綱から落ちてしまった軽業師のそうべえ、
山伏や歯ぬき師、医者といっしょに地獄へ。
軽妙な大阪弁で語られる地獄めぐりの物語だ。
さて、そうべえは生き返るのかな? 

地獄をすみっこまでたっぷり楽しみたいなら、
『鬼灯の冷徹』1~ 江口夏実 講談社 

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広大な地獄でハードワークに励む獄卒(鬼)であり、
閻魔大王第一補佐官である鬼灯の物語。
いろいろな地獄や現世との関わりがブラックに楽しく味わえる。

2018年最後のブログが地獄の話というのも、意味があるようなないような。
ともあれ、2019年も金亀苑を開いていただけましたら、幸甚に存じまする。


昭和の「クリスマスの思い出」

  1. 2018/12/23(日) 17:35:08_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
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昨日は、今年最後の読書会だった。
テキストは、『クリスマスの思い出』トルーマン・カポーティ。
 (村上春樹訳、山本容子銅版画、文藝春秋)

   クリスマス

7歳の少年と60代の従妹、そして犬のクィニーが、「友だち」として一緒に暮らし、
クリスマスを迎える。
なけなしのお金をはたいてフルーツケーキを焼き、
秘密の森からモミノキを伐り出し、プレゼントは手作りの凧。
少年は、子どものままの年をとったような従妹と、
かけがえのないクリスマスを過ごす。
暖炉の薪の香りや、冬の草はらの匂い。
読み返すたびに、しんと胸に染み渡る物語だ。

子どものころ、ケーキを食べると気持ちが悪くなった。
うなずく人も多いだろう。
昭和30年代から40年代に売られていた、
安物のマーガリンを使ったバタークリームのケーキだ。
だからだろうか、ある年のクリスマスに、
小さなデコレーションケーキ型のアイスクリームを買ってもらえた。
小学校一年生のときだ。

父は、クリスマスシーズンからお正月にかけて、毎年帰宅が遅かった。
なんのことはない、郵便局勤務だったから。
父のいないクリスマスイブに、母と姉と三人で、アイスクリームをどっさり食べた。
寒い季節だし、残念ながらたいしておいしくはなかった。
ド庶民であったので、クリスマスプレゼントも、わーい、と喜ぶようなものではなかったと思う。
なんとなく盛り下がっている姉とわたしを見かねてか、
母がその年に流行った「幸せなら手をたたこう」を歌おうといいだし、
わたしたちは、ちょっと照れながら、ぼそぼそと歌った。
三人だけで、しかも伴奏もなしに歌う歌は、かえって物寂しさを連れてきた。
――おとうさんがいたらよかったなあ。
わたしは実のところ、生まれて初めて、そう思った。
無口で愛情を表すことがなく、遊んでくれたこともない父は、
気ぶっせいな存在であり、いつもはいなくてもまるでへっちゃらだったのだ。
でも、このときのクリスマスは、
やっぱり家族そろっていたほうが楽しいかも・・・と思わせるものだった。
――そうか、おとうさんがいないのは、働いているからだった。今、この時間も。

「おとうさんありがとう」とまでは、考えはしなかった。
けれども、そのときに胸にひとすじ、ほんのひとすじ差し込んだのは、
たしかに敬虔ともいえる思いだった。
そう、クリスマスにふさわしいような。



新刊、出ます!「マイヤ・プリセツカヤ たたかう舞姫」

  1. 2018/12/16(日) 17:11:53_
  2. 金亀からのお知らせ
  3. _ tb:0
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新刊、出ます!

マイヤ・プリセツカヤをご存知ですか?
ロシアが誇る、世界的バレエダンサーです。
日本に何度も公演に来ているので、観た人も多いのでは。
新刊は、そのマイヤさんの伝記です。
『マイヤ・プリセツカヤ たたかう舞姫』
(絵・城咲綾 監修・村山久美子 学研プラス)
12月18日発売です。

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マイヤさんは、旧ソ連のスターリン時代に生まれ、
戦争も体験し、数々の辛酸をなめてきた方。
バレエダンサーとしての活躍の陰に、
暗く巨大な圧力に抵抗してきた歴史があります。
まさに、戦う舞姫。
どうか、マイヤさんのファンのなってくださいね~。

ということで、昨日は、自分にご褒美を。
東京バレエ団の公演、ベジャール振り付けの
「サ・カブキ」を観てきました。
「仮名手本忠臣蔵」のバレエ化です。

       181205kabu_09-508x720.jpg

えっ、忠臣蔵?と思われた方も多いでしょうね。
ハイ、忠臣蔵です。切腹のシーンなども出てきます。
そう、バレエって、ものすごく「演劇性」があります。
マイヤさんも、人間の感情で踊りで表現できないものは、何ひとつない、
ということを語っておられました。

歌舞伎の所作や日本人体型?を活かした男性ダンサーの踊りには、見惚れます。

マイヤさんが、この作品を踊った記録はないけれど、
日本びいきのマイヤさんですから、もしかして「観世御前」役
(実際の忠臣蔵では、浅野内匠頭の奥方)を
踊りたかったかもしれませんね。



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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
イラスト:大塩七華
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)『となりの猫又ジュリ』(国土社)『クレオパトラ』『マイヤ・プリセツカヤ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師

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