金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

「おれがあいつで」の呪縛

  1. 2016/10/09(日) 17:33:23_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
映画「君の名は。」が大ヒット。
ぜんぜん映画通ではないカナジですが、観ましたよ。
うん、ストーリーはおもしろかった! 映像も素晴らしかった。
でも、胸キュンというほどではなく、涙ポロリもナシ。
・・・やばい。枯れ果てているのか、カナジ?

それも、もちろんあるだろう(簡単にモチロンと言い切るな、自分!)
高校生男女の心が入れ替わり、
時空を超えてのすれ違い・・・という流れのなか、
恋愛モードに自分の意識が切り替わらなかったのは確かだ。

だって、男女の心が入れ替わるってことは、
自分の体を、10代のみずみずしい体を、
知らない異性が使っているということ。
すごくたいへんでめちゃくちゃ恥ずかしくないか?

そっちに意識がいってしまうのには、わけがある。
映画「転校生」の原作として知られる
「おれがあいつで あいつがおれで」(山中恒・著)を
中学生のころに、リアルタイムに雑誌連載で読んだからだ。
 
自分の体の変化や異性への意識、大人社会への欺瞞などなどが満杯で
バランスを失う危うい時期、この物語は強烈だった。
作者のペンは容赦なく、
男子にかくしておきたい女子の体の悩みなどを、
入れ替わった男子に経験させている。
知りたくもない小汚い?男子の体のことを、女子に体験させている。
それが、当時のわたしには生々しくエロすぎて、げっそりだった。
その後、映画「転校生」を観て、なんて清々しくユーモラスに切なく
映像化したのだろうと、びっくりした。

「君の名は。」は文句なしに美しい。
でも、やっぱり中学生だったあのころのわたしの
男女入れ替わりへのげっそり感と羞恥心を思い出してしまった。
山中恒先生、おそるべし。それだけの強さのある作品だったのだ。

こんな思いをした男女って、「同志」だろう。絆も生まれるだろう。
だからこそ恋心が芽生える、そう考えればいいのかな。
しかし、そうやって自分を納得させる時点で、
すでに物語の抒情性から閉め出されているなあ。
無念。

「おれがあいつで あいつがおれで」山中恒・作 杉基イクラ・絵 角川つばさ文庫 

   無題

ロングセラーとなっています。

入れ替わりといれば、こんな絵本も。こちらは、犬と男の子が・・・。
『ジローとぼく』大島妙子作・絵 偕成社

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  楽しく、ホロリときます。
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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師
イラスト:なかむらしんいちろう

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