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金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

「はじめてのはたらくくるま」騒動について、シンプルに考えてみた

  1. 2019/07/28(日) 16:06:38_
  2. 未分類
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「はじめてのはたらくくるま」(講談社BC 刊)という写真絵本がある。
三歳から六歳を対象とする乗り物図鑑だ。
「働く車」だから、消防車やパトカー、清掃車などが載っている。
子どもは大好きだもんね~。

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ところが! 表紙には自衛官を乗せたジープの写真があり、
そのうちの一人は銃をかまえているではないか。
中身は、30ページのうち6ページを割いて、自衛隊の特殊車両などが紹介されている。
戦車や装甲車はもちろんのこと、戦闘機や潜水艦まで! もはや「車」でもない。

わたしが真っ先に感じたのは、
小さい子に「戦車、かっこいいい!」と思わせたいの? 
戦争に慣れさせてたいの? ということだ。

わたしがこのことを知ったのは、「子どもの本・九条の会」の会報から。
この団体はじめ、日本子どもの本研究会、親子読書地域文庫全国連絡会、
日本児童文学者協会などの団体が抗議、
講談社BCでは、「不適切であった」と認め、重版はしないことに決定。
一応の決着を見た。

けれでも、もやもやするなあ~。
この本については、かなりの数の人が、
「え? 自衛隊を子どもに見せて、なにが悪いの?」
「自衛隊は日本を守ってくれているのに!」という反応を示したのだ。
Amazonのレビューにも、そういう感想はたくさん出てくる。
「重版してほしい!」という声も。

日本を守るねえ・・・。
集団的自衛権が認められてしまった今、「守る」どころじゃない、
どっかの大国が戦争をやりたがったとき、
お先棒を担がされることも大有りなのになあ。
自衛隊員さんとそのご家族は、どれほど困惑と不安を抱えておられることか。
集団的自衛権については、あんなに反対デモが起こり、
シールズの若者もがんばっていたのに、
もう忘れてしまったのかなあ。

シンプルに考えてみた。
例えば、「しごとのどうぐ」という、幼児向けの写真絵本があったとする。
まな板や包丁、大工道具や理髪店のハサミに並んで、
ピストルやマシンガンが載っていたら?
違和感を感じない人がいるだろうか?
だれがどんな目的で使うのか、三歳児に説明できる大人がいるだろうか?

そう、「はじめてのはたらくくるま」も、読者対象は幼児なのだ。
自衛隊について、説明できるだろうか? 
「日本を守ってくれるのよ」
「わー、かっこいいね! てきは、かいじゅう? うちゅうじん?」
「じゃなくて~、えーと・・・」
「てきをみなごろしにするの? ぼくもやってみたい!」
「そ、それはちょっと・・・」

そういうことだ。

繰り返すが、読者対象は三歳から六歳。
そこに立って、この本について考えてみてほしい。

一般書で『かっこいいぞ! 自衛隊』という本が出ようが、
それは【言論,出版その他一切の表現の自由】だ(顔はしかめるけどさ)。
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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
イラスト:大塩七華
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)『となりの猫又ジュリ』(国土社)『クレオパトラ』『マイヤ・プリセツカヤ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師

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