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金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

コロナ禍の日々に  おはなし会は三密だけど・・・

  1. 2020/06/02(火) 16:54:51_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
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昨日から各地で学校が再開された。
長い長いお休みだった子どもたちは、
どんな思いで学校に向ったのだろう。
再開といっても、時間差登校だったり
休み時間でも友だちとおしゃべりしちゃいけなかったり、
う~~ん、楽しくなさそう。
学校というところは、勉強よりも
友だち付き合いを、人間関係のややこしさとおもしろさを、
学ぶ場と思うのだけど。
友情も、初恋も、お預けになってしまうのかな。

そんな心配と比べると、ささやかすぎて申し訳ないのだが。
おはなし会のこと。
わたしが30年ほど細々と続けている絵本の読み語りボランティアも、
もう三か月も中止となったままだ。
この先、おはなし会が復活する日か来るのかなあ。

わたしが通っているのは、主に市内小学校の放課後児童クラブと、図書館だ。
仲間たちは、保育園や小学校の朝の読書タイム、
保健センターの乳幼児健診での絵本タイムなどにも出向いている。
ちっちゃな子たちが何人も、体をくっつけあうようにして座り、
その前でわたしたちが語り、読む。
声が散らないように、窓はしめておくことが多い。
・・・三密になってしまうんだよねえ。

慎重に選んだ絵本が、子どもたちにジャストフィットすると、
彼らの瞳が輝き、満足そうな声がもれる。
それだけをご褒美にがんばってきたのだけどな。

★冬から春にかけて、読みたかった絵本

『いってかえって星から星へ』佐藤さとる・作 田中清代・絵 ビリケン出版

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宇宙船での地球への旅。
見開きが最後に来ると、絵本を上下反対に持ち変える、
するとページをもどって《帰りの旅》になるという、おもしろい企画の絵本。
とにかく宇宙船や地球の絵が美しくてわくわく!  

『なわとびしましょ!』長谷川義史・作 復刊ドットコム

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 大縄跳びをしている気分そのままにリズミカルに読むと、
子どもたちと一つになれる感がたまらない!

『月へミルクをとりにいったねこ』
アルフレッド・スメ−ドベルイ・作 たるいしまこ・絵 福音館書店

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 ネコのかあさんの一所懸命ぶりにホロリ、でも笑っちゃう。

★春から初夏に読みたかった絵本

『ルラルさんのにわ』いとうひろし・作 ポプラ社

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 最後の見開きで、子どもたちみんなオーッという声。
晴れた五月に読むと最高にキモチいい。
『ニニロのおとしもの』いとうひろし・作 教育画劇

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 マヌケなトカゲのニニロに、子どもたちは爆笑しながらユルーい気分に。

『ぎょうれつのできるケーキやさん』ふくざわゆみこ・作 教育画劇

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 おいしそうなスイーツが画面いっぱいに。庭でケーキを食べると、いいことあるよ!

これらは自宅の、そして図書館の書架におしこめられたまま、季節が変っていく。
絵本たちもさびしがっていることだろう。

どうか、幼い子たちが絵本を読んでもらう楽しみを忘れませんように。

そして、子どもたちが「よその人は汚い」と完全にすり込まれる前に、
このコロナ禍が収束してくれますように。


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「十万石まんじゅう」読書

  1. 2020/03/30(月) 16:58:07_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
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3月中にキャンセルになった用事は、10件となりました。
大きい会議や小さい集まり、カルチャーセンターや童話教室、すべてナシ。
こういうときはおとなしく読書だ!

この二冊、「十万石まんじゅう」でした。 
「うまい! うますぎる」ってこと。
(あ、埼玉県民しかわかりませんね。
ちなみに、このキャッチコピーは、版画家の棟方志功先生によるものです)。

『ガラスの封筒と海と』アレックス・シアラー・作
           金原瑞人 西本かおる・訳  久保田潤・絵 求龍堂
  
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トムは、小さな港町で母親と姉と暮らしている。
ある日、彼はガラス瓶に自分のことを書き綴った手紙を入れ、海へ放ってみる。
だれかが瓶を拾い、返事をくれることを夢見て。
そして、ある日ついに返事が来た。
だがそれは、トムの手紙の終わりに記したメールアドレス宛ではなく、
ひょっこりと海から川へと遡ってきた、瓶の中に入っていた。
トムのガラス瓶の手紙を受け取った人が、
返事をガラス瓶に入れて、海に放ったらしく、
それを自分が受け取れるとは、奇跡に等しい。
いったい、どんな人が返事をくれたのか? 
 
この物語はファンタジーです。
しかしファンタジーと気づくのは物語中盤をすぎてから。
そして、ファンタジーには「入口」と「出口」が必要不可欠のはずですが、
この物語には入口も出口もなく、
ファンタジーなのかリアリズムなのかも、あえてはっきりとさせていません。
これって、アリ? 
うん、アリだ。だって、すごくおもしろいのだから。
ヘタをしたら出来損ないのファンタジーもどきになってしまうでしょうに、
さすが、アレックス・シアラーは「うますぎる」。
トムの心の揺れや、《死んだ》父への思いが、
磯の匂いや波音と共に、五感に訴えてくる物語です。

『きみひろくん』いとうみく・作 中田いくみ・絵 くもん出版

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小2のきみひろくんは、なんでもできる優等生。
だけど、ぼくにだけは、こっそりうそをつく癖がある。
「オリンピックに出ないかと誘われた」とか「家でゾウを飼っている」とか。
なんでだろ? 
ある晩、きみひろくんは、公園のどかんを通って、
父親のいるアメリカに行く、といいだし――。
いつもがんばっているきみひろくんの姿と、
彼のうそを受け入れるぼくのやさしさが、
やわらかい満月の光に、浮かび上がってきます。
こちらも、ヘタすれば「あっそう、それで?」という感じの物語になってしまいそう。
けれどもみくさんの筆は、
二人の思いをこの上なくしっとり自然に滲みだしています。
彼らの息遣いが聞こえるくらいに。
こちらも、「うますぎる!」
わたし、当初は「これは、大人が読んだほうがおもしろいかも」と思ってしまった。
が、きみひろくんのような子は、きっと少なからずいます。
そんな子にあこがれつつも、ちょっと困っている「ぼく」みたいな子も、
やっぱりいるはず。そこがすごくリアル。
だれもみんな、いろいろな思いを抱えながら一所懸命生きているんだ、と
小さな読者は深いところで感じてくれるでしょう。
中田いくみさんの絵も、ぴったり。ああ、いとしい少年たちよ。

コロナ籠りの日々、開館してくれている図書館に感謝です。



ウイルス、バイオハザード、そして憲法改正も恐い!

  1. 2020/02/02(日) 17:05:01_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
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新型コロナウイルスが、連日ニュースで取りあげられている。
武漢という地名もすっかりメジャーになってしまった。
この地球規模の厄災を、国境超えて研究し力を合わせて撃退できたら・・・
なんて思うのだけれど、
それより速く地球規模で、風評だの、中国籍の方への偏見、
はては東洋人全般への偏見が出てきそう。
身近にも、「中国人がいそうなところには行かない」という人が現れた。
正しく恐がるって、難しい。

そして、こっちはほんとに怖い!
自民党内から緊急事態に「一時的に国民の権利を制限する」ことのために、
憲法改正を訴える声が出ているってこと。
感染地域からの帰国者の移動などを制限することが必要になるかも、
との考えによるものだそうだが、
それに憲法改正が必要かあ??? フツーの法律や条例で十分対処できるでしょ!
現政権はなにがなんでも憲法9条改正に持っていきたくて、
国民に憲法をいじることを慣れされようとしてるな。

それはともかくとして。
こんな物語を思い出した。

『泥』ルイス・サッカー作 小学館

 泥

 世界中で数百万部超えのベストセラー、『穴』。

穴

その作者、ルイス・サッカーの作品だ。

舞台は近未来、アメリカ・ペンシルバニアの小・中一貫校。
そこは立ち入り禁止の森に囲まれている。
森のなかの農場では、クリーンなエネルギーを研究している、らしい。
しかしその森には、ブクブクと泡を吐いている生暖かい泥がある。
それに触れた三人の少年少女の体には水ぶくれができ、どんどん広がっていく。
この泥はなに? 被害は瞬く間に拡大し・・・、

『穴』同様、映画を見ているような感覚。ていねいな描写に緊迫感が漂う。
こちらの厄災はウイルスではなく、バイオハザードなのだが、
終わりのほうは武漢が置かれた状況を見ているよう。
そして、ラストは子どもたちの友情にほろり。

こちらは、体の仕組みがよーくわかるコミック。
『はたらく細胞』清水 茜 作 講談社 シリウスKC

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人体を構成するのが細胞。
その細胞を擬人化しちゃったコミックだ。
赤血球さんに免疫細胞さん、血小板さんたちが大勢で日夜守っている体内に、
ウイルスや細菌やらスギ花粉やらが侵入したり、ガン細胞が発生したり。
さて、彼ら彼女らは、テキとどう戦うのか?
キャラ(細胞)がアイドルっぽかったり、
クールなイケメンだったりしてドラマを盛り上げ、
なかなか感動的。

そういえば、かの昔、『ミクロの決死圏』というSF映画があったな。
 
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医者が細胞サイズに小さくなって、脳内出血を起こした患者の体内に潜入し、
病原を取り除くというもの。
CG全盛の現代から見たら、映像的にはおそらくチャチいだろうが、
内容はすんごく面白かった!

医学の進歩は素晴らしいけれど、
ウイルスや細菌のほうが上手を行く場合も多い。
早く収束することを祈るばかりだ。
そして、くれぐれも、『泥』のような新な厄災を背負いこみませんように。



年末の終い詣はオオカミさま

  1. 2019/12/29(日) 16:40:14_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
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厳寒の秩父・三峯神社へ行ってきました。
ここは、奥秩父の一番奥、峠の向こうは山梨県です。

この神社は、パワースポットとして有名なところ。
「白い氣守」というお守り求めて、渋滞が起きるので、現在は発売休止しているほど。
ヤマトタケルが東征の途中にこの地にわけ入り、
イザナミとイザナギをお祀りしたのが始まりという、
めっちゃ由緒正しく格の高い神社です。
山の空気がおいしい! いっぱい深呼吸をしてきました。

わたしの目当ては「大神さま」――狼さま。
かの昔、この地で、ヤマトタケルの道案内をしたのが、オオカミ。
秩父には昔はオオカミがたくさんいたのでしょうね。
オオカミはヤマトタケルの元で、勇敢で忠実な働きをしたそうで、
それ以来この神社のお使い神さまに定められたとか。
というわけで、ここは狛犬ではなく、オオカミさまが門を守っておられます。

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「ご眷属拝借」といって、オオカミさまのチカラを一年間「借りる」こともできるそうです。
オオカミさまが、一年の間、厄災から家を守ってくれるんですって。

ニホンオオカミは今もどこかで生息している、目撃情報もあるぞ、などと
ときおり話題になるように、絶滅を惜しむ声は多いようです。
ふーむ、絶滅? 家畜伝染病や狩猟などが原因だそうなので、
つまり人間によって「絶滅させられた」のでしょう。
オオカミが人里を襲うこともあったでしょうが、
それよりも、日本においては猪や鹿に山村の農作物を荒らされることを防いでくれる、
まさに神さまだったはず。
そこが、欧米流の「悪いオオカミ」と一線を画すところ。
こうして「大神さま」として祀られていることが、せめてもの救いなのか、
はたまた人間の身勝手さのあらわれか・・・。
オオカミさまは、人間を恨むでもなく、守ってくださっているようですが。

荘厳な神社です。

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これ、本殿でも拝殿でもなく、手水舎の屋根なんです!
こんな美しい手水舎って、初めて見ました。

こちらが拝殿。

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こちらは、『オオカミのお札』三部作 おおぎやなぎちか 作 中川学 絵 くもん出版
2018年度の「児童文芸家協会賞」受賞作品です。

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 江戸時代、「疱瘡」が流行した村の少女、太平洋戦争時下を生きる少年、
そして、現代・東日本大震災に遭った少女。
それぞれの時代の少年少女が、「大神」に願ったこととは・・・?
土地に根差した作者の思いが三作を貫いて、
ずっしりと伝わってきます。

 作品の舞台は秩父ではなく、多摩地方。
 「大神」さまは、現代のわたしたちが想像する以上に、
山の守り神として、日本中に根を下ろしていたのでしょうね。

今年も「金亀苑」をのぞいてくださったみなさま、
ありがとうございました。
お守りのおすそ分けに(そんなの、アリか?)、
オオカミの絵馬の画像をどうぞ

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2020年も、どうぞよろしくお付き合いくださいませ。


『アコㇿコタン』出版お祝い会 

  1. 2019/12/08(日) 17:06:12_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
昨日は、楽しい日でした。
成田英敏先生の『アコㇿコタン』(双葉社)出版のお祝い会です。

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編集長さんはじめ、成田先生のマンガのお仲間による会なのですが、
共通の知人に無理をいって参加させていただきました。
成田先生のアイヌ語講座のお弟子さん、Hさんもいっしょ。
会場は、これ以上にふさわしい場所はない!という、
新大久保のアイヌ料理店「ハルコロ」。
ハルコロは、「食べものの困らない」という意味のアイヌ語です。
語感、かわいいでしょ。

このお店では、アイヌの伝統料理とともに、北海道料理も食べられます。
    鮭のルイベ
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 鮭の白子の揚げ物 
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鹿肉100%ハンバーグ 
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アイヌの伝統食材のキトピロ(行者ニンニク)の醤油漬けやお浸し、
すごくおいしかった! でも写真を撮るの忘れた・・・。

この本を改めて読み返すと、構成もすごく巧みであることに気づかされます。
プロローグは現代の子どもたち。
アイヌ文化に触れたことのない読者でも、
すんなりと物語に入っていけるように、とのことでしょう。
第1話から第16話で、アイヌの小さな集落の日々の暮らしを描いています。
登場人物のなかには、アイヌの村で育った和人の女性もいるんですよ。
そう、和人が何らかの事情で育てられなくなった子どもを、
アイヌの村が引き受けて我が子として育てるということは、
珍しいことではなかったようです。
そして、エピローグでは再び現代の若者たちを主人公として
いまだ続く差別問題を描き、「アイヌの今」に無理なく思いを重ねることができます。

ラストシーン、アイヌの血を引く大学生シノちゃんの、
「イタカンロー」(アイヌ語での弁論大会)の一節です。

はるかな昔から―― 
敬愛すべき 私たちの祖先が ここで生まれ 
ここで亡くなり・・・
(中略)
豊かに 暮らしