金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

濁りのない寄せ鍋

  1. 2016/12/18(日) 13:18:54_
  2. 金亀のひとりごと
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このあいだ、「光会」の忘年会があった。
「光会」は、わたしが会社員だったころの上司や先輩、同僚の同窓会だ。
(なぜ光会というかは、ナイショです)
年に1,2回、当時の課長サンの呼びかけで、5,6人が集まってくる。
この日は、元課長サンの行きつけの、練馬駅近くの和食店「甲州」に
50代から70代の5人が集った。

店名は「甲州」だけど、お魚料理の店だ。
前菜のあん肝、鮟鱇の煮凝り、ハヤトウリと海老のゆず酢

            DSC_0694.jpg

うまい!
刺し盛りの量と鮮度には、おったまげた! これで5人前。

           DSC_0695.jpg

鮪や鯛などのほか、キビナゴや鰆のたたきなど、10種類ほどもあったろうか。
(反対側から写真撮ったので、頭が右になってしまった)
鮭の西京焼きに鮟鱇のから揚げ。
お魚が胃袋から脳まで、回遊した。

話は、近況や昔話や家族のこと、実にたわいのないものばかり。
しかし、考えてみたらすごいことだ。
このメンバーで働いていたのは、なんと35年ほども前のこと。
歳月を経て、こうして集っておいしいものを食べていることが、
奇跡のようにうれしい。

最後に運ばれてきたのは、寄せ鍋だった。
「火は通ってますので、温まったらすぐ召し上がれます」と、女将。
湯気が立ったのでふたを開けてみたら、
鱈、鮭、海老、帆立、鶏肉、野菜、豆腐などの定番の寄せ鍋、
これがやけにうまい。
アクや生臭みのまったく出ていない、澄んだ出汁の味。
しっとりとした魚介たちは、一かけらも煮崩れていない。
鶏肉を口にして、合点がいった。香ばしい。あらかじめ炭火で焼いてあるのだ。
焼かれて適度に水分が抜けたところに、出汁がしみこんでいる。
魚類も、丁寧に下処理したあと、それぞれをたぶん酒蒸ししたのだろう。
うまみをしっかりとかかえている。

生の具材を、いっしょにぐつぐつ煮るのもいいだろう。
しかし、それだとうまみといっしょにアクや臭みも出てしまう。
火を通した具材が出汁と出会い、温められてうまみがふくらみ、
まろやかで洗練されたおいしさとなっていた。

なんや、今日のわたしたちのようだな~。
それぞれ懸命に働いて、家庭を持ち親を看取り、楽しんだり悲しんだりしてきた。
若くして連れ合いをなくした人もいる。
いろいろなことを乗り越えて、今がある。

若いうちは、いっしょに過ごすうちにアクや臭みを飛ばしあうこともあるだろう。
今、人生の後半を過ぎ、地に足をつけて生きてきた歳月を経て、
それぞれが‟火の通った”うまみとなり、酒席という鍋をおいしくしてくれている・・・。

な~んて、ちょっとかっこいいことを考えてしまった。

年を重ねるって、悪くない、悪くない。

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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師
イラスト:なかむらしんいちろう

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