金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

5年半後の被災地を

  1. 2016/10/30(日) 18:29:04_
  2. 金亀のひとりごと
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
東北復興応援旅行と銘打って、友人三人と南三陸から気仙沼に旅しました。
震災後に東北を訪れるのは5回目です。

南三陸町のホテルに宿泊、翌朝震災語り部バスに乗り込み、
被災地を回りました。
ほんの1時間のほどでしたが、目と耳と足で得た光景は
テレビや写真とは違う、ずっしりと心に重たくのしかかってくるものでした。
海岸線じゅう、カサ上げのための土が運び込まれ、トラックが出入りしていました。

               DSCF7488.jpg


セイタカアワダチソウの黄色い花が異様に繁殖している海ぞいの空き地。
そこは、「あの日」まで家々が立ち並び、人々の暮らしがあった場所です。
震災のことが風化されてしまったら、
最初から人の住んだことのない海辺と思うでしょう。
「それが何より恐ろしい」と語り部バスのガイドを務めるホテルマンさん。

南三陸町立戸倉小学校跡地。
     DSCF7484.jpg


ここは、校舎と完成したばかりの新体育館ともに全壊したそうです。
しかし、学校にいた児童91名と教職員は、全員無事でした。
この学校では、偶然にも数日前に津波の避難訓練が行ったばかりでした。
避難場所は校舎の屋上となっていましたが、
もし大きな津波が来たら屋上に取り残されるかもしれないと
校長先生が危惧し、高台に避難場所を変更していたそうです。

あの日、その訓練どおり高台に避難しました。
しかし、やってきた津波を目にして、その大きさに驚き、
さらにその上の神社の境内に逃れました。
津波は、神社の赤い鳥居の下で止まったそうです。
その晩は、神社の小さな社屋に四年生までの子どもたちと高齢者が泊まり、
5,6年生と大人たちは屋外で、体を寄せ合って寒さに耐えました。
数日後の卒業式で歌うはずだった「旅立ちの日に」を歌って
はげましあいながら。

比べてはいけないのでしょうけれど、
84人が犠牲となり裁判が行われたばかりの石巻市立大川小学校のことを
つい思い出してしまいました。

南三陸町の献花台から、被災した防災庁舎跡をのぞむ  

             DSC00118③④
 (画像は、いっしょに旅したはなさん撮影)

二日目は、気仙沼に移動、フェリーで気仙沼大島に渡りました。
ここには「みちびき地蔵」というお地蔵さまが祀られています。
震災後、ネットなどで話題になったそうなので、
知っている方もいらっしゃるかもしれません。

昔、母親と幼い子どもがこのお地蔵さまの近くを通りかかりました。
子どもから年寄りまで、大勢の人々がお参りしています。
そればかりではなく、牛や馬の姿もあります。
このお地蔵さまには、死者を極楽浄土へ導くという言い伝えがあり、
翌日亡くなる人の魂が挨拶に来るといわれています。

翌日、浜辺は何十年ぶりかの引き潮となり、その後大津波がやってきました。
この親子は高台に逃げて無事でしたが、
61人の村人と牛馬6頭が波に飲まれて亡くなったといいます。
この大津波がいつの時代のことなのか、はっきりしませんが、
惨禍は昔もこの地を襲っていたのですね。

今回の震災でも、31人が亡くなっています。
このお地蔵さまも流されてしまいましたが、
島の人々ががんばって再建しました。
波にさらわれたお地蔵さまは、その再建工事中に見つかり、
現在は新旧両方のお地蔵さまが並んでいます。
    
            DSC09665③④
(画像は、いっしょに旅したはなさん撮影)
           
3日目は、気仙沼港ぞいのホテルに宿泊。

湾ぞいを散歩すると、家の土台だけがぽっかり残されているところ、
家屋はないのに、立派な門が衛兵のようにがっしり立ちんぼしている家・・・。
家の主さんに申し訳なくて、写真を撮ることができませんでした。

 気仙沼港の夕
            DSCF7559.jpg


わたしができるのは、こうして足を運ぶことぐらいですが、
「風化」へちょっとでも抵抗したいなあ。
この大災害の時代を生きている大人の責任として。

スポンサーサイト

創作コンクールつばさ賞ってすごい

  1. 2016/10/23(日) 15:47:31_
  2. 新しいインクの匂い
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
昨日は、わたしが所属する日本児童文芸家協会主催の
「創作コンクールつばさ賞」の授賞式でした。
わたしは、運営担当者として一日みっちり働いていました。
授賞者のみなさんの晴れやかな笑顔で、エネルギーチャージです
バタバタして当日の写真を撮りそこねましたが、
協会のHPで詳しくアップされていますので、そちらをご覧ください。

このコンクールは、二年に一回開催され、
新人児童書作家の登竜門となっています。
ここからデビューした人の数は両手両足の指を全部使っても足りません。
わたしもその一人です。

さて、次の本の作者さんも、つばさ賞応募作品の単行本化が出発点です。

「仙台真田氏物語 幸村の遺志を守った娘、阿梅」
堀米薫・作 大矢正和・絵 くもん出版

無題

デビュー作「牛太郎、ぼくもやったるぜ!」以来、

5118kvylg5L__AC_US160_ - コピー

優れた創作やノンフィクション物語を何冊も書いてらっしゃる堀米さん、
今回はなんと時代物語! すごすぎるよ、堀米さん!

