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金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

『しあわせの牛乳』を生み出した牛オタクさん

  1. 2019/05/26(日) 16:07:54_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
23日は、日本児童文芸家協会の総会・各賞贈呈式・懇親会の日でした。
この日は、「サークル交流会」「秋木真講演会」も開催されたので、「一年で一番長い日」。
詳しくは、こちらから

今年、受賞されたのは、この方々です。
受賞者

左から、篠崎三朗様(児童文化功労賞)、国松俊英様(児童文芸ノンフィクション文学賞特別賞)、
井上こみち様(児童文化功労賞)、湯山 昭様(児童文化功労賞)、
佐藤慧様(児童文芸ノンフィクション文学賞)、森川成美様(日本児童文芸家協会賞)、
森埜こみち様(児童文芸新人賞)。
おめでとうございます!

受賞作品はどれもおもしろいものばかり。
そのなかから、佐藤慧さんの『しあわせの牛乳』をご紹介します。(写真・安田菜津紀 ポプラ社)

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           なんてかわいい牛さん! 牛への愛が伝わってくるなあ。 

主人公の中洞正さんは、酪農家です。子どものころから牛が大好き。
だから、牛の健康を損ない寿命を縮める「近代酪農」をしたくはなかった。
やがて、「山地(やまち)酪農」という、山の斜面で牛を飼育する酪農法に出合い――。

この山地酪農という方法、わたしは初めて知りました。
牛を山の斜面に放牧するのです。
牛たちは、自分でエサとなる植物を探しだして食べ、
そのフンは土に還り豊かな土壌を生み出します。
北海道のような広大な牧場がなくても十分。
どこも山だらけの日本の風土にあった酪農かもしれません。
これなら、毎日のエサやりも何十キロにもなるフンの片づけに追われることなく、
人間も健康、牛も健康! しぼった牛乳は、当然、自然のおいしさいっぱいです。

ページをめくるたびに、丁寧な取材と優しい目線の文章、
四季折々の牛たちの写真にひきつけられます。
牛をいじめるような「近代酪農」への怒りも、
じわじわとこめられています。

なにより、中洞さんの「牛オタク」ぶりにぐぐっときました。
世界はこんな素敵なオタクによって、より良く変わっていくのですね。

それにしても、われわれはもっと、
食べるものがどうやって作られているのか、知るべきだなあ。
動くこともできない狭い牛舎に閉じ込められ、
草食なのに穀物などの濃厚なエサを食べさせられ太らされ、
子牛を産ませられ乳をしぼられ、
乳の出が悪くなったら肉牛として売られていく牝牛たち。
同じ「女性」として、うわー、「近代酪農」の牛には、なりたくはない、
と胸がズキズキ痛みました。

でも、自分が牛でなくてよかった、と安心してしまったら、何も変わらないですね。

作者の佐藤慧さんと、ちょっとお話しすることができました。
「佐藤さんも、牛がお好きなんでしょう?」とわたし。
「はい、好きです~」と、佐藤さんは牛みたいにおだやかな黒い瞳で、にっこり。
(でも体型は牛とは似ても似つかぬ、長身でシュッとした方です)

佐藤慧さんは、世界の紛争地帯の取材で知られるフォトジャーナリストさんです。
なのに、なんでこんなに児童向けの文章が上手なの~~? 
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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
イラスト:大塩七華
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)『となりの猫又ジュリ』(国土社)『クレオパトラ』『マイヤ・プリセツカヤ』(学研プラス)『読む喜びをすべての人に 日本点字図書館を創った本間一夫』(佼成出版社)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師

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