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金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

アイヌ文化がちょっとしたブームって、知ってた?

  1. 2018/06/24(日) 17:49:08_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
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  4. _ comment:0
朝日新聞の6月18日の「天声人語」はうれしかった。
アイヌ語による車内放送を、北海道日高地方を走る道南バスで始めたというのだ。
記事によれば、
「チウレンカレㇷ゚ ウイナヤン」整理券をお取りください
「イヤイライケレ」ありがとうございました
などのメッセージがあるそうだ。いいなあ!

『ゴールデンカムイ』(野田サトル著。「週刊ヤングジャンプ」集英社にて連載中)
が快調だ。

カムイ (1)

画像の表紙イラストは、アイヌの少女アシㇼパちゃん。
かっこよくてかわいい! となりは、エゾオオカミのレタㇻ。
2018年「手塚治虫文化賞 マンガ大賞」を受賞している。
テレビアニメにもなり、現在放送中だ。
明治時代末期の北海道を舞台にした冒険活劇(けっこうスプラッタ)なのだが、
特筆すべきは、アイヌの少女が副主人公で、アイヌの人々の暮らしぶりや言葉が
ていねいに正確に描かれていること。
それもそのはず、千葉大学教授の中川裕先生(言語学者、アイヌ語研究者)が監修している。
アイヌ語のセリフが、字幕付きで流れてくるアニメって、
日本初じゃないかな。

アイヌは日本の先住民族なのに、文化も言語も
知らなさすぎるよねえ。もちろん、わたしを含めて、だ。
それについては,昨年10月のこのブログにも書いた。

そこでも書いたけれど、アイルランドの第一公用語は、「ゲール語」。
第二公用語が、英語。
ゲール語はケルト民族の言語だが、この言語で会話できる人は、
今では人口の1%も満たないという。
それでも、民族のルーツとしての言語を、一番に持ってくるこの誇り。

うん、日本人だって誇っていい。
ヤマト民族とは違う成り立ちと文化を持つ民族が、
日本の国土にいることを。

第一とはいわないけれど、アイヌ語が第二公用語になったら・・・
日本を見直しちゃう。

アイヌ語や文化に興味のある方、
わたしの『知里幸恵物語』(PHP研究所)の監修協力をしてくださった、
成田英敏先生のマンガ「アコㇿコタン」を見てね。   

   カムイ (2)


Webコミックアクションで、連載中! 
美しい人物デザインと涼やかな自然描写、楽しそうな暮らしぶりが魅力です。

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初めて見るのに、知っている

  1. 2018/06/17(日) 18:30:48_
  2. 金亀のひとりごと
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
正直いって、わたしはずっと草間彌生の絵は、
「なにがいいのか、わからーん」ですませてきた。
あの強烈なキャラとド派手な水玉模様に目が眩むだけだった。
ところが、少し前に訪れた埼玉県近代美術館の現代版画の展覧会で、
一枚の版画にくぎ付け。
遠目だったが「これおもしろい!」
近づいてわかった、草間彌生のカボチャの絵だった。

という話を、松本に住む長年の友人・たまさんにしたら、
「草間彌生は松本出身なの。今、大きな展覧会やってるよ。来る?」
ホイホイと出かけましたよ、松本市美術館。
『草間彌生 ALL ABOUT MY LOVE 私の愛のすべて』

絵画や立体作品、鏡を張り巡らせたミラールームなど、展示作品は約180点。
来館者数は10万人を突破したそうだ。

大きなオブジェがお出迎え。美術館全体が水玉もよう。

                DSC_0061.jpg

                           DSC_0062.jpg

せっかく来たのに、もしかして頭から???マークをいっぱい飛ばすだけだったら
どうしよう。
そう心配しながら見て歩いたが、とんでもない。
これはおもしろい!
初めて見るのに、脳の裏側で知っていたような世界だ。
しかもそれが無限に広がっている。
小宇宙であり、細胞のひとつひとつでもあり、生まれる前の世界でもある。

プロフィールに、『幼少から自身の内面に湧き上がる得体の知れないイメージに対して、
芸術をもって闘う』とある。
でも、闘ってねじ伏せたわけではない。
身から噴出させ、その力で自分を動かしているのだろう。
そして彼女は、回遊魚のように書き続けていく。そうしなければ呼吸できないのだろう。
かくて、作品は今日も増殖されている。彼女が生きている限り。

撮影可のゾーン。

       DSC_0063.jpg
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遠目はこういう感じでも  ↓            
DSC_0066.jpg

近づくとやっぱり、細胞のようにテンテンがびっしり!DSC_0067.jpg

なんの分野でもそうだと思うが、真剣に観よう、聴こう、感じようとすると、
思っていた以上の贈り物がもらえるものだなあ。

館内のカフェで一休み。
わたしは弥生ちゃんケーキ(ラズベリー)、
     弥生ちゃんケーキ

たまさんは弥生ちゃんパフェ。弥生ちゃんパフェ

少し足をのばすと、あがたの森公園。
旧制松本高校の校舎が、文化会館になっている。

       縣の森 図書館

古い木の匂いが、ぐるぐる興奮していたアタマを冷やしてくれた。




梅雨を乗り切る色

  1. 2018/06/10(日) 17:00:12_
  2. 金亀のひとりごと
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
好きだと気がついたのは、いつのころだろう・・・な~んて、
幼馴染への恋心じゃなくて、紫陽花のこと。

ネズミの額ほどの庭に、一輪だけ紫陽花が咲いた。
ピンクがかった青、わたしの大好きな色合いだ。

あじさい

紫陽花って、なんて梅雨に似合うんだろうと感じたのは
二十歳を過ぎたころだろうか。
小さな花の集まりは、どれだけ大きくなろうとも
清楚さを失わず、どんよりした梅雨空に映えること映えること。
ああ、わたしは紫陽花が好きだなあと気づいたとき、
胸に小さなペンダントをかけたような気がした。
というのは、わたしは完璧な花より団子派。
花が好きだと意識したことって、皆無だったのだ。
こんな情緒欠落人間のわたしでも、好きな花があった。それがうれしかった。

「好きな花」にこのごろ加わったのが、ドクダミ。
あの白い十字架が、はっとするほど美しい。

 ドクダミ

    
好きだな、と思うものが歩く道々にあるって、なんという贅沢だろう。

梅雨時の果物も美しい。
メロンを初めて食べた時のことを覚えている(昭和レトロだね~)
学校から帰ると、薄緑色のみずみずしい果物がおやつに出てきた。
プリンスメロン、と母に教えてもらった。
それまで、果物といえばリンゴやミカンや甲州ブドウという、
和モノばかり食べていたわたしは、びっくらこいた。
こ、これは、王女さまの食べ物だ!
そこで、名前を付けた。「メロリン」と。
母に、「メロンあるよー」と呼ばれるたびに、
「これはメロリンなの!」と力説したっけ。
だから、「プリンス」が王子さまと知ったとき、え‘‘~~と思った。
なんでプリンセスメロンにしなかったのか、今もふしぎだ。

これは赤肉系のクインシーメロン。なんてきれい。

 メロン


こちらは、いただいた梅で作った、梅シロップ。お庭の梅だから、完全無農薬だ。

  梅酒

このさわやかさ、日本の夏を乗り切るにふさわしいね。


知ってしまったら、元には戻れない

  1. 2018/06/03(日) 16:50:56_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
『さよなら、田中さん』鈴木るりか・作 西原理恵子・絵 小学館
を読んだ。
田中さん

6年生の花ちゃんのうちは、シングルマザー。そして、いわゆる貧困家庭だ。
それでも、建設現場で働く母は、ガハハと明るくビンボー暮らしを笑い飛ばし、
花だっていつも元気。友達にも信頼されている。

物語には、「今」がいっぱい。
友達の前に、離婚して去ったその友達の父が突然現れたり、
お母さんが再婚を考えたり、
ヒッキーになってしまった大家さんの息子やら、
クラスのなかで痴漢よばわりされてしまった男の子やら、登場する。
そのなかにあって、花ちゃんはいろいろ考え悩むが、
それがものすごく自然体だ。

こういう物語って、ひと昔前だと「ケナゲ感」満載だったり、
ちょっと前だと「ヒリヒリ感」が出てたりするけれど、
どっちも違う。
みずみずしく笑える(「カラッと笑える」のとは、ビミョーに違う)。
泣けてきちゃうのに、「泣かされた」感がない。
 
この物語はかなりの話題作だから、知っている方も多いだろう。
作者は、2003年生まれだ。今、中学二年生。
執筆したときは小学生だった。
うーーむ、舌を巻きすぎて、ぐるぐる三重巻きになってしまった。
世界の作り方、表現の押さえ方、人物の描き方、どれも見事。
最後の章の語り手は、クラスの男子になっている。
これにより、花ちゃん母子のイメージがさらにくっきりしたし、
物語に重みと余韻を与えている。この構成にもびっくり。

「中学生作家」ということを知り、読んだのだが、後悔した。
中学生ということを知らずに、読みたかった。
違う感想になったのだろうか? 
それでも、やっぱり舌はぐるぐる巻いただろうか?
たぶん、巻いただろうな。

こちらも、小学生ちゃんの絵本。
『一日だけうさぎ』原知子・作 こばようこ・絵 くもん出版
 
     うさぎ

 「おはなしエンジェル子ども創作コンクール」の最優秀作品が絵本化されたものだ。
その町には、一年に一度だけ住民全員がうさぎになってしまう日がある。
学校でもみんな、うさぎの姿。
学校のうさぎ小屋のうさぎたちと話ができて、「待遇改善」を求められたり、
授業は体育ばかりだったり、人間目線とは違う一日を過ごす。
物語の終わりは、こんな文章。
「まいとし、うさぎの日がおわると、町がまえよりずっといい町になっている。
わたしはこの町がだいすき!」
なんて素敵、こんな町に住みたいなあ。
うさぎになりたいよ~~~!

作者の原知子さん、これを書いたのは小学校三年生のとき。
かわいくてほろっとさせるこのセンス、すごいねえ。
これも、小学生ということを知らずに読みたかったなあ。

藤井聡太くんだけじゃない。天才は育っている。



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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)『となりの猫又ジュリ』(国土社)『クレオパトラ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師
イラスト:大塩七華

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