真田信繁(雪村)は、大阪城落城のおり、娘の阿梅たちをひそかに逃します。
預けた先は、なんと敵方の武将である、片倉重綱。あの伊達政宗の腹心です。
その幸村の慧眼、
そして阿梅たち弟妹を受け入れた重綱と政宗の心意気と度量の広さに、
ぐっときちゃいました。
阿梅とその弟妹は、仙台で成長し・・・。
これはおもしろい!
どれだけの資料と格闘して、この世界を確立させたことでしょう。
イラストも美しくて、うっとり。

「なかよし おまもり、きいた?」
松井ラフ・作 狩野富貴子・絵 PHP研究所

rafu.png

デビュー作「白い自転車、おいかけて」後の二作目です。

51g0VHi-87L__AC_US160_ - コピー

一年生になったばかりのみくは、
かれんちゃんと一番の仲良しになりたくてたまりません。
でも、かれんちゃんには、まゆちゃんという仲良しさんがいて・・・・
ラフさんの簡潔でありながらほわっと暖い文章。
子どもの息遣いまで感じさせてくれる絵。
小さな女の子の胸の痛みが、その絵と文からそっと立ち上がってきます。
そうそう、あるよね、こういうこと、こういう思い。

ね、つばさ賞って、すごいでしょ? わたしもがんばれ!



「平たい顔族」の魅力

  1. 2016/10/16(日) 22:09:45_
  2. 金亀のひとりごと
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
バレエの「忠臣蔵」を見た。
東京バレエ団の「ザ・カブキ」。

slide01-t.jpg
 ※画像は、東京バレエ団のHPからお借りしました。

江戸時代の歌舞伎の「仮名手本忠臣蔵」を題材に、30年前に創作されたバレエだ。
振付はモーリス・ベジャール、音楽は黛敏郎。
ベジャールは、日本贔屓で知られる世界的振付家で、「ボレロ」が有名だ。
「ワンピース」の歌舞伎がある時代だもの、
忠臣蔵のバレエもアリでしょう!

舞台は、日の丸がどばっと出てきたりして、
うーむ、欧米人から見たジャパン文化という感もあったな。
歌舞伎の所作がたびたび出てくるし、拍子木の生音や謡の声に乗せて踊る場も多い。
おもしろいのは、「黒子」。ひんぱんに出てきて舞台上でいろいろオシゴトしていた。
ただ、シロートのわたしには、事前にストーリーを読んでいても、
今の踊りがなにを表現しているの???という場面も多かった。

踊りはキレがあり美しく幻想的、
かつオトコたちの端正な力強さ満載。
ちゃんと「バレエ」であり、ちゃんと「忠臣蔵」なのだ。
全体にクラシックバレエではなくコンテンポラリで、
スリリングでおもしろい。

それにしても、日本の男性ダンサーは、東洋人体形だなあ。
女性ダンサーは足長で欧米人とほとんど変わらない体形をしているのに、なんでかな?

でも、この演目に関しては、東洋人体形がいい。
「王子様」がお城で踊るのではないのだから。
なんせ、赤ふんどしいっちょで踊るシーンもあるのだ、
足長で「正面小顔」の欧米人ではサマにならないよなあ。

正面小顔――今、造語しました。
そう、「テルマエ・ロマエ」で日本人のことを「平たい顔族」と呼んでいるように、
東洋人は頭が大きいというより、顔が平たいからデカく見えるのだ。
西洋人は正面から見た顔は小さいけれど、横から見ると「奥行き」がたっぷりあるよね。

夏に見た「バレエの巨匠たち」の舞台を思い出す。

slider001.png
  ※画像は光藍社のHPからお借りしました。

マトヴィエンコとルジマトフという大スターを中心にしたガラ公演だ。
圧巻の素晴らしさだったが、なんというか、イチャイチャ感?に満ちていた。
男性ダンサーも女性ダンサーも、発するオーラが色っぽいのだ。
男女ペアの踊り、男性二人の踊り、男性ソロ、例外なくムンムンしている。
特に、ルジマトフのソロの「トゥオネラの白鳥」なんて、
もんのすごくなまめかしい。この世のものとは思えないほど。
こういう芸術的イチャイチャ感って、日本人には難しいんじゃないだろうか。
フィギュアスケートのシングルのレベルは世界一でも、
ペアやアイスダンスはさっぱりだもの。

でも、いいんだ。「平たい顔族」には「平たい顔族」の魅力がある。
「ザ・カブキ」にはそれがいっぱいだ。


「おれがあいつで」の呪縛

  1. 2016/10/09(日) 17:33:23_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
映画「君の名は。」が大ヒット。
ぜんぜん映画通ではないカナジですが、観ましたよ。
うん、ストーリーはおもしろかった! 映像も素晴らしかった。
でも、胸キュンというほどではなく、涙ポロリもナシ。
・・・やばい。枯れ果てているのか、カナジ?

それも、もちろんあるだろう(簡単にモチロンと言い切るな、自分!)
高校生男女の心が入れ替わり、
時空を超えてのすれ違い・・・という流れのなか、
恋愛モードに自分の意識が切り替わらなかったのは確かだ。

だって、男女の心が入れ替わるってことは、
自分の体を、10代のみずみずしい体を、
知らない異性が使っているということ。
すごくたいへんでめちゃくちゃ恥ずかしくないか?

そっちに意識がいってしまうのには、わけがある。
映画「転校生」の原作として知られる
「おれがあいつで あいつがおれで」(山中恒・著)を
中学生のころに、リアルタイムに雑誌連載で読んだからだ。
 
自分の体の変化や異性への意識、大人社会への欺瞞などなどが満杯で
バランスを失う危うい時期、この物語は強烈だった。
作者のペンは容赦なく、
男子にかくしておきたい女子の体の悩みなどを、
入れ替わった男子に経験させている。
知りたくもない小汚い?男子の体のことを、女子に体験させている。
それが、当時のわたしには生々しくエロすぎて、げっそりだった。
その後、映画「転校生」を観て、なんて清々しくユーモラスに切なく
映像化したのだろうと、びっくりした。

「君の名は。」は文句なしに美しい。
でも、やっぱり中学生だったあのころのわたしの
男女入れ替わりへのげっそり感と羞恥心を思い出してしまった。
山中恒先生、おそるべし。それだけの強さのある作品だったのだ。

こんな思いをした男女って、「同志」だろう。絆も生まれるだろう。
だからこそ恋心が芽生える、そう考えればいいのかな。
しかし、そうやって自分を納得させる時点で、
すでに物語の抒情性から閉め出されているなあ。
無念。

「おれがあいつで あいつがおれで」山中恒・作 杉基イクラ・絵 角川つばさ文庫 

   無題

ロングセラーとなっています。

入れ替わりといれば、こんな絵本も。こちらは、犬と男の子が・・・。
『ジローとぼく』大島妙子作・絵 偕成社

               51X26SPTRSL__SX258_BO1,204,203,200_

  楽しく、ホロリときます。


くねくね川愛好会結成!

  1. 2016/10/02(日) 17:27:39_
  2. 金亀のひとりごと
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
彼岸花、曼珠沙華。
死人花、捨て子花、幽霊花などとも呼ばれ、
不吉な花扱いされていましたが、
近年、埼玉の日高市の「巾着田」がこの花の名所として有名になり、
彼岸花のイメージが変わってきたのでは?

この秋、彼岸花を見に訪れたのは、
巾着田ではなく東秩父村の槻川の河原。
東秩父村農産物直売所のすぐ前です。
ここは、巾着田ほどの面積はありませんが、彼岸花の隠れた名所です。

        160927_112623.jpg

彼岸花も見事でしたが、川もなかなか風情があります。
蛇行している川って、いいよね。

     DSC_0591.jpg

まっすぐにどんどこ流れる川もいいけれど、
蛇行する川には、人をくつろがせる何かがあるのでしょう。
曲がっていていい、ゆっくり流れればいい、ときどきはちょっと溢れちゃってもいい。
そんなメッセージを、川から受けとれるような・・・。

オーストリアのオーヘンドルフ村を流れるザルツァハ川。

         オーヘンドルフから対岸はドイツ2


ここは「きよしこの夜」発祥とされる教会がある、小さな村です。
対岸はドイツです。

ノルウェー、オスロからフィヨルド観光の拠点に向かう途中のバスの車窓から。

 020.jpg


観光地でもなんでもないところです。
居眠りして目を開けるたびに、こんな絶景が。なんという贅沢。

「くねくね川愛好会」を結成しようかな。



NEW ENTRY  | BLOG TOP |  OLD ENTRY


プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師
イラスト:なかむらしんいちろう

« 2016 10  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR