金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

何度でも語ろう

  1. 2015/07/19(日) 18:09:40_
  2. 新しいインクの匂い
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何回も書いているが、わたしが一番恐いものは、戦争だ。
今回の安保法案を国会で審議している期間、
わたしは雑誌の仕事で、太平洋戦争末期、
レイテ島の戦いから生きて戻った兵士の方から話を伺い、
小学生向きの物語にまとめていた。
自分にできることをせいいっぱいやろうと思った。

書きながら、腹がたってしかたがなかった。
太平洋戦争では、食糧や武器の補給がないがしろにされていたことは、
テレビの特集番組などから知っていた。
けれども、これほどだとは。
武器を支給されないままフィリピンに輸送され、
現地で渡されたのはアメリカ軍からの分捕り品の、
持ち運びがたいへんな迫撃砲(小型の大砲のようなもの)だったそうだ。
しかも、弾薬は二発。
これでどうやって戦えというのだ?

勝てるわけがない、愚かしい戦争だった。

いや、待て。では、勝てる戦争ならやっていいのか?
だめだろ!
愚かではない、賢い戦争ってあるのか?
ないだろ!
その思いに何度でも立ち返り
何度でも戦争を語ろう。

大ベテラン作家・詩人のこやま峰子さんの新しい絵本
「いのりの石」(絵・塚本やすし)フレーベル館
石
(この本だけ、大きい画像が見つからず、申し訳ない)

1945年8月6日、ヒロシマ。
人類史上もっとも恐ろしい「あのとき」を語るのは、
広島市内の路面電車の「敷石」だ。
敷石たちはその後、観音様の像を刻まれて、
平和のメッセンジャーとなり、世界中へ送り出される――。

文字通りコツコツと、平和への祈りを刻みつけること。
その思いを世界の人々と共有すること。
それこそが「抑止力」と思うのだが。

さて、隠し方などが戦争とよく似た構造といわれる原発問題。
まだなにひとつ解決してはいないのに、
意図的に忘れ去りたい人がいそうな気配。
これでは悲劇が何度でもくりかえされてしまうじゃないか。

「あきらめないことにしたの」堀米薫・著 新日本出版社

                  あきらめない

 原発事故で故郷を追われた、福島県飯舘村の人々。
 畑から切り離され、取り組んできた新しいじゃがいもやかぼちゃの栽培を
中断しなくてはならない。
でも、福島のかーちゃんたちは、前を向く。

「あきらめないことにした」という言葉に、
「あきらめない」よりも、
原発事故後の終わりのない苦しみと逡巡の末の決意を感じた。


語り継がなくてはならないこと、もう一つ。
「ど根性ひまわりのき~ぼうちゃん」
漆原智良・著 さくらせかい・絵 第三文明社

    きーぼう


被災地の瓦礫のなかから芽を出し、花をつけ被災地の人々を
励ました一本のひまわり。
この種が、学校で職場で植えられ、花が咲く。
種は日本中へ広がり、やがて世界へ。
それにしても、人間はほんとうに忘れっぽい。
日本中が「がんばろう」と絆を強めたあの三月は
どこへ行った?
き~ぼうの根性と太陽に向かう姿が、
それを思いださせてくれる。

語りつぐ物語、ぞくぞく誕生だ。

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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師
イラスト:なかむらしんいちろう

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