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金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

埼玉で地獄を見た!

  1. 2018/12/30(日) 15:46:49_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
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地獄を見てきた。

近所の文学館で「古典文学講読講座 埼玉地獄案内
~古典作品からみる人々の生活と思想」(全四回)を受講していたのだ。
古代、中世、近世の「地獄と閻魔」が、
当時の日本人にどんな影響を及ぼしていたのか、という講座だった。
講師は、明治大学の先生、田村正彦氏。
『古事記』『日本書記』から『日本霊異記』『往生要集』、
『太平記』『大日本国法華経験記』などなど、
ふだん目にすることのない、た~くさんの文献を集めて、解説してくださった。

地獄って、おもしろい。
古代は死後の世界は「黄泉の国」であったのが、
仏教の広まりとともに地獄思想が定着した。
お坊さんの読み解く地獄絵図が、民衆をビビらせ、
臨死体験して三途の川を渡って地獄を見、生還した人の「地獄めぐり」の話が
リアリティたっぷりに語られていた。
時代が新しくなるにつれて
「嘘つくと地獄で鬼に舌を抜かれるよ」的なしつけや脅しの効果は薄れ、
地獄めぐりのパロティの笑い話が登場、
地獄の沙汰も金次第、という文言も出てくる。
だんだん、地獄の権威が薄れていくわけだ。

これは、タイで葬儀の時にお棺に入れるお札。田村先生からのプレゼントだ。

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あの世で、係官に渡すためのものらしい。
中央に閻魔様の絵。「冥都銀行 拾億圓」だって! 
どこの国も、地獄の沙汰も金次第なのね~。

地獄は女性に酷い。女なら100%地獄行き、と定められていたそうだ。
ひどすぎ~。
逆に、オトコの地獄で笑えるものもある。
刀葉林(とうようりん)という地獄だ。
木の上に、艶やかに美女が微笑んでいる。
鼻の下をのばし、うへうへと登っていくと、葉は鋭い刃物になっていて、
血がダラダラ・・・。マッタク男って。

興味を惹かれたのは「奪衣婆」。
三途の川で、死者の衣をはぎ取るお婆様だ。
衣の重さで、現世での罪の重さが計れるのだそうだ。
奪衣婆の像は、全国にいくつもあるらしい。

田村先生所蔵の奪衣婆と地獄絵図

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地獄を、日本人はいつまで信じていたのだろう。
大・水木しげる翁は子どものころ、近所に住む「のんのんばあ」に連れられ、
お寺の地獄絵図を見に通っていたそうだが。
わたしが子どものころは、「地獄で閻魔さんに」的な脅され方をした覚えはないし、
そんな話をしたこともない。
でも、地獄はあると信じるも自由だ。
特に、物語の世界ではね。

三途の川、奪衣婆、といえば、これがおもしろかった。
『三途の川で落としもの』西條奈加 幻冬舎 絵 Nao

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橋から落ち、意識を失って三途の川にやってきた六年生の叶人。
出会ったのが、「ダツ・エ・ヴァ」だ。
ゲームのキャラのような派手なローブ姿、黄緑色の瞳に金髪で登場する。
このいでたちは、叶人が「ダツエバ」という音だけで頭に浮かんだイメージが
具象化した、ということらしい。
叶人は三途の川の“渡し守”を命じられ、死者の未練を叶えてあげるはめに――。

地獄めぐりの絵本といえば、これ。
『じごくのそうべえ』たじまゆきひこ著 童心社

           そうべえ

上方落語『地獄八景亡者戯』を元にしたロングセラー絵本。
綱わたりの最中に、綱から落ちてしまった軽業師のそうべえ、
山伏や歯ぬき師、医者といっしょに地獄へ。
軽妙な大阪弁で語られる地獄めぐりの物語だ。
さて、そうべえは生き返るのかな? 

地獄をすみっこまでたっぷり楽しみたいなら、
『鬼灯の冷徹』1~ 江口夏実 講談社 

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広大な地獄でハードワークに励む獄卒(鬼)であり、
閻魔大王第一補佐官である鬼灯の物語。
いろいろな地獄や現世との関わりがブラックに楽しく味わえる。

2018年最後のブログが地獄の話というのも、意味があるようなないような。
ともあれ、2019年も金亀苑を開いていただけましたら、幸甚に存じまする。

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昭和の「クリスマスの思い出」

  1. 2018/12/23(日) 17:35:08_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
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昨日は、今年最後の読書会だった。
テキストは、『クリスマスの思い出』トルーマン・カポーティ。
 (村上春樹訳、山本容子銅版画、文藝春秋)

   クリスマス

7歳の少年と60代の従妹、そして犬のクィニーが、「友だち」として一緒に暮らし、
クリスマスを迎える。
なけなしのお金をはたいてフルーツケーキを焼き、
秘密の森からモミノキを伐り出し、プレゼントは手作りの凧。
少年は、子どものままの年をとったような従妹と、
かけがえのないクリスマスを過ごす。
暖炉の薪の香りや、冬の草はらの匂い。
読み返すたびに、しんと胸に染み渡る物語だ。

子どものころ、ケーキを食べると気持ちが悪くなった。
うなずく人も多いだろう。
昭和30年代から40年代に売られていた、
安物のマーガリンを使ったバタークリームのケーキだ。
だからだろうか、ある年のクリスマスに、
小さなデコレーションケーキ型のアイスクリームを買ってもらえた。
小学校一年生のときだ。

父は、クリスマスシーズンからお正月にかけて、毎年帰宅が遅かった。
なんのことはない、郵便局勤務だったから。
父のいないクリスマスイブに、母と姉と三人で、アイスクリームをどっさり食べた。
寒い季節だし、残念ながらたいしておいしくはなかった。
ド庶民であったので、クリスマスプレゼントも、わーい、と喜ぶようなものではなかったと思う。
なんとなく盛り下がっている姉とわたしを見かねてか、
母がその年に流行った「幸せなら手をたたこう」を歌おうといいだし、
わたしたちは、ちょっと照れながら、ぼそぼそと歌った。
三人だけで、しかも伴奏もなしに歌う歌は、かえって物寂しさを連れてきた。
――おとうさんがいたらよかったなあ。
わたしは実のところ、生まれて初めて、そう思った。
無口で愛情を表すことがなく、遊んでくれたこともない父は、
気ぶっせいな存在であり、いつもはいなくてもまるでへっちゃらだったのだ。
でも、このときのクリスマスは、
やっぱり家族そろっていたほうが楽しいかも・・・と思わせるものだった。
――そうか、おとうさんがいないのは、働いているからだった。今、この時間も。

「おとうさんありがとう」とまでは、考えはしなかった。
けれども、そのときに胸にひとすじ、ほんのひとすじ差し込んだのは、
たしかに敬虔ともいえる思いだった。
そう、クリスマスにふさわしいような。



新刊、出ます!「マイヤ・プリセツカヤ たたかう舞姫」

  1. 2018/12/16(日) 17:11:53_
  2. 金亀からのお知らせ
  3. _ tb:0
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新刊、出ます!

マイヤ・プリセツカヤをご存知ですか?
ロシアが誇る、世界的バレエダンサーです。
日本に何度も公演に来ているので、観た人も多いのでは。
新刊は、そのマイヤさんの伝記です。
『マイヤ・プリセツカヤ たたかう舞姫』
(絵・城咲綾 監修・村山久美子 学研プラス)
12月18日発売です。

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マイヤさんは、旧ソ連のスターリン時代に生まれ、
戦争も体験し、数々の辛酸をなめてきた方。
バレエダンサーとしての活躍の陰に、
暗く巨大な圧力に抵抗してきた歴史があります。
まさに、戦う舞姫。
どうか、マイヤさんのファンのなってくださいね~。

ということで、昨日は、自分にご褒美を。
東京バレエ団の公演、ベジャール振り付けの
「サ・カブキ」を観てきました。
「仮名手本忠臣蔵」のバレエ化です。

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えっ、忠臣蔵?と思われた方も多いでしょうね。
ハイ、忠臣蔵です。切腹のシーンなども出てきます。
そう、バレエって、ものすごく「演劇性」があります。
マイヤさんも、人間の感情で踊りで表現できないものは、何ひとつない、
ということを語っておられました。

歌舞伎の所作や日本人体型?を活かした男性ダンサーの踊りには、見惚れます。

マイヤさんが、この作品を踊った記録はないけれど、
日本びいきのマイヤさんですから、もしかして「観世御前」役
(実際の忠臣蔵では、浅野内匠頭の奥方)を
踊りたかったかもしれませんね。


埼玉でこんなイイものが!

  1. 2018/12/09(日) 15:52:40_
  2. 金亀のひとりごと
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おもしろいものを見た。

鮭の遡上だ。しかも、“亜熱帯”である埼玉県内で!
鮭がやってくるのは、群馬県と埼玉県の県境を流れる坂東太郎・利根川。
自然遡上の南限とされている。

出かけていったのは、埼玉県行田市にある「利根大堰」だ。
この堰の三か所に魚道があり、鮭やコイの仲間たちが遡上するらしい。

利根川と利根大堰
② (2)

② (1)

魚道 
④

魚道のわきに「大堰自然の観察室」が設けられていて、

③

ぶ厚いガラス越しに魚道が見えるようになっている。

⑤

鮭の遡上は、12月中旬まで。
そろそろシーズンが終わるころで、鮭の姿、なかなか見えず。
小さいコイの仲間が、やってきた。
水流に逆らっていっしょけんめい上ろうとするが・・・
なかなか進めないの。がんばれ! 

⑦ (2)

しかし、なんのために上るのかな? 鮭と同じく、産卵のため?

待つこと30分。
キターーーーー! 
スマホを構えたけれど、間に合わなかった。
水流、けっこうキツイのに、鮭サマったら速いの!
あっというまに、泳いでいってしまった。

もう一匹来ないかな~と、じっと待つ。
すると・・・来た来た!
コンクリのブロックみたいなところを、
大ジャンプして来た!
思わず拍手。

こんなイイものが、埼玉県内で見れるなんて!
 
⑦ (1)

 アワアワで、鮭サマのすがたを、こんなふうにしか撮れず、残念!
(アワのせいではなく腕のせいです)

ここでは、11月には、産卵観察会も開かれている。

鮭は、この堰を1シーズンに数千匹、遡上するそうだ。
太平洋を渡り、千葉の銚子のほうから利根川に入り、
はるばる埼玉までの長旅だ。
春には、なんと鮎が、数万匹もやってくる。

埼玉人の埼玉知らず。こんないいところがあったなんて!
いっしょに鮭ツアーを楽しんだのは、
埼玉文学館を拠点とする童話サークルのみなさん。
案内役のTさん、ありがとう!

ランチは、行田市内の古民家カフェで。

⑧

車のなかでは、五家宝(ごかぼう、と読みます)やらイガ饅頭やら、
埼玉伝統スイーツの話で大盛り上がり。
埼玉人と、埼玉県内で遊ぶって、楽しいなあ! 

ここ行田には、「のぼうの城」の舞台の忍城や、
さきたま古墳群があり、大好きな街だ。
この魅力、もっともっと、日本中にアピールしてもいいのでは?
埼玉人って、「なーんにもないとこだよ?」が口癖になっているんでない?



合評の時間にありがとう

  1. 2018/12/02(日) 16:43:49_
  2. 児童書のぐるり
  3. _ tb:0
  4. _ comment:1
昨日は、ドキドキの一日だった。
日本児童文芸家協会主催の「デビューを応援するステップアップ講座」で
受講生の作品の講評を担当しちゃったのだ。
もう一人の講師は、先輩作家の沢田俊子さん。
沢田さんがいてくださるなら、安心安心。

17名の受講生の短編作品は、どれもハイレベルで、
個性を感じさせるものがたくさんあった。
沢田さん評とカナジ評が、食い違っているときがあり、むしろほっとした。
まったく同じでは、講師二人体制の意味がないもんね。

講評していると、
ひとの作品について、よくもぺらぺらと語れるものだぜ、
自分のヘボさを完全に棚にあげて・・・と心の声がチクチクと。
こんなキビシイこと言ってしまって、
すんませんすんませんと、弱気の虫が顔を出す。

それをドンと追い払ってくれるものがある。
「さわらび」そして「若樹」だ。

「さわらび」は、21年間お世話になった児童文学創作サークルで、
デビュー作も、この同人誌掲載の作品が元となっている。
サークルの先輩たちからの批評は、いつもていねいで的を得ていた。
わたしも、先輩たちの作品について、
ぺらぺらと、思いつくかぎり、しゃべりまくっていたっけ。

そんな「さわらび」での修業時代、時おり頭によぎったのが
学生時代に入っていた児童文学サークル「若樹」のことだった。
入会して、初めて作品を書いて(箸にも棒にもかからないシロモノ)、
初めて合評会なるものに参加した。
驚いたなあ。
自分では、書けているつもりだったのに、
本当はあんまりきっちり考えてなくて、
適当に流して書いちゃった箇所を全部、先輩たちにずっぷり指摘されたのだ。
「ここ、意味よくわかんない。なぜ主人公は、こんなこといったの?」
「え・・・なぜって・・・。なんとなく~」
そう、弱いところは、読み手にすぐバレる。必ず見つかってしまう。
合評会ってすごい。
うまくなるためには、ひとに原稿を読んでもらわなくちゃ、ダメなんだ。
・・・と、18歳のわたしの、目からウロコ体験だった。
その思いがあるから、「さわらび」でも、先輩たちにナマイキなことが言えた。
そして、こんなキチンとした講座でも、いっちょまえに講師として
話すことができる。

「若樹」は、大学のサークルだから、卒業とともに離れた。
「さわらび」も、同人誌27号をもって、2014年に幕を閉じた。
真剣で一所懸命、落ち込むこともいっぱいあったけど、
ものすごく楽しかった合評の時間に、心をこめて、ありがとう。

京都在住の沢田さん、こんな素敵なお菓子をおみやげに。
なんと、綿菓子! 綺麗すぎる! もったいなくて食べられないよう。

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主催の委員会のまりちゃんと、事務局のふみちゃんからの、心づくしのお菓子とお茶。

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オシャレすぎるかぶきあげ、
「イタリアントマト&バジル」味と「チェダー&カバンベール」味。
お茶は、ボトルキャップをひねると、お抹茶がボトルの中のミネラルウオーターに落ち、
出来立てのお茶になるというもの。おーいしー!

ハイ、食べ物でモチベーション上がるオンナです。



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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
イラスト:大塩七華
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)『となりの猫又ジュリ』(国土社)『クレオパトラ』『マイヤ・プリセツカヤ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師

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