金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

希望と願いの輝き

  1. 2016/03/28(月) 11:13:09_
  2. 読み語りは楽しいな
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
埼玉の女子中学生が、二年ぶりに保護された。
誘拐され、二年間監禁されたすえ、
自力で脱出、保護を求めたという。

この娘さんの家は同じ県内であり、近所の公共施設に
安否情報を求めるポスターが貼られていたので、
目にするたびにご両親の苦しみを思い、無事を願っていた。

ああ、助かってほんとうによかった。
二年間の監禁のあいだに、希望を失わず、
「家に帰るんだ」という意志を保っていくことは、
想像以上に強い精神の力が必要だったことだろう。

こんな絶対に許せない事件を引き合いにして絵本を紹介することを、
お許しいただきたい。
かたや凶悪犯罪の被害者、絵本のストーリーはどちらかというと、偶発的な事故だ。
けれども、ためらいながらも書くことにしよう。
幼児向けの絵本であっても、人生の悲哀と希望を語ることにおいては、
一般文学となんら変りはないのだから。

古典名作絵本、「ロバのシルベスターとまほうの小石」
ウィリアム・スタイグ 文・絵 評論社

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ロバのシルベスターは、山の中で魔法の小石を見つけ、
その力でうっかり岩になってしまう。
家に帰れず、元の自分に戻る望みもないまま月日が過ぎて・・・
翌年の春、両親が、シルベスターと知らずに岩のところにやってくる。
シルベスターは願う。
「ああ、もとのぼくになりたい。ああ、ほんとのぼくに もどりたい!」
そして、願いが通じ、大団円。

シルベスターの悲痛な思い、両親の嘆き、その両方が心にずしずし迫ってきて、
何回子どもたちの前で読み語っても、涙が出そうになる。

埼玉のこの娘さんも、強く願ったのだろう。
「ほんとうのわたし、両親の元で学校に通う、
中学生のわたしに戻りたい!」と。

希望。願い。ありきたりのことばであるが、
失わずに保つことの大きさと輝きを感じさせてくれた。

この娘さんの心の傷ができるだけ癒えますように。

シルベスターのぬいぐるみ、持ってます。手にしているのが、まほうの小石。

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岩になった姿。ロバのおなかにファスナーがあり、
しまってある布を引っ張り出してかぶせると、岩に。

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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師
イラスト:なかむらしんいちろう

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