FC2ブログ

金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

名前の魔法

  1. 2020/05/26(火) 17:18:58_
  2. 金亀のひとりごと
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
お風呂場の床を、ナメクジが這っていた。
窓から入ってきたらしい。
ぎゃーっというほど嫌いではなく、
カワイイというほど好きでもない。
テッシュでつまもうとしたら、きゅっと固く縮こまった。
でろれーんとしている姿の、半分以下のサイズになって、
目地の小さなくぼみにすっぽりはまりこんでしまった。
まあいいかと、放っておいた。

次の日、のろりんこと、床をはっていた。
昨日のナメ太郎かな?
今度は割りばしを持ってきて、つまんで窓から外に出した。

翌日、またナメクジが来訪した。
ナメ次郎だ。
お風呂場の出窓に置いたままの割りばしで、外にぽいっ。

その後も、ナメ三郎、ナメ四郎、とやってくる。
続けてくる日もあれば、数日来ないときもある。
一日に三匹のときもある。
だんだん楽しくなってきた。
ナメ五郎、ナメ六郎、ナメ七郎、ナメ八郎。
来ない日はなんだか物足りない。
会えた日は、「やあ!でも、ここにいてもいいことないよ。お外へお帰り」と、
わりばしでつまみ上げる。
ナメ九朗、ナメ十郎。
そして、現在はナメ十四郎。
ナメ十五郎、明日は会えるかな。
ぜんぜん好きではなかったナメクジなのに。
名前をつけるってすごい。

友人のエッセイスト、山梨在住の水月さえちゃんと、数年前に都内で会った時、
彼女が手袋を忘れたまま山梨に帰ってしまったことがある。
そのときわたしが引き取りにいき、うちに持ち帰った。
次に会う時まで、預かるつもりだった。
それはそれはかわいい、ハリネズミの姿をした手袋だ。
わたしは、左右それぞれに名前をつけた。
左手が男の子で「ハリー」、右手が女の子で「ネリー」。双子ちゃんだ。
名付けたとたんに、ハリーとネリーは、おしゃべりを始めた。
「ねえ、ここはどこ?」「どこなの?」
「わたしたちのおうちより、せまいね」「せまいよ」
「空がちょっとしか見えないよ」「うん、見えないね」
「しょうがないでしょ、ここは埼玉だもん。山梨とは違うの」
「さいたまあ? やだー。ねえ、なんでわたしたち、ここにいるの?」
「なんで?」「なんで?」
 ……と、彼らのおしゃべりは延々と続く。
彼らがあんまり山梨を恋しがるので、しばらくしてわたしは車を雇って(つまり宅配便にて)、
さえちゃんの元へ送り届けたのだった。
今も時おり元気かなと思い出す。
さえちゃんがエッセイに登場させてくれるのが楽しみだ。
成長を見守る親戚の気分。成長しないけれどね。

ナメ太郎一族、そしてハリーとネリー。
「名前」って、魔法だ。

関係ないけれど、庭の薔薇。バラという名前は、茨から来ているそう。

DSC_1393.jpg

コロナ禍の今年は、散歩途中のよそのお庭の花が、ひときわきれいに見えました。

DSC_1351.jpg
スポンサーサイト





<<コロナ禍の日々に  おはなし会は三密だけど・・・ | BLOG TOP | だきしめよう、どんな時代であっても>>

comment

 
 管理者にだけ表示を許可する
 

trackback


プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
イラスト:大塩七華
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)『となりの猫又ジュリ』(国土社)『クレオパトラ』『マイヤ・プリセツカヤ』(学研プラス)『読む喜びをすべての人に 日本点字図書館を創った本間一夫』(佼成出版社)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師

« 2020 07  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR