金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

落語ーー江戸から昭和、平成につながる空間

  1. 2017/04/09(日) 17:50:01_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
上野の鈴本演芸場へ、初めて落語を聞きにいきました。

後ろのほうからでも噺家さんの顔の表情がよく見える程度の広さで、
座席ごとに小テーブルがあり、
お弁当やお菓子を食べててもOK。くつろげます。

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昼の部、夜の部、どちらも2800円で、出入り自由です。
昼の部は四時間もあるので、途中から入場しました。
古典落語あり、新作あり、漫才や手品や、三味線の小唄あり、
紙切りもありで、ぜんぜんあきません。眠くもなりません。
どれも見事な「芸」です。
一朝一夕にできるものではないことが、
いいトシのおばさんになった今、ほんまによーく身に沁みます。

そして、じわあっと心地よい、なじみのある空気。なつかしい・・・。
子どものころ、落語や紙切り芸を、テレビでよくやっていました。
それほど熱心に見ていたわけではないのに、
この間(ま)、この声、しぐさ。五感にしっくり入ってました。

聞くのはお江戸の古典落語や、それをアレンジした新作ですが、
よみがえってきたのは昭和の「お茶の間」でした。
思えば、江戸から昭和、歴史のなかではそんなに遠くないんだなあ。

明治、大正、昭和、平成と、
歴史の幅からみたらわずかの歳月なのに嵐のような激動。
それでも変わらないのは人の心。
その機微や笑いの表現には普遍的なものが流れているのしょう。
そこへ、時代時代に合わせて少しの新味を加えてあり、
すんなり身に溶け込むように創られています。
たいした文化です。したたかです。
こういう庶民の文化は、やはり平成でも花開いてほしいものです。

というわけで、落語をモチーフとした児童書です。
  

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『がむしゃら落語』赤羽 じゅんこ・著 きむら よしお ・絵

マジメ人間で友達もあまりいない雄馬、イジワル男子の謀略にはまり、
やったこともない落語を演じるはめに。
しかたなく、たまたま知り合ったぱっとしない若手噺家に教えてもらい
落語の特訓をするものの、この師匠はまるで頼りなく、
また肝心の話のオチが、どこか心にしっくりこない――。
読むうちに、落語の話そのもののユルさや、
噺家さんたちのシャレに満ちた会話がとっても心地よくなってきます。
主人公の生真面目ぶりとのギャップが、むしろスリリング。
さあ、落語はうまくいくのか?とハラハラ。

            無題

『あしたも、さんかく 毎日が落語日和』安田夏菜・著 宮尾和孝・絵 講談社 

熱血で仕切り屋なのがアダになり、クラスのなかで浮いている圭介。
そこへ、落語家を目指すも挫折して行方知れずになっていたじいちゃんが帰ってきました。
でもじいちゃんはあきらめていません。
今度こそはとアマチュア落語コンクールに出場しますが・・・。
全編大阪弁で語られ、気がつくと作者の術にはまって
気分はすっかり上方落語。
じいちゃんの思いが、胸にじんわり沁みます。
人生、「さんかく」でいいんだよね!

この二作、はからずも落語をモチーフとした児童書の東西合戦のよう。
なんせ、赤羽さんは東京人、安田さんは関西人。
真面目で冷めてて「省エネ」と呼ばれる雄馬と、ムダに熱くて濃い圭介。
江戸と上方。空気の違いはあっても、
人間の弱さや悲しみ、浮世の辛さを、笑いでふっ飛ばすエネルギーはいっしょ。
そして、お二人の作家さんの、落語愛の深さもいっしょ。

寄席、また行ってみようっと。
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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師
イラスト:なかむらしんいちろう

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