金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

世界の創りかた――リアルと脱リアル

  1. 2014/12/28(日) 16:48:51_
  2. 新しいインクの匂い
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暮れの慌しい時期ですが、
しめくくりに、二冊の本をご紹介します。
「モーモー村のおくりもの」堀米薫さん・著 岡本順さん・絵 文研出版
「グッバイ山でこんにちは」間部香代さん・著 山口マオさん・絵 文研出版
ほぼ同時期に、同じ出版社から発売されました。

「モーモー村」がめっちゃリアリズムなら、
「グッバイ山」はめっちゃナンセンス童話です。
真逆ともいえる二作ですが、どちらも世界の創りかたが素晴らしい。

「モーモー村」は、ママをなくしたばかりの美咲が、
パパといっしょに山のなかの「モーモー村」にやってきて、
自然ゆたかな村の暮らしのなかで立ち直る、という物語。

                   モーモー

村の農家さんの暮らしがすばらしく、
ちまちまとした町住まいのわたしは、うっとり。
作者の堀米さんは宮城県で専業農家さんをされながら、
児童書作家さんとして活躍中の方ですから、この物語のリアリティは、
その地に足のついた暮らしに支えられているというのが、すぐにわかります。
しかし、農家さんだから書ける、というものではありません。
農家の暮らしのどこを切り取って、物語に生かすか。
農家さんにはあたりまえのことを、
農業を知らない読者に、どう伝えるか。
例えば、稲の花のにおい。稲モミをしごくと出てくる、お米の味の白い汁。
知らなかったわ。なるほど! 
おもちつきのシーンで、「もちつきの音は、正月がやってくる音だよ」と、
となりのおばあちゃん。なるほど!
あこがれの詰まった「なるほど」がたーくさん口をついてきました。
構えず、気負わず、さらりとさわやかに、暖かく。美咲の心に寄り添って。
その匙加減が見事です。

「グッバイ山」は、めずらしいナンセンス物語、高学年向きです。
ナンセンス絵本はあれども、長編物語はめずらしいのでは。
 あり日、グッバイ山の向こうを見たくなったサルのピエールは、
グッバイ山にトンネルをほることに。

       グッバイ

はあ? フツウは山を越えていくよね? 
脱リアルのありえない展開、でもやっぱりありえる世界、
かと思いきや、ありえないほどすてきにユーモラスなキャラが次々に登場します。
アリのママがやっている「ありのままカフェ」やら、
ドーナツが好きすぎてドーナツの穴まで?愛しているイタチのチタローやら、
いつも反対のことをいいあうウサギのニッチとサッチやら、
一味ちがうキャラばかり。
おつりの計算ができないことに思い悩んで
倒れてしまった「そのままカフェ」のジャイルに、
ひとけたの足し算もおぼつかないカナジは、深く共感したのでありました。
 くすくす、けけけと笑わせてくれながら、最後は胸に落ちる結末へ。
ナンセンスというのは、百万ワードの文章を並べるよりも
雄弁に哲学を語るんだな、と読み終わるころに気づかされます。
センスがない人にはナンセンスは創れません。
それができる作家さんは、稀有な存在です。

この間部香代さん、
ネットショップ&原宿のリアル雑貨ショップ「マッシュノート」オーナーにして
コピーライター兼童話作家さんというマルチな方。
かたや堀米薫さん、牛飼い、米作農家、林業という
アウトドアのお仕事をこなしながらの作家さん。
お二人とも、いったいいつ執筆しているのでしょうね~~~? 

ともあれ、みなさま、よいお年をお迎えください。
玄関のお飾りは、クリスマスが終わると同時に出しました。
明日は鏡もちを飾ります。

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敬虔さについて、不遜に考えた

  1. 2014/12/21(日) 15:06:07_
  2. 金亀のひとりごと
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クリスマスが近づいてきた。
わたしは、和の色彩が好みなので、実をいうとクリスマスの飾りより、
お正月飾りのほうが好き。
家にはツリーも飾っていない。が、気に入りの小物だけは出した。
ドイツ製の教会&聖歌隊のフィギュアと、
小さなマッチ箱に入っている教会。えへ、あいかわらずこんなものばかりです。

          DSCF6132+(640x480)_convert_20141221144800.jpg

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キリスト教信者ではないが、やはりこの季節、
グレゴリオ聖歌やレクイエムのCDをかけることが多い。
フォーレ作曲のレクイエムが好きだ。
扉を開けて薄陽差す野原に踏み出すと、そこはもうあの世、という感じがする。
ここで長年の疑問。
「宗教音楽だということをまったく知らずに聴いても、
敬虔な気分になるのかな?」

例えば、ギリシアの遺跡。パルテノン神殿など、白い神殿と信じられてきたが、
大英博物館の調査によれば、かつては極彩色に彩られていたそうだ。

    250px-Parthenon.jpg
            
(写真はウィキペディアからお借りしたもの)
それを、ヨーロッパ人が、白こそ高貴な色と決め付け、
色が劣化して薄くなっていたのをさいわい、ゴシゴシ洗浄して、
建物も彫刻も真っ白にしてしまったという(ヒドー!) 
白こそが神々しさの源だというのかな? 

秋に、京都の三十三間堂を訪れた。(写真はHPからお借りした)

                               250px-Sanjusangendo_temple01s1408.jpg

1001体の千手観音がおわす観音堂は、
歳月を経た木造建築独特の黒茶色だが、
建設同時は外装は朱塗り、内装も極彩色だったそうだ。
フルカラーのお堂に並ぶピカッと金色の観音様たちのお姿は、
これぞ極楽へのお導き、と訪れた人々の感動を誘ったことだろう。
でも、今のわれわれの感覚では、
あんまりハデハデしいとありがたみが経るような気がしませんか?
ギリシア建築を白くしたことを、批難できないかも。

敬虔さ、神々しさ、宗教的なありがたみ。
それらのベールは、数世紀かけての思い込みの産物かもしれない。
幼児の目や、事前学習なしに地球にやってきた宇宙人の目には、
どんなふうに映ることやら。
……などど、クリスマス前に不遜なことを考えていました。
ひねくれているなあ!


投票日に思う、戦争体験者の物語

  1. 2014/12/14(日) 15:06:25_
  2. 金亀からのお知らせ
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「やくしん」という雑誌の1月号、「未来に伝えたい戦争体験」というページに、
物語を掲載させていただきました。(イラスト・藤本四郎さん)
一年間の連載で、光丘真理ちゃん、深山さくらちゃんの三人で順次担当します。

            DSCF6173+(640x480)_convert_20141214145728.jpg


第一回は、三重県津市にお住まいの男性で、十五歳のときに海軍予科練に入り、
そこで終戦を迎えたという方を取材し、物語にまとめたものです。
 あのころ、「見事散りましょ国のため」なんて思い込まされていた少年たち。
でも、この後藤少年は、ちょっとちがう。きちんと状況判断できる少年、
軍部への冷静な目を持っていた少年でした。それが、とってもうれしくて……。
人間の感性と理性の奥深さに感動した取材でした。
 この方、御年八四歳ですが、お話を伺っているうちに、
十五歳の少年の面影がちらちらと浮かび上がってきたのには、驚きました。

 それにしても、十五歳ですよ? 中学生か高校生だよ? 
そんな年の子が、いや、どんな人間でも、戦地に赴くことを正当化する理由はひとつもありません。
 
さきほど衆議院選挙の投票をすませてきました。

戦争ができる国になり、日本の農家さんがTPPでばたばたやられ、
原発ががんがん作動して地震のたびにひやひやし、核廃棄物はどんどんたまっていき、
カジノの不夜城ばかりが夜空にきらめく――。
そんな日本はまっぴらです。

戦争体験者がこれ以上増えませんように。



カエル愛は壮大な地球史とともに

  1. 2014/12/07(日) 12:15:25_
  2. 金亀からのお知らせ
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始まりました。
幼年向きの童話「カエルの子、グリンとビョルン」
毎日小学生新聞へ連載開始です。
     
       DSCF6168+(640x480)_convert_20141207120716.jpg
             
日曜日のみの全8回。
連載期間が、12月、1月といういわばゴールデンタイムなので、
12月の四回はクリスマス編、1月の四回は正月編です。
絵は、片山なのあさん。かわいくて、色遣いがオシャレでしょ。
(あ、写真がヘタすぎてうまく写ってない! なのあさん、すまんです)

亀を飼って22年、すっかり「カメラー」となったわたしですが、
カエルも大好きです。
しかし、記憶を紐解くと、実は小学校3,4年生までは
爬虫類両生類は大の苦手だったような……。
トカゲをつかんだバカ男子に追いかけられ、
学校中を逃げ回ったことさえあります。

それがいつのまに好きになったのか、はっきりしませんが、
恐竜に興味を持ったことがきっかけとなったかもしれません。
恐竜たちの繁栄の歴史は人類よりもはるかに長い、と知って、
爬虫類への嫌悪が畏敬に変わったような気がします。
その愛が両生類へも波及したようで。

ともあれ、カエルはカワイイですね~。

フギュアコレクションから
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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師
イラスト:なかむらしんいちろう

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