金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

そっと差し出される物語

  1. 2015/03/17(火) 18:46:57_
  2. 新しいインクの匂い
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浅い春のような、すがすがしさと温かさを
同時に感じさせてくれる新刊の物語を三冊後紹介します。

ささきありさん作「ふくろう茶房のライちゃん」(佼成出版社)。

ライ

ふくろうには人の心をいやす力がある、と気がついたひかるの一家が、
ふくろうカフェを開く物語です。
読むうちに、ふくふくもふもふとした温もりが、そっと静かに差し出されます。
その自然体の空気が、実に心地よいのです。
ふくろうのエサやりのことなど、生態もきちんと押さえられていて、
生きることの厳しさもしっかり伝わります。
ありさんは、実生活でもインコちゃんと長年いっしょに暮らしていて、
大の鳥好き。その愛が、そこかしこに本のなかにあらわれています。

野村一秋さん「ミルクがにゅういんしたって?!」(くもん出版)

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こちらも、そっと差し出される物語。
なっちゃんのクラスで飼っているハムスターのミルク。
病気になって入院した、とさよこ先生はいったけれど……。
ひっこみじあんだったなっちゃんの思いと勇気が、みんなを救います。
野村さんの作品からはいつも、大人だって先生だって、一人の弱い人間。
子どもたちにその弱さを見せることを恐れないで。
子どもたちはちゃんと受け止めてくれるよ」というメッセージを感じます。

広瀬寿子さん「かぐや姫のおとうと」国土社。

かぐや

大ベテラン作家が放つ、かぐや姫伝説をモチーフとしたタイムファンタジーです。
千二百年の昔からくり返されてきた、生まれ代わりを描く壮大なロマン。
しかし、その世界は大仰ではなく、さらりと、ひそやかに差し出されてきます。
竹林から吹いてくる風と共に……。
物語の美しい佇まいに、ふるふるっと、ふるえ来るほどでした。

物語を読む楽しみは、それこそ最古の物語とされる「かぐや姫」の時代から、連綿とつづいているのですね。その末端にいられる幸せを感じました。
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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師
イラスト:なかむらしんいちろう

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