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金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

物語センスのある天才ちゃんたち

  1. 2023/11/20(月) 17:31:12_
  2. 児童書のぐるり
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昨日は、神保町の出版クラブで、
「おはなしエンジェル子ども創作コンクール」の
授賞式がありました。
このコンクールは、子どもたちに
物語創作の楽しさを体験してもらうため、
2000年に創設されたものです。
残念ながら、今回を最後に幕を閉じることになりました。
わたしが選考委員として関わったのは、
10数回かな?
子どもたちが創作したお話を読ませてもらえる、
得難い時間でした。

最後の授賞式。

   授賞式


 出版クラブ
  いつもわくわくする、出版クラブのロビー。

幼稚園の年中さんから中学三年生まで、
受賞の子どもたちの晴れやかな緊張が伝わってきます。
全員に「どうしてこのおなはしを創ったか」を
話してもらうのですが、それが楽しいの!
小さな子が、何度も親御さんたちの前で練習したのでしょう、
一所懸命に話してくれます。
「しゃっくり出るのが好きなので、考えつきました」
「このお話は、塾や習いごとに行くときに、
ばあばがいつもアメを口にいれてくれるので、
思いつきました」
ね、読みたくなるでしょ?
 選考結果はこちらから

子どもたちの物語、すごく上手です。
活字離れ、読書離れなんて、どこの話?と思えるほど。
これはもう、天才レベルかもしれません。

幼児・低学年の部では、発想が新鮮で
大人では思いつかないようなお話がたくさん。
中学年・高学年の部では、
きちっと構成されたお話が、
工夫された文章で書いてあります。
中学生の部では、
悩み多い胸のうちや、人類の不穏な未来などが、
ちょっとシュールな文章で書かれていたりします。

そして、センスのいいお子さんが多い!
おもしろい物語を生むには、
着想のおもしろさとストーリーの巧さ、
文章のうまさは不可欠ですが、
それだけじゃ足りないんですよね。
それらをまとめるのが、
「物語センス」というものではないかと思います。
これは、大好きな物語があって、
それを繰り返し読むことで
血肉になって培われるのではないか、という気がします。

この賞がなくなるのは残念だけど、
子どもが応募できるコンクールはほかにもいくつかあるので、
書き続けてほしいなあ。



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童話の講座、始まりました!

  1. 2023/06/04(日) 15:19:56_
  2. 児童書のぐるり
  3. _ tb:0
  4. _ comment:2
さいたま文学館主催の、
「童話を書いてみよう 
子どもたちの心に寄りそう物語をめざして」
という創作講座が、6月1日から始まりました。
四回の連続講座で、途中で全員に作品を提出してもらいます。
不束ながらわたしが講師・・・(^-^;

OIP.jpg
    さいたま文学館(画像は同館HPよりお借りしました)

わたしも、もうイイ年なわけで、
講師を務めたり
童話サークルで講評したりすることが
増えました。
そういうときにいつも思うのですが、
ああ~~~、わたしはなんと
自分を棚に上げていることか!と。
そう、よーく知っている自分のふがいなさ、
それをいつも高―い棚にあげております。
でないと、ひと様にえらそうに話したり、
大切な原稿を読ませていただいて
ああだこうだと講評したりする勇気は、
とても湧いてこないわけで。

受講生のみなさんに、
こんなヤツですみません、
と心の中であやまりながらの講座です。

   令和5年度文学創作講座

それでも、児童文学に関わってきた時間だけは長いんです。
書くだけではなく児童書専門店でのバイト歴や、
絵本の読み語り歴、
児童書主体の読書会歴(これが一番長いな)なども
たっぷりあります。

そうだよ、自分! 
いろいろやってきたんだから、
自信を持てよ! 
と励ましながらの四回講座です。


日本の童話を世界に広める心意気!

  1. 2023/05/20(土) 14:17:07_
  2. 児童書のぐるり
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
日本児童文芸家協会の
「児童文化功労賞・協会賞・新人賞三賞贈呈式」が、
19日(金)に、東京・千代田区の
出版クラブにて開催された。

 出版クラブのロビー。いつ見ても素晴らしい。
出版クラブ

今年の受賞者は、
児童文芸家協会賞 『スクラッチ』歌代朔さん あかね書房

スクラッチ

児童文芸新人賞 『星屑すぴりっと』林けんじろうさん 講談社

星屑すぴりっと

特別児童文化功労賞
 矢部美智代さん(児童文学作家)
児童文化功労賞
 黒井健さん(絵本画家・イラストレーター)
 寒河江信さん(前ひろすけ童話賞委員会委員長)

 矢部美智代さんは、『雨あがりのウエディング』(講談社)や
『かげまる』(毎日新聞社)などで知られる作家さん。
昨年、惜しまれながらご逝去された。

かげまる

黒井健さんは、その絵を見ると「ああ! この画家さん!」と多くの方が
わかるにちがいない絵本画家さん。

こずずめとゆき

『こすずめとゆき』深山さくら・文 (佼成出版社)なんて美しい・・・。

そして、寒河江信さん。
「ひろすけ童話賞」の創設者だ。
この賞は、『泣いた赤鬼』で知られる浜田広介の名を冠しているのだが、
主催は山形県の高畠町というところ。
その地は浜田広介の出身地であり、
浜田広介記念館」という木の香漂う素敵な施設がある。
高畠町は「ひろすけ童話の町」なのだ。

ひろすけ記念館
画像は、同記念館HPよりお借りしました。

童話には、その地方のイメージを決める力がある。
一国のイメージをも左右するといってもいいだろう。
スイスといえば、「ハイジ」。
イギリスといえば「アリス」、そして「ハリー・ポッター」。
カナダは「赤毛のアン」、
フィンランドは「ムーミン」というように。

高畠という山形県の町が、
記念館を創り全国区の童話賞を創ったというのは、
とても意義のあることと思う。
実際に「ひろすけ童話賞」受賞作は、名作ぞろいで、
賞の値打ちも年々高まっているのでは。
2022年度は『だいじょうぶくん』魚住直子(ポプラ社)
 これもとってもおもしろい!

 だいじょうぶくん
だから、今回の児童文化功労賞は、
日本の童話の値打ちを全国へ、そして世界に知らしめる、
その心意気に対して贈られたもの、とわたしは思う。

おめでとうございます!



子どもの文章を「聞く」こと

  1. 2022/11/28(月) 17:07:39_
  2. 児童書のぐるり
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
昨日、「おはなしエンジェル子ども創作コンクール」の
授賞式が開催された。
       
   DSC_0705.jpg

 会場の出版クラブのロビーの壁面。本って美しいね。

選考委員のはしくれであるわたしも、出席させていただいた。
このコンクールは、2000年の子ども読書年を記念して創設された
子どものための童話コンクールで、
幼児・小学校低学年の部、
小学校中学年・高学年の部、中学生の部、の
三部門がある。
幼稚園児からも応募もあるわけで、
年中さんや年長さんが、小さな手で原稿用紙に
いっしょけんめい書いた作品を拝めるってことなの!
役得ですな。

コロナ禍で、昨年はリモート授賞式だったから、
リアル授賞式は、2019年以来のこと。

    おはなしエンジェル2022

受賞者は年中さんから中学三年生まで、22名。
出席の子どもたち、緊張して受賞者席に座っている姿を
目にするだけで泣けるなあ。
みんな賢そうに見えるなあ。

式の後半で、最優秀賞の作品の朗読があった。
幼児・低学年の部『妹のぬけがら』(深谷馨音さん・小2 作)を、
選考委員の光丘真理さんが、
中・高学年の部『神様ロボット』(柴田更紗さん・小6 作)を
同じく選考委員の押川理沙さんが、朗読してくれた。

朗読のお二人の上手さは先刻承知していたが、
作品のおもしろさに改めてワクワクした。
もちろん、選考時に何度も読み、
授賞式前日にもう一度読み返していたが、
耳で聞くと、さらにおもしろさがアップしたように感じた。
声に出して読んでもらうために書いたのかな、
と思ったくらい。

世の中にはそういう文章もたくさんある。
口承文芸とか、演劇の台本とかね。
もしかしたら、子どもの文章もそれに近いのかな。

子どもたちの文章というのは、大人の文章よりもずっと、
音声によって力を発揮するのかもしれない。
大人は音声化の過程を経ずに、目→脳で読む、
脳→PCを打つ→目で確認して書く、という場合が多いけれど、
子どもの文章は、大人のそれよりも「声」に近いだろう。

そう思うと、子どもたちの書く文章が
さらに愛しいものに思えくる。
朝起きてから夜眠りにつくまで、
毎日新しい発見をしながら大きくなっていく子どもたち。
その時々の思いを「声」に閉じ込めて文章化しているのかな。
子どもの文章にはエネルギーが
いっぱい詰まっているってことだな。

来年の選考は、黙読ではなく音読してみるといいかもね。

このコンクールの入賞者と受賞作は、
こちらから読むことができます。
https://www.kumon.ne.jp/corporate/enterprise/angel/index.html



リアルとリモート 児童文芸家協会のイベントで

  1. 2022/05/23(月) 14:43:40_
  2. 児童書のぐるり
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
わたしが所属する日本児童文芸家協会の
各賞贈呈式(児童文芸新人賞、日本児童文芸家協会賞、
児童文化功労賞)と、
総会が開催されました。

贈呈式は、20日の金曜日、東京・千代田区の出版クラブにて、
三年ぶりの対面で行われました。 

出版クラブ
 
   出版クラブのロビー。本の森のよう。

コロナ前は、サークル交流会・総会・贈呈式・懇親会と、
一日で四つもの行事が開催されるビッグイベントでした。
いやー、正直たいへんでくたくたになりました・・・。

今回の贈呈式は、東京・神保町の出版クラブで、
ご来場者を受賞者とそのご招待者、
関係出版社に絞っての開催でした。
30名程度だったかな。

贈呈式

 右から、児童文化功労賞の村松定史さん、
 日本児童文芸家協会賞の横田明子さん、
 児童文芸新人賞のいけだけいさん、土屋千鶴さん

小ぢんまりですが、久しぶりに会えた友人、
新しい書き手さん、重鎮の作家さん、みんな笑顔でいい会でした。
横田さんの授賞挨拶には、ほろり。
こういう式典は、リアルに勝るものはありません。

総会は昨日。昨年に引き続き、Zoomによるリモートです。
わたしは司会を仰せつかったので、
緊張しまくり。
総会ですから、会員から意見が出され、
理事が答えるのは当たり前ではありますが、
司会者としては、
ややこしい質問や厳しい意見があったらどうしよう、
うまく進行できるか、どきどきです。
まして、リモートで、
どのくらい話しあえて思いを共有できるか・・・?

質問は、たくさん出ましたよ。
児童文芸家協会の事業の大改革の時期ですから。
でも、どれも前向きで真摯で温かみのある、
そして本質をつくいい意見でした。

結論。リモートでも活発な意見交換ができるもんやな。

コロナでリモートが日常に急速に入ってきて、
いろいろなことが変ったのは、世界共通でしょう。
コロナ収束後でも、この流れは止まらないかも。

リアルな集いの厚みと温度、リモートの利便性。
どちらも一長一短あって当たり前。
リアル会議にリモート参加ができるようにも
なりつつありますが、
司会者がどこまで両方に目配りできるかが、
たいへん難しいそうです。

さて、これからどんなふうに変っていくのか?
人類のアタマの使いどころですかね。






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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
イラスト:大塩七華
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)
『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)
『ミクロ家出の夜に』(国土社)
『花粉症のない未来のために』
『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)
『知里幸恵物語』(PHP研究所)
『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』
(学研プラス)
『となりの猫又ジュリ』(国土社)
『クレオパトラ』『マイヤ・プリセツカヤ』(学研プラス)
『読む喜びをすべての人に 
日本点字図書館を創った本間一夫』
(佼成出版社)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員

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