金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

機械のココロ

  1. 2015/05/17(日) 15:39:28_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
ケータイの調子が悪い。通話が聞こえないことがある。
聞こえにくいのではなく、まったく無音なのだ。
先方には、わたしの声は届いているらしいのだが。
五年以上前にゼロ円で購入したガラケーだし、もう寿命か? 
とにかく医者に、じゃない、ケータイ屋さんに相談に行った。
「そろそろ買い替え時かなとは思うんですが。次はスマホかなあ」
「そうですねえ・・・とりあえず、確かめてみましょう。
この店の電話にかけてみてください」
店員さんにいわれた番号にかけてみた。
「もしもし? あれ? 聞こえる・・・なんで~~?」
それ以来、すこぶる調子がいい。

機械って、こういうことはありませんか?
うちの電気製品、もう買い替えかなあ、というと
突然調子が戻ること。

二年前の食器洗い機買い替えの顛末は、ドラマだった。
洗浄途中で、意識を失ったように停止してしまうことが10日ほど続き、
そのたびに食器を全部取り出して手洗いをするという、
うんざり度MAXの作業を強いられていた。
ついに買い替えを決意、電気店で新品を見つくろい、
さて納入前夜。
油汚れの食器の山を前に、
「最後にもう一度、動いてくれないだろうか」と、
一縷の望みを託し食洗機に食器をセットし、
スイッチを入れてみた。
動き出した。
10分、20分、停まらない。30分、40分、まだ停まらない。
とうとうフィニッシュ!
美しく洗いあがった食器を前に、わたしは食洗機に手を合わせた。
「ありがとう! よくやってくれた!」
しかし、翌朝もう一度操作してみたら、今度こそ力尽きたようで、
電源すら入らなかった。
最後に、気高く職務をまっとうしてくれた食洗機でありました。

機械に人格を感じてしまうこと。ロボットを友だちのように思うこと。
日本人にはおなじみの感情だ。
その根っこに刷り込まれているのは、鉄腕アトムだろうか。

手塚治虫作品で一番好きなものを選ぶなら、「火の鳥 復活編」だ。

火の鳥


事故により、体の大部分を人工物で代替された若者。
その後遺症か、彼はロボットを愛してしまう。
やがて彼は死に瀕し、愛したロボットの人口脳に、
自分の記憶を注入してもらうことを望む。
こうして、人間とロボットが溶け合った「ロビタ」が誕生する・・・。

異形のもの同士の愛と融合、転生、そして滅亡。
衝撃を受けた。胸をかきむしりたいほどだった。

およそ日本のマンガ家で、手塚に影響を受けていない作家は
いないのではないか。
業田良家もその一人だろう。
「機械仕掛けの愛」小学館

機械

愛玩用の子どもロボット、介護ロボット、戦闘ロボット、神父ロボットなど、
さまざまなロボットが、人間との関係や科学のあり方に「悩み」、「孤独を感じ」、
進退を「判断」し行動に移していく。
「機械仕掛け」たちが描きだす人間の矛盾と、科学の闇は、
手塚の重厚感とは違う、軽いタッチ。
だが、さすが「自虐の詩」の作者だ。
さらりと、何度も目頭を熱くさせてくれた。
2013年の手塚治虫文化賞短編賞受賞作品。

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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師
イラスト:なかむらしんいちろう

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