金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

《あわい》に住むものたち

  1. 2014/09/10(水) 18:00:15_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
  3. _ tb:0
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「冬虫夏草」梨木香歩著・新潮社を読んだ。
この作は、「家守奇譚」の続編にあたるものである。
 
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作中の時代設定については、意図的にぼやかされているが、
明治から昭和の間、汽車と電燈のある頃であろう。
前作が、庭や近隣の植物にまつわる数多の不思議を淡々と綴っているのに対し、
「冬虫夏草」は出奔した犬のゴローを探す里山の道行きを描いている。
そこで出合うのは動植物や里の民ばかりにあらず、
生者と死者のあわいにあるもの、動物と人間のあわいにあるもの、
果ては神に近しいものなどである。
しかし、その筆は決して大仰なものではない。
前作同様、厨の煮炊きの匂いのように、するりとなつかしく懐に入り込む。
畢竟、これらの者たちとわれわれ人間の身、
同じ野辺に暮すものとして、どこに本質的な違いがあろうか。
頁を繰るおのれの指先は、知らぬ間に、
河童やイワナびとの息吹を浴び、鱗にふれているのだ。

似た味わいの絵物語(漫画)に、「蟲師」がある。

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こちらも不思議具合が、私にはたいそう心地よい。
もう15年ほども昔の作品なれど、今も愛蔵版が出版されるほどの人気と聞く。
 
さらにもう一冊。

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「逢魔が時のものがたり」(巣山ひろみ著・学研マーケティング)も、
形の定まらぬ「あわい」という感覚を呼び起こしてくれる物語である。
この世は、目に見え手で触れるものばかりで成されているわけではない。
心の柔らかな学童たちに、呼び起こされる五感の揺れを、
楽しんでもらいたいものである。

……と、梨木作品の文体を真似っこして書いてみました(けっこう楽しい)。
どれも大好きな物語です。
秋の夜中に、楽しい異空間をどうぞ。
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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師
イラスト:なかむらしんいちろう

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