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金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

シベリア紀行 その1 ロシアは広い!

  1. 2018/08/26(日) 20:36:26_
  2. 金亀のひとりごと
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地平線が見たい。
それが、中学生のころからの夢だった。
だから、行ってきました。シベリアへ。
「バイカル湖とシベリア鉄道五日間」のツアーに参加してきました。

往復ともチャーター機で、ロシアの「アンガラ航空」、
七五人乗りのちっちゃい飛行機だ。
座席は、二席と三席で、バスみたいな感じ。

3アンガラ航空の飛行機

実はわたし、ちょうど旧ソ連時代を生きた人の自伝などをこってりと読んでしまったので、時代が違うってわかっていても、
えっ、ロシア機? 整備はだいじょうぶ? 
ホテルは、お湯がちゃんと出るか?など心配だらけ。

初日は、ロシアのなかのブリヤート共和国の首都、
ウラン・ウデに、現地時間11時に到着。
時差はマイナス一時間だから、とても楽。
ホテルは、大きくてりっぱ、設備もちゃんとしていた。
タオルと石鹸以外のアメニティはないと聞かされていたが、
シャンプーや歯ブラシ、スリッパ、
お水のボトルや紅茶ティバッグやインスタントコーヒーもある。
ぜったい無いと思っていたドライヤーや湯沸かしポットもある。
おみそれしやした。
ドライヤー、持参するのが面倒なので、
髪の毛ちょん切ってきたんだけどね。

翌朝、ホテルの窓から見たウラン・ウデ市内。う~~ん、美的ではないな。
DSC_0254.jpg


朝食の、コケモモなどのべリーのミックスジュース(左)と、
ライ麦パンを発酵させて作るクヴァスというドリンク(右)。
これ、ちょっと香ばしくておもしろい。
パンを発酵させたドリンク? びっくりだけど、甘酒だってゴハンを発酵させるもんねえ。

 DSC_0257.jpg

さて、二日目はウラン・ウデからバスで一時間ほどの、
セメイスキーの人々が住むタルバカタイ村へ。
セメイスキーというのは、ロシア正教の一派ではあるけれど、
「古儀式文化」というものを受け継ぐ人々で、
世界無形文化遺産に登録されているそうだ。
セメイスキーの家は、窓や壁を色鮮やかに塗っていて、おしゃれ!

                  村のなかの家
家2
 

セメイスキー民族博物館で、
 民俗資料館入口

昔からの農機具や生活用具の見学。
どこの民族も、人間の営みというのは、大きくは変わらないなあ。
でも、バターを作るための桶などは、もちろん日本にはないね。

 バター桶

めずらしいのは、棺桶。
          かんおけ

セメイスキーの人々は、大人になるとそれぞれ木を切り倒し丸太にして、
それをくりぬいて何年もかけて自分用の棺桶を用意するという。
「終活」を、10代の終わりくらいから始めるわけだ。いいかも!

資料館の壁も、かわいくペイントしてあった。どこの家もこうして、家の中を飾るらしい。
長い暗い冬を、少しでも華やかに過ごす工夫だそうだ。

         壁画


村の民家で、セメイスキーの民族音楽を鑑賞。
みんな年配の歌い手さんばかりだけど、
すごい声量、みごとに重厚なハーモニーで、すごくよかった。

 音楽
             
圧巻は結婚式の再現。
日本人のご夫妻が花嫁と花婿の衣装を着せてもらったのだ。
社会人のお子さんのおられる中年ご夫妻だが、
きらびやかな衣装を一枚ずつ重ねアクセサリーを付けていくと、
どんどん若やいで、娘さんと若者の姿に見えてくる。
ツアーのみんなから、「おめでとう!」の声がかかる。
いやー、ほんま素敵でしたよー。

   結婚式

昼食は、セメイスキーの伝統的な家庭料理。
ゆでじゃが添えの牛肉の塩味煮込み、
赤いベリーのジャムをぬったパンや、ブッラクベリージャムを入れて焼いたパン、
塩味のねじりドーナツ、ピロシキ。
サーラとよばれる、豚バラ肉の塩漬けや、サラダ。
黒くてねっとりしたデザート、ひまわりの種で作るっていってたかな?
きなことチョコを混ぜたようなおもしろい味。
どれも、素材の味がわかる素朴なおいしさで、大満足だった。
   
