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金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

目眩くファンタジーとしっとり和のファンタジー

  1. 2019/09/29(日) 15:50:38_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
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  4. _ comment:0
最近出会ったファンタジーから2冊、ご紹介。
『月の光を飲んだ少女』 ケリー・バーンヒル作 表紙画 玉垣美幸  評論社

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中世ヨーロッパと思わせる小さなある町には、毎年赤ん坊をいけにえとして
魔女に差し出さなければならない決まりがあった。
村は閉塞感と悲しみでいっぱい。と、設定はよくある話。
ところが、その魔女は、村人がなんのために毎年森に赤ん坊を捨てているのかを知らず、
ひそかに赤ん坊を助け、かわいがって育てていたのだ。
ある年に助けた女の子に、魔女はうっかり魔力を持つ月の光の飲ませてしまう。
女の子は不思議な力をもつようになり・・・。
恐怖とあきらめが支配するこの町を救うのはだれ? 
そもそも、敵はだれ? 真に邪悪な者は意外にも・・・。

月の光を飲んだルナ。心正しくやさしい魔女、ザン。
思慮深い若者アンテイン、勇気と行動力あるその妻エイサン。
これらの人々が織りなすストーリーは、まさに目眩くファンタジー。

魔女の物語は山ほどありますが、
これはよくある魔女モノの顔をした、新しい物語でした。
「持病」のファンタジー欠乏症が、いっぺんに解消できました。

こちらは「和」のファンタジー。
『かなと花ちゃん』富安陽子 作 平澤朋子 絵 アリス館

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どういうわけか人形が主役のファンタジーに弱くて、
ルーマー・ゴッテンの『クリスマスの女の子』や『人形の家』、
シルヴィア・ウォーの『メニム一家の物語』シリーズも、梨木香歩さんの『りかさん』などなど大好き。
この作品も人形ファンタジーです。

野原に置き忘れられていたお人形の花ちゃんを抱き上げてくれたのは、かな。
花ちゃんは、かなに話しかけてみます。
かなは花ちゃんを家に連れ帰り、毎日いっしょに過ごすうちに、ふしぎなできごとに出会うように・・・。
かなの家である八百屋さん、お縁日、お寺の四天王、人形師のおじいさんなど、
どこか漂う懐かしい香りは、「昭和の女の子」も楽しめるでしょう。

富安さんは、『シノダ!』『妖怪一家九十九さん』シリーズなどの、
妖怪や神さまの楽しいファンタジーで知られる、大人気作家さん。
『かなと花ちゃん』は高名なシリーズ作品の陰でひっそりとたたずんでいるような、
ほどよく肩の力の抜けた極上和風人形ファンタジーでした。これはもう名人芸ですね。

やっぱりファンタジーはええなあ。
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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
イラスト:大塩七華
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)『となりの猫又ジュリ』(国土社)『クレオパトラ』『マイヤ・プリセツカヤ』(学研プラス)『読む喜びをすべての人に 日本点字図書館を創った本間一夫』(佼成出版社)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師

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