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金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

協会賞と新人賞、どちらも

  1. 2021/04/26(月) 11:10:40_
  2. 児童書のぐるり
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今年度の日本児童文芸家協会賞と児童文芸新人賞が、
おもしろい。
作品がおもしろいのはもちろんだが、
この二つの賞の選考結果に共通したものがあったのだ。
読んだ方がすぐにわかるくらいに顕著に。

★日本児童文芸家協会賞
『雷のあとに』中山聖子・著 岡本よしろう・絵 文研出版

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小5の睦子の、支配的で「面倒くさい性格」である
母への鬱屈した思い。
学校では友人関係にヒビが入り居場所を失くしていく・・・。
明るくはない物語で、
作家によってはもっとヒリヒリした痛みを
強く描くかもしれない。
が、作者は抑制の効いた透明感のある文章で、
睦子の思いを丁寧に柔らかくすくい上げ、それがとても心地よい。

★日本児童文芸家協会賞

『恋とポテトと夏休み』『恋とポテトと文化祭』
『恋とポテトとクリスマス』三部作
神戸遥真・著 おとないちあき・絵 講談社

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ひょんなことから、ハンバーガーショップで
バイトをすることになった優芽。
友人ナシ、予定ゼロだった夏休みは一変、
いろいろな人間関係に出会い、そして恋? 
連続ドラマや上質の連載マンガのようなノリのよさで、
等身大のワクワク感、緊張感、切なさがリアル。

★児童文芸新人賞
『みつきの雪』眞島めいり・著 牧野千穂・絵 講談社

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 長野県の農村に住む満希と、
都会からの山村留学生、行人をめぐる物語。
行人が留学してきた理由に意外性はあるものの、
この物語の真髄は、文章そのものだ。
五感に流れ込んでくるような、心に響く美しさに圧倒された。

★児童文芸新人賞

『保健室経由かねやま本館。』 1~3
松素めぐり・著 おとないちあき・絵 講談社
 
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中学校には、「第二保健室」があり、
そこは中学生専用の湯治場とつながっている?!
悩み苦しむ中学生はここで休息し、癒され、
自分に向き合い、立ち直っていく。
中学生の人間関係のいざこざは、あるある感満載で、
思春期の若者たちの力強い味方だ。
希望の光を投げかけるラストにも涙。

詩情や文学性の高さというものが高評価となった
『雷のあとに』『みつきの雪』。
主人公の思いが読み手の心の奥まで沁み込み、
魂を静かにゆらしてくる感じ。

それに対し、『恋ポテ』と『かねやま本館。』は、
脳内映像がめっちゃクリア。
読者をこの世界に引っ張り込んでくる吸引力がすごい。
そしてなんと、『恋ポテ』と『かねやま本館。』は画家さんまで同じ方!

この共通項はなに?
まさか、選考委員が同じ顔ぶれ? 
とんでもない! まったく別です。
そしてもちろん、両者が相談して
この二作×2になったわけでもない。
どちらの部門も、一作のみにすることはできなかったのだ。
まったくちがったテイストだからこそ、
両方のおもしろさを十二分に味わうことができた、といえるかも。

純文学的な物語のおもしろさと、
エンタメやライト文芸寄りのおもしろさ。
今回の日本児童文芸家協会賞と児童文芸新人賞は、
この二つを対比して読める、
とってもオトクなラインナップなんじゃないかな。
それは、今の児童書界を象徴しているのかもしれない。

さあ、書店へ、図書館へ、GO!


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チカラは抜くものだった。

  1. 2021/04/18(日) 15:38:39_
  2. 金亀のひとりごと
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最近、驚いたこと。
4月7日のNHKあさイチだ。
「コロナ禍で知らず知らずに力んでいる体と心。
『合気道の極意』を身につけて
頑張らずに疲れやイライイライラ解消を!」
という特集だ。
ご覧になった方も多いだろう。

ふむふむ、合気道によれば、
体によけいな力が入っていると疲れやすく、
本来持っている能力を発揮できない、とな?
そのよけいな力の抜き方とは、とっても簡単、
「つま先立ち」をするだけ。
つま先で立つと、体が自然にバランスを保とうとする、
それにより無駄に力の入っていない姿勢を保てる、とのこと。

わたしはそんなにリキんでいるタイプじゃないけれど、
試しにやってみようか。
つま先で立ってバランスを取り、
体の力を抜き、降りる。それだけ。
あれっ? 体が楽!
特に下半身がふにゃっと柔らかい感じがするのに、
安定している?
この姿勢で、歩いてみる。
ぜんぜんちがう! めっちゃ楽。

どうやら自分でも知らずに、
ガチガチに力が入っていて、それが常態化していたらしい。
自分の体なのに、扱い方をひどく間違えていた!

わたしは昔から腰痛もちで、
ここ10年はさらにひどく、日々腰痛との戦いだ。
座っているのはなんともないが、3、40分歩いたり立ち仕事をしたりすると、
腰から太腿にかけて、しびれるように痛くなる。
文字通り、足が棒になる感じだ。
出先や家事の最中に
そうそう座って休むわけにはいかないので、
無理して足を必死で動かす。
相手は棒だから、動かすには下半身に
ぎゅっと力を入れなくてはならない。
するとさらにカチカチの丸太ン棒になるという悪循環。

その痛みが、このつま先立ちの姿勢キープで、
半減したじゃないか!
世界は驚きに満ちている。

力の抜き方がわかると、
愛用のビーズクッションに体を預けていても、
これまでうっすら力が入っていたんだ、ということに気づく。
テンパっている人に、
「ムリしないで、もっと気持ちを楽にしたら?」などと
いっていた自分が恥ずかしいぞ。

思えば、昭和の人間としては、
「力」は入れるものであり、
「維持する」ものであり「発揮する」ものだった。
「力を抜く」のは「手を抜く」のと同義語だった。
抜くことがこれほど大切なことだったとは。

呼吸法なども紹介されていて、
心をほぐしてくれる作用もあるとのこと。

わたしは、ほぐすにはマンガかな。
とくに、こんなおだやか~な作品がいい。
『しーちゃんのごちそう』
たかなししずえ 作 少年画報社

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昭和30年代後半、千葉の海辺の小さな町にすむ
小学生しーちゃんの日々を、
お母ちゃんのおいしい料理や
おやつを中心に描いています。
娘に超甘いお父ちゃんも魅力的。

「抜く」というと、連想するのは軟体動物。
最近ゲットしたタコさんのスマホスタンドです。
後頭部とあんよのうちの二本が、ペンホルダー。

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スマホを立てるとこんな感じ。
(現役スマホは写真を撮るのに使うので、
退役のぼろぼろのスマホを乗っけました)

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タコさん、力を抜いているから大きなスマホを
支えられるのかもね。




えむちゃん、けいちゃんの門出と、法律のハナシ

  1. 2021/04/11(日) 18:15:19_
  2. 金亀のひとりごと
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  4. _ comment:0
我が家の孫ちゃん二人、門出の春を迎えました。
三歳になって間もないえむちゃんは、幼稚園に。

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幼稚園の制服、まだ大きいねー。

11か月児のけいちゃんは保育園に。 
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二人とも早くなじんで、楽しく過ごしてくれるといいなあ。

二人の女の子の未来が、
希望に満ちたものでありますように。
そう、今よりもっともっと。

というのは、日本の社会があまりにも
女の子、女性にお寒い状況だからだ。
3月31日に男女格差を分析した報告書
「ジェンダーギャップ指数2021」、
つまり男女平等ランキングが発表されたが、
調査対象の156カ国のうち、日本は120位だと?! 
主要7カ国(G7)、東アジア・太平洋地域では最下位。
政治や経済界で、
「指導的地位」にいる女性の割合が少ないということが、
数字を押し下げているのだという。
 これじゃ、わたしが若いころと、
あんまり変わらないじゃないか!
 
これに関しては、腹立たしいことがいっぱいあるけれど、
なかでも最近むかっ腹だったのが、
「選択的男女別姓」が、ちっとも進展しないことだ。
与党・自民党内で賛成派と反対派が対立し、
今は慎重派のほうが強いのかな。
「家族の一体感を損なう」という、きわめて情緒的な理由で。
高校の社会科の授業で、
「法律は弱者を守るためのもの。
道徳の規範を示すものではない」
という意味のことを教師から聞き、
感動した覚えがある。
そうか、弱者を守るのが法律か!
押し付けられるものではないんだ!

同姓を強いられて、
不利益を被っている人は多いはず。
その人たちを法律で守るのが、本来のあり方なんじゃないのか?
それに、選択性なんだから、
同姓にしたい人はすればいいだけのことなのにね。

わたしが結婚するとき、
夫の姓になるのは、やっぱり抵抗がありましたな。
結婚で姓が変わることを、
「うふ💛」と喜ぶようなタイプじゃなく、
自分のアイデンティティが
否定されるように感じたのは、間違いない。
しかし、わたしは当時勤めていた会社を
退職していたので
社会的な影響は少なく、
わたしが改姓するのは
当然といえば当然だった。
それに、わたしの旧姓は
あまり字面がよろしくなかったので、
それで自分を納得させたのだった。

でも、やっぱり理不尽な思いは残った。
一度でいいから
「ねえ、どっちの姓に決める?」という
話合いがもたれていたら、
気分は違ったものになったかもしれない。

これについては、『きのう何食べた?』
(よしながふみ・作 講談社 17巻)に
印象的なシーンがある。

 きのう

美容師ケンジの同僚・田淵剛くん、
そろそろ彼女との結婚を意識しているのだが、
彼女さんは、「結婚はヤダ!」と言い放つ。
その理由が、姓を変えたくない、というもの。
まず、職場に知れる。
それから、免許証、パスポート、銀行口座などなど、
「平日にいろんなとこ回って、
全部名義を書き換えなきゃならないし!
私も嫌だし、だからといってその面倒を
剛君にさせるのも嫌なの!」

そのとーり! 
別姓を認めてくれるなら、
こんな苦労は必要なくなるんだよねえ。
選択的男女別姓法が施行されたら、
これまで結婚をためらっていたカップルが、
さくさく結婚するかもしれない!
少子化を食い止めることにもつながるかもね。

えむちゃん、けいちゃんが大人になるまでに、
この法案はなんとしても通ってほしい。
結婚に一すじの理不尽さも感じなくてすむように。
女の子の未来は、
男の子のそれよりも
狭くていいはずはないのだから。




新名所なるか、「角川武蔵野ミュージアム」

  1. 2021/04/04(日) 17:25:29_
  2. 金亀のひとりごと
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  4. _ comment:0
昨年11月にオープンしたばかりの
「角川武蔵野ミュージアム」(埼玉県所沢市)に行ってみました。
隈研吾さんデザインによる建物は圧巻。

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(この画像のみ、同館HPよりお借りしました)

 エントランスに入るといきなりアマビエ様の大きな絵。

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そして、金色に輝く五人の仏様? 
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近づいてみたら、なんと! 
ウルトラご兄弟じゃありませんか!

そう、ここはミュージアムといっても、
サブカルあり、現代アートあり、図書館もありといった、
美術・博物・図書の複合文化ミュージアムなのです。

図書館には約2万5000冊のライトノベルとマンガがあり、
日本で一番ラノベが揃っている施設だそうです。
うんうん、マンガやラノベって、
公共図書館にはなかなか置いてもらえないもんねえ。 

そして、昨年のNHK紅白歌合戦で、
YOASOBIが歌って一躍脚光を浴びたのは、
「本棚劇場」というところ。
360度、高さ約8メートルの巨大本棚がそびえています。

しかしこれらのフロアはみんな有料、
しかも予約制で、見学に行った日は
すでに予約いっぱいで入場できず。無念。
 
わたしの目当ては、企画展「荒俣宏の妖怪伏魔殿」。(撮影可でした)

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 怪しげな入り口の中は・・さまざまな妖怪さまが描かれた廊下。
 
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 日本各地の妖怪の紹介。

     DSC_2262.jpg
全国のアマビエ、そしてアマビコの絵。
(‘アマビコ’の表記があやまって書き伝えられ、
アマビエになってしまったらしい)

 埼玉代表は「血塊(けっかい)」「夜道怪(やどうかい)」
「伊草の袈裟坊」など。

 DSC_2263.jpg

 あんまりメジャーではありませぬ。

おもしろいのは、
神様であるはずの道祖神まで展示されていること。
秋田県に伝わる藁人形です。

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妖怪のなかには神様から派生したものもたくさんいてはるので、
もともと神様と妖怪の境目って、とてもユルい。
そこが、唯一絶対神を頂く宗教とは違うところ。

 そのほかにも、件(くだん。人面牛体の幻獣。
予言をすることができる)のミイラや、

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烏天狗のミイラ、三頭竜のミイラなんてのもあります。

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            DSC_2268.jpg

件のミイラは子牛の剥製、
烏天狗や三頭竜は作り物。
こういうものを見せ物に仕立て、全国を回っていたようです。
いつの時代も、そう、
『遠野物語』の柳田國男博士や水木しげる大先生が
妖怪を発掘し広める前も、
日本人は妖怪大好き、キモいもの大好きだったのですね。

 映画「妖怪大戦争」に登場した妖怪も
お目見えしていました。
 
DSC_2288.jpg

ぬっぺっぽう、一反木綿、

    DSC_2290.jpg

     DSC_2293.jpg

上からのぞいているのは、ぬらりひょんかな?
 
上野の国立科学博物館や、
両国の江戸東京博物館などの「妖怪展」は、
たいてい逃さず足を運んでいますが、
これらの博物館企画では「妖怪とはなにか」とか、
「妖怪を生み出す人間の心の闇」みたいな洞察があります。
けれど、この「妖怪伏魔殿」では
「こんなん、あるよ! おもしろいでしょ!」という感じ。
そこが、このミュージアム的なアプローチなのでしょうね。
(この企画展は、3月末で終了。ご紹介が遅くてごめんなさい)
 
さて、コロナ禍で世界中の美術館や博物館は
苦戦を強いられているでしょうが、
この角川武蔵野ミュージアム、新名所になるかな? 
問題は、立地。
最寄り駅は武蔵野線の東所沢駅という、
おそらく埼玉県民でも地元の人以外降りないような駅。
しかも、駅から徒歩一〇分。
この残念な立地を跳ね返して、
日本中から。世界からもたくさの人が訪れるといいですね。





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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
イラスト:大塩七華
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)
『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)
『ミクロ家出の夜に』(国土社)
『花粉症のない未来のために』
『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)
『知里幸恵物語』(PHP研究所)
『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』
(学研プラス)
『となりの猫又ジュリ』(国土社)
『クレオパトラ』『マイヤ・プリセツカヤ』(学研プラス)
『読む喜びをすべての人に 
日本点字図書館を創った本間一夫』
(佼成出版社)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員

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