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金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

「タマゾン川」の救世主って

  1. 2014/05/30(金) 10:25:43_
  2. 新しいインクの匂い
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 タマゾン川――ニュース番組でもたびたび取り上げられた問題です。東京都と神奈川県との境を流れる多摩川は、熱帯魚などがたくさん捨てられ、まるでアマゾン川のようになっているというのです。その外来種の種類は日本一だそう。なんと、ピラニアまでいる!
 飼えなくなった魚たちを川に捨てる行為は、その魚の命に係わるだけではなく、日本の河川の生態系にとって、とんでもない結果をもたらしているのです。


   「おさかなポスト」が教えてくれること 多摩川の生態系を守る山崎充哲
     たけたにちほみ・文 佼成出版社
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 このノンフィクション物語の主人公、「山ちゃん」は、そんな魚たちを救い、川の生態系と守るために、「捨ててしまうくらいなら、ここに入れてください」という「おさかなポスト」(いけす)を設置しました。集まった魚や亀を、私財を投じて飼育し里親を募るという活動を10年近く続けています。
 生き物大好き、子ども大好きの「山ちゃん」のエネルギーや暖かさが全編にユーモラスに流れています。自然や命を大切にするということを、子どもたちはとても身近なものに感じてくれることでしょう。

 作者は童話作家のたけたにちほみさん。絵本を中心に楽しくのびのびした物語を数多く世に送り出している作者だけあって、川のほとりで気持ちのいい風にふかれながら山ちゃんのお話を聞いているような、すがすがしい気分になりました。

 自分たち大人がしたことが、子どもたちに大きな宿題をあたえてしまった。その宿題を少しでもへらしたい――その山ちゃんの思いに深くうなずきました。
 子どもたちの未来に課題を押し付ける前に、やれることはやらなくちゃね。大人として。
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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
イラスト:大塩七華
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)
『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)
『ミクロ家出の夜に』(国土社)
『花粉症のない未来のために』
『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)
『知里幸恵物語』(PHP研究所)
『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』
(学研プラス)
『となりの猫又ジュリ』(国土社)
『クレオパトラ』『マイヤ・プリセツカヤ』(学研プラス)
『読む喜びをすべての人に 
日本点字図書館を創った本間一夫』
(佼成出版社)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員

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