料理3
                 料理1
                                        料理2

特に、パン類が異様にウマイ! 
わたしは小麦粉に軽いアレルギーがあるので、
日ごろあまりパンや麺類は食べないようにしていて、
パン、麺合わせて10日に一度くらい。
だから、たまにパン類を食べるときに、まずかったりすると腹が立つ。
この日のパン類は、持ってかえりたいくらいだった。

その日の夕食は、ウラン・ウデのレストランで、ブリヤート料理。
ボーズとかブーズとよばれる、でっかい小籠包のようなものが出てきて、
ナイフとフォークが添えられている。
切ると、肉汁がダバダバ・・・。ああ、もったいない!
皿をもちあげてすするか?と恨めしくにらんでいたら、
現地ガイドさんが、「これは本来は手づかみで食べるもの。
まず、てっぺんの穴から、肉汁を吸ってください」とおっしゃる。
うっしゃー! その通りにかぶりつくと、5割増しでおいしい。

   ボーズ

手も顔もベトベトで、なんか幸せ。

ああ、昔ながらの食べものはいいなあ。

民族音楽団がやってきて、演奏とダンスを披露してくれたが、
モンゴルの音楽やダンスとそっくり!

  踊り、モンゴル風

それもそのはず、ブリヤートの全人口の約4分の1は、モンゴル系の民族だそうだ。
そこここで、日本人そっくりの人をいっぱい見かけたよ。
セメイスキーの歌を歌ってくれたおばちゃんなんて、わたしの伯母にそっくりだ。
しかもここウラン・ウデは、モンゴルの首都ウランバートルと近い。
(といっても400キロ以上はあるけどね)
午後に見学した、ロシアチベット仏教の総本山、イヴォルギンスキー・ダツァンも、
モンゴルで見た寺院とよく似ていた。 
  イヴォルギンスキー・ダツアン


ロシアは広い。
四日目の夕食で入ったイツクーツクのレストランは、
ウスベキスタン料理店だったが、かの地も独立前は旧ソ連の構成国だった。
カスピ海に近いのに、ここもソ連だったのか!
ウズベキスタン料理の牛肉の岩塩焼きを食べながら(ウマイ)、
露出度の高い、くねくねしたベリーダンスを見たあと、
次にロシア民族舞踊ショーがあって、その対比がおもしろい。

                                DSCF8776.jpg


   ロシア民謡

ロシアの広大さに、ちっこい島国のおばさんは、
頭がクラクラしたのでした。

次回は、シベリア鉄道記です。

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「73年目」に寄せて

  1. 2018/08/12(日) 14:21:08_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
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  4. _ comment:1
今年も、終戦の日が近づいてきた。
何度でも書くが、わたしが一番怖いもの、それは戦争だ。

『火のカッパ』うるしばらともよし・作 やまなかももこ・絵 国土社 2018

   カッパ

戦時下の東京下町。
「東京大空襲」で火に追われにげまどうゲンタは、
炎のなかで、「むこうににげろ!」という声を聞く。
その声の持ち主は、もしや・・・
著者は、子ども時代に「悪さをするとカッパが来て隅田川に連れていかれるぞ!」
と祖母からおどかされ、カッパの存在を信じていたそうだ。
そう、カッパはほんとうにいる。この絵本を読むと、信じられる。
そして、カッパも平和を願っている。間違いなく。

その東京大空襲とは? 事実を丁寧に掘り起こし、
戦争を知らない世代にわかるように書き記したノンフィクションが、
『東京大空襲を忘れない 』瀧井 宏臣 ・著 講談社 2015

     空襲

空襲の体験者の証言は、あまりに悲惨で胸がつまる。
けれども、筆者の文章は暖かく、平和への祈りにあふれている。
数字の力がすごい。米軍により落とされた焼夷弾は32万発、
なくなった人はおよそ10万人。
「ヒロシマ」の死亡者数が12万人、「ナガサキ」が7万人だから、
その被害の大きさがわかる。
その焼夷弾とは? 「木と紙でできている日本の家屋」を効率的に燃やすために、
特別に開発されたものだそうだ。
だからこの空襲は「無差別攻撃」ではなかった。
禁止されているはずの民間人虐殺であり、「住民標的爆撃」だった、という。
これは、「無差別」よりも、数段ひどいんじゃないか?

そもそも、太平洋戦争て、どんなの?
そんな小中学生の疑問に答えてくれる物語が、
『ガラスの梨 ちいやんの戦争』
越水 利江子・著 牧野 千穂 ・イラスト ポプラ社 2018

        梨
 
戦時下、大阪の小学生だった「ちいやん」が体験した戦争。
かけがえのない日常が、少しずつ戦争という巨大な狂気、狂鬼にむしばまれていく。
兄の出征。動物園の動物たちの末路。愛犬にも恐ろしい運命が待ち受ける。
疎開、大阪大空襲。飢え。
どんなむごい環境でも、人は優しさを忘れない。希望を捨てない。
一日一日を、せいいっぱい生き延びる。
筆者のお母様の体験をもとに描かれた、渾身の物語だ。
「ちいやん」の辛さ、恐ろしさ、兄への思慕、「キラ」を守り抜いた思いが、
すんすん胸に迫ってくる。
戦争児童文学の決定版となるだろう。
それにしても、澄恵美姉やん、かっこええ!

「ちいやん」のおかあさんは、泣きじゃくる娘に語る。

「泣きな。泣いても怒っても、もうあてらには、どうしようもない。
これが戦争なんや・・・!」

ああ。
こんなことばを、
世界中の人が二度と口にしなくてすむ未来になるといいなあ。


ちぢむのは悲しいけれど・・・

  1. 2018/08/05(日) 17:38:41_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
10年前の服が着られない。サイズが合わないのだ。
・・・というと服がちぢんで入らない(太ったともいう)と思われるでしょうが、
逆だ。ぶかぶかなの。
といっても、やせたわけではない。体重計が示すとおりだ。
服全体が大きくなった、つまり、体がちぢんだ。
健康診断では、身長は確実に低くなっている。
ショックでガーンと頭に音が響くほど。
ま、老化なんやけど~。

ここは楽しい空想して、心をなぐさめよう。
なに、ちぢんでもいいことあるさ! 

体がちぢむといえば、ご存知、『不思議の国のアリス』。

アリス
作・ルイス・キャロル  絵・テニエル  ほか  角川書店 ほか 

薬を飲んで小さくなったり、ケーキを食べて大きくなったり。
ちなみに、「ちぢみ薬」は「ピッシュサルヴァー」、「
体が大きくなるケーキ」は「アッペルスヘンケーキ」というそうです。
チェシャ猫に会えるなら、この国に迷い込んでみたいなあ。

古典名作『小さなスプーンおばさん』もあったな。

  スプーン
作・アルフ・プリョイセン 絵・ビョールン・ベルイ 学研プラス

いたってふつうのおばさんが、
何の前触れもなく急に体がティスプーンくらいに小さくなってしまいます。
それでも、おばさんはへっちゃら。
持ち前の元気と機転でなんでもこなし、冒険を楽しんできます。
小さいって、楽しいわー。

最近読み返して、ううう、とうなったのは、『ちいさなちいさな王様』。

   王様
作・アクセル・ハッケ 絵・ミヒャエル・ゾーヴァ 講談社 

小さな小さな王様は、生まれたとたんに大人になっていて、
年をとるにつれて小さくなり、ある日だれにも見えないくらいになるんだって。
心身ともに子どもに帰っていくので、
人生の晩年に楽しい楽しい子ども時代が待っているそう。
この物語を最初に読んだ20年ほど前は、
その「小さくなって楽しんでおしまい」という部分に、
あまり「へー」と思わなかったのに、
今読むとすごくうらやましい。
むじゃきに遊んで笑って、そしてふっと世の中から消えられるって、いいなー。

これは、ちぢむといってもちょっと悲しい物語。
『千年万年りんごの木』(1~3)

 りんご
 作・田中相 講談社

雪深い昭和のりんごの郷で、ある新婚夫婦が村の禁忌をうっかり破ったため、
妻の「朝日」は小さく小さくちぢんでいき、
この世の者から遠い存在になって――。
朝日が愛らしく、また凛と美しく描かれています。
う~ん、淋しく切ないけれど、こんな「ちぢみ方」もいいかも。

な~んて、うらやましがるのもいいけれど、
現し身のワタシはこれ以上ちぢまないように、
たんぱく質にカルシウム、ビタミンDをいっぱいとらなくちゃ!




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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)『となりの猫又ジュリ』(国土社)『クレオパトラ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師
イラスト:大塩七華

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