FC2ブログ

金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

ふつうって、なに?

  1. 2020/07/26(日) 15:21:38_
  2. 新しいインクの匂い
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
二つの作品をご紹介します。

『赤毛証明』 光丘真理 著 くもん出版

71xiFkxTrhL__AC_UL320_.jpg
 
これが表紙なんです。インパクトすごいでしょ。
このブックカバーをはずすと、さらにおもしろいものが現れるの。ぜひ手に取ってみて。

メグは中学一年生。髪の色が生まれつき明るい。
メグはその「赤毛」が地毛あることを学校に証明する『赤毛証明』を
生徒手帳に刻印され、毎朝校門で、先生にそれを見せなくてはならない。
「自分はふつうじゃないの?」メグの思いは広がっていき――。

こんな校則、まだまだあるよね。
自分にとっての「当たり前」が異質なものとされ、
いちいち正当性を証明しなくてはならないなんて、理不尽そのもの。
わたしは、こんな校則を堂々と掲げる学校との
戦いの物語かと思って読み始めました。
でも、そうじゃなかった。戦うのではなく、考える。語る。
車いすバスケットで活躍する幼なじみや、母子家庭に育つ親友、先生、親たち、
それぞれの生き方から自分の思いを掘り下げていく。
そんな物語でした。
さわやかで暖かい「光丘真理」の世界です。

『区立あたまのてっぺん小学校』間部 香代 著 田中 六大 絵

 819EBRyIXxL__AC_UL320_小

ナンセンスっぽいファンタジーだな、と思って読み始め、
うん、ナンセンスっぽいファンタジーなんだけど、
こちらも偶然ながら、「ふつう」について思いをめぐらせる物語でした。

二年生の「ぼく」の頭の上に、小さな学校ができていた。
そこではキミドリ色の生き物が、べんきょうしている! 
友だちといっしょに相談に行った先は、区役所。
(そうか、区立小学校だもんね。ここで爆笑)
いつしか、頭の上に小学校があることが、
ぼくやまわりの人たちにとっての「ふつう」になっていく。

日本は民族が二つしかないせいか(そして片方は極端に人口が少ない)、
同調圧力が強く、常に「普通でいなければ」と緊張を強いられています。
特に子どもたちは息がつまるでしょうね。
この二作の「ふつう」をめぐる物語は、やわらかく心をほぐしてくれますよ。


スポンサーサイト




おはなし会に持っていきたい絵本

  1. 2020/07/19(日) 15:41:19_
  2. 新しいインクの匂い
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
コロナ禍がまたもや、「ジョーズ」のテーマ曲のように、迫ってきている感じです。
政府の対応は、最初から今までずっと、オール・トンチキなもので、腹が立つことばかり。

朝、登校時間に外を歩くと、小学生がきちんと間を開けて、マスクをつけて、
黙々と歩いています。
体育は、距離を開けてできる陸上競技が多いとか。
給食もだまって食べ、昼休みも静かに過ごしているんでしょうね。
友だちときゃーきゃーわいわい騒げないなら、
学校行く楽しみって、なくなっちゃうんじゃない?

ごめんね、ごめんね。
笑いあって、くっついて遊びたい盛りの子どもたちに、
こんな「苦行」を強いてしまって。
うちの孫のえむちゃんも、再開した児童館で、
進んでマスクをつけているとか。二歳児なのに(涙)
「夜の街」やら、会食で増えた感染者数を、
子どもたちにどう説明したらいいんやろね。

そんなときに、こんな本で笑わせてもらいました。
『おむすびころりん はっけよい!』森くま堂 作 ひろかわさえこ 絵 偕成社

1小71Cv0_clVVL__AC_UL320_

 さんかくおむすびにくにと まんまるおむすびのくに。
ふたつのくには、いがみあっています。ついに、ふたつのくには、たたかいに。
とのさまどうしのおすもうで、しょうぶをつけることなり・・・。
 いや~、ストーリー、語り口、ダシャレ、絵、どれも理屈抜きにおもしろい!
 おむずびがおいしそうで、これは「飯テロ」絵本でもあります。
  
おむすびたちが世話をする「畑」の作物にびっくら!
そうそう、こうやってえいやっと余計な理屈を抜いちゃの、
幼年童話や絵本ならではの世界です。 
 
そしてわたしが胸アツだったのは、両国が戦いになったとき、
 おすもう勝負に力自慢の家来が命令されるのかと思ったら、
とのさま自らが土俵に! いいなあ! 
そうですよ、家来に重責を負わしちゃいけませんぜ。

うずうずしてきました。子どもたちに読み語りしたいなあ。
小学校や図書館での「おはなし会」も、3月から休止したままなんです。
再開したら、いの一番にこの絵本を持っていきましょう!


文章修行はマンガでも

  1. 2020/07/12(日) 15:17:09_
  2. 金亀のひとりごと
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
わたしは、ほぼ毎日、何かしらのマンガを読みます。
といっても次々に雑誌や単行本を買っているわけではありません。
何度も読んだ単行本を書棚から引っ張り出し、
絵を楽しんだり、セリフや地の文をじっくり味わったりするのです。
マンガには文学性の高いもの、また児童書に通じるものがたくさんあるのですよ。

文学性の高さでは、これが好き。
ご存知、『三月のライオン』羽海野チカ 作 白泉社

91bBSb2RuDL__AC_UL320_.jpg

例えば、15巻目の終わり。
主人公の高校生桐山零は両親と妹を事故で失くし、
しかしプロ棋士の地位を手にし、
偶然知り合った家庭の暖かさを得て、こうつぶやきます。

僕が失くしたもの
手に入れたもの
僕がこれから失くすもの
――そして
失くしたくないもの
――その全部を乗せて 
大きな河は
ただ
流れていくのだ
月を映して

これはもう、詩ですね。
羽海野さんの作品は、絵もものすごく上手で見あきません。

マンガには、コマのなかにオノマトペがたーくさん書かれています。
そのおもしろさといえば、
子猫のチーの毎日を描いた『チーズスイートホーム』こなみかなた 作 講談社

 小

そりそりそり 
(チーが自分の毛づくろいをするとき。
猫の舌はざらざらしているから、ぺろぺろ、ではないのよね)
てってってっ てこてこてこ (歩くとき)
だらららー (走るとき)
くりっ(ふりむくとき)
作者のこなみさん、きっともんのすごく子猫を観察し、考え、
オノマトペをつかみ出しているのでしょう。学ばなくては!
だって、児童書では大人の本以上にオノマトペは大切ですから。
二行も三行も使って説明するより、たった一語のオノマトペで、
状況や心情を語ることができるからね。

『ワカコ酒』新久千映 作 コアミックス

10745015.jpg


夜な夜な、酒場で一人酒を楽しむワカコ。
お酒とツマミを楽しみながらつぶやくモノローグがすごくいいんです。
シンプルな文に、出汁やお肉やお刺身や青物の芳香がにじみ出るよう。
例えば9巻目、「菜の花のお浸し」。

それは 不意に現れて
もうこんな季節かと 毎年気づかされる
菜の花のお浸し
「黄緑」でも「黄色」でもない 菜の花だけの色
まだ若い花がいっぱい集まっている
これから花咲く 自然の力強さをもらう

ね、おいしそうでしょう?

さあ、マンガ読んで、文章修行!


えむちゃんのこだわり

  1. 2020/07/05(日) 15:09:40_
  2. 未分類
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
孫第一号のえむちゃん、ただいま2歳4か月。

      33a90ae3-98cd-46f3-9712-00b7ba98e64a (2)
(そろそろ、顔はあまり出さないようにします・・・)
       
彼女には、ちょっとしたこだわりがあります。
バスマットの好みです。
我が家には小さなバスマットが三枚あります。

DSC_1468 - コピー

このなかで、お風呂上がりのえむちゃんが足を乗せるのは、一枚しかなく、
ほかの二枚には、絶対に触れようとしません。
あんよができるようになりマットが必要になった1歳すぎから、
ず~~~っと一貫してます。
お風呂場から抱きかかえてマットに降ろそうとすると、
気に入らないマットでは、足をぴょーんと縮めて降りることを拒否。
あんよしてお風呂場から出るときも、
好きなバスマットが行く手にないと、
ぴたっと立ち止まってしまいます。

さて、問題です。
えむちゃんのお気に召すバスマットは、次のうちどれでしょうか?

① 速乾吸収素材のマット
 DSC_1471 小

② タオル地のマット
 DSC_1469 - コピー

③ 珪藻土の瞬間サラサラマット
DSC_1467 - コピー
           ・
           ・
           ・
           ・
答えは、②のタオル地。実はこれ、今治タオルの残滓で編まれたもので、「通販生活」のプレゼント品です。

①と③を気に入らない理由は、ちゃんとあるみたいです。
①の緑色のマットは、初めちょっと指でふれてみて、
「ぽこぽこ……」といって、却下。
たしかに生地が「ぽこぽこ」してます。くすぐったかったのでしょうか。
③の珪藻土は、濡れた足あとがつくのにびっくりして、後ずさりしていました。
なにか怖かったみたい。
幼児の感覚、繊細ですね~。

えむちゃんが我が家に来てお風呂に入ることは、二か月に一回かそこら。
なのに、一歳ちょっとのときに識別した好みを、ずっと覚えているんですね。
「ライナスの毛布」のように、毎日肌身離さす、ならわかりますが、
たま~のジジババ宅で使うバスマットとは!

幼児の感覚や記憶って、おもしろいですねえ。
気に入らないことでカンシャク起こす子もたくさんいるでしょうけれど、
その裏には、その子なりの立派でまっとうな理由が、きっとあるのでしょうね。

わざとえむちゃんの嫌いなマットをしき、
断固拒否して足を降ろさない様子を楽しんだりする、いじわる婆さんでした。



NEW ENTRY  | BLOG TOP |  OLD ENTRY


プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
イラスト:大塩七華
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)
『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)
『ミクロ家出の夜に』(国土社)
『花粉症のない未来のために』
『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)
『知里幸恵物語』(PHP研究所)
『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』
(学研プラス)
『となりの猫又ジュリ』(国土社)
『クレオパトラ』『マイヤ・プリセツカヤ』(学研プラス)
『読む喜びをすべての人に 
日本点字図書館を創った本間一夫』
(佼成出版社)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員

« 2020 07  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR