金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

ドールハウスあれこれ

  1. 2015/11/08(日) 20:55:39_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
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  4. _ comment:0
タイトルにひかれて、ちょっと変った物語を読んだ。
「ミニチュア作家」ジェシー バートン著 早川書房

無題

1600年代アムステルダム。貿易により栄えていたこの大都市が舞台だ。
裕福な商人の妻としてこの地にやってきた18歳のネラは、
不在がちの夫や、居丈高な年上の義妹にとまどうことばかり。
ある日、夫から精密で高価なドールハウスが贈られる。
(この本の表紙イラストが、ドールハウスになっている。
この時代、実際に贅沢なフィギュアが作られ、
それを富にあかせて買いそろえた大金持ちがいたのだろう)
ネラは、その中の人形が夫や義妹にそっくりであることに気づく。
その人形たちは、やがて新しい家族の悲劇的な行く末を暗示し……。
繁栄の時代のオランダの光と影が、こってりと語られている。
 
フィギュア大好きのわたしは(オタク度高し)、
わくわくしながらページをめくっていったが、別のイミでどきどき。
夫や義妹、使用人がかかえる秘密、港や街のにおいや、
屋敷のむっとするような暗い空気などが、なんてリアル! 
実際には「ミニチュア作家」のからみは少ないし、
(というか、実はドールハウスなしでも物語は成り立ってしまう)、
構成上???という部分もあったか、
濃厚でどすんとした物語を堪能した。

フィギュアといえば、切ない記憶がある。 小学校低学年だったと思う。
出かけた先で、母とともにおもちゃ屋に入った。
なにか買ってもらえる、というシチュエーションだ。
おままごとセットに目が留まった。たちまち心をうばわれた。
なんせ、そのころわたしが持っていたのは、
お祭の夜店で買ってもらった、プラスチックの安っぽいお皿やちゃわん、果物くらい。 
ま、当時はそんなもんだろう。
そのとき見たのは、今思うとフィギュアの領域だった。
精密度が違う。果物の缶詰などのラベルもホンモノそっくりだ。

ほしいよほしいよ、と鐘がリンリン鳴りひびく。
けれども、「これは高い」という、子どもらしからぬ気づかいと、
「小さくてすぐ失くしちゃいそうだ」という不安が、ほしいよの鐘を打ち消した。
「もう失くしたの!」「だからやめとけばよかったのに!」という
親の声が聞こえてきそうだ。
けっきょく、ほしいとは言い出せず、
別の何かもっと安いものを買ってもらった。

大人になった今、お気に入りのフィギュアを並べてにやにやしているのは、
あのときのガマンの反動なのかもしれないぞ。
ガマンって、良くない。 

このあいだ、浅草の江戸小玩具店でゲットした、纏と御用提灯。

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あ~、オトナっていいなあ。10分迷っただけで買える。       

今までに見たなかで、一番身もだえしたフィギュアがこれ。
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金沢兼六園成巽閣に展示されている、前田家のお姫様のお嫁入り道具のなかの雛人形セット。
「梨子地梅鉢紋唐草蒔絵雛道具 三棚」百五十年以上前のものだそう。
金蒔絵に螺鈿がちりばめられた精密な芸術品。紅筆なんて、5ミリくらいでした。
画像は、成巽閣HPからお借りしました。

「人形の家」古典名作。ゴッテン・著 岩波書店

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 人形たちのそれぞれの「人生」の重みと、運命に立ち向かう姿に胸を打たれます。

「引き出しの中の家」朽木祥・著 ポプラ社

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 引き出しの中につくった、ウサギの人形のための家。
女の子も「女子」も胸キュンしながら、時を旅できます。

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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師
イラスト:なかむらしんいちろう

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