金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

“好き”を伝えるノンフィクション

  1. 2015/10/18(日) 15:55:35_
  2. 金亀のひとりごと
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十七日土曜日は、こっぱずかしくも、講演会の講師を務めた。
埼玉の北の町、児玉郡上里町の図書館からお招きいただいたのだ。

ここは小麦の産地であり、また日本女性初のパイロット、西崎キクさんの出身地でもある。
昭和51年のNHK朝ドラ「雲のじゅうたん」の主人公だ。

さて、今回わたしに与えられたテーマは、ノンフィクションの自著について。
ひえ~~! ノンフィクション物語はいくつか書いてはいるが、
とても人に語れるほどの実績はない。
そもそも、自作について述べるのは、とても苦手だ。
困ったなあ、とイジイジしていたら、館長さんが素敵な演題を考えてくださった。
「ノンフィクションの魅力 “好きを伝える”」でいかがでしょう? と。

これ、いいね! 

自書の「マタギに育てられたクマ」のあとがきで、わたしはこんなことを書いている。

この本を書くにあたって、まったく自信がなくて、まるで筆が進まずにいたとき、
「マタギの文化を好きになったわたし、その“好き”を伝えよう」と腹をくくった、と。

館長さん、その言葉を掬いあげてくださったのね!
うれしいなー。

これで気持ちが楽になった。ノンフィクション物語を書くにあたって、
取材や資料から浮かび上がってきた人物や出来事の、どこが好きで
どういうふうにその思いを組み入れたか。
そんなことを中心にお話ししてみよう、と思った。

例えば、学研教育出版の「感動する仕事! 泣ける仕事!」第2期4巻、
「この瞬間、救える命があるのなら…」

         無題

わたしは、消防庁のハイパーレスキュー隊員さんの物語を書かせていただいた。
災害や事故の被害者を救いだすプロフェッショナルだ。
取材のとき、わたしはこんな質問をした。
「救助のとき、一番大切なことはなんですか?」
たぶんわたしは、「勇気です」とか「絶対に救い出すという信念」という言葉を期待していたのだと思う。
ところが、返ってきた言葉は、「無事に戻ることです」。

目からウロコとはこのことだ。
レスキュー隊員が、「絶対に救いだすという信念で」「勇気をふりしぼって」
「我が身の危険をかえりみず」に行動したら、殉職の山だ。
訓練された隊員さん一人のけがは、救いを待つ十人、百人の人の命の危機を招く。

そこでわたしは、この物語の冒頭の小見出しを、
「無事に戻るのも任務」とし、文中に
「気負ってはならない。自分が助からないと、火を消し止めることも人を救うこともできない」と綴った。

ああ、好きだな~、こういう思い。
自己犠牲などというヒロイックな思いでは、人を救い続けることはできないのだから。
(でも、日本人って自己犠牲ということば、好きだよなあ)

と、まあ、そんな話を、一時間半近く語ってきた。
こんなんでよかったのかなあ?

参加してくださったみなさま、ほんとうにありがとうございました。
館長さん、職員のみなさま、お世話になりました。
            
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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師
イラスト:なかむらしんいちろう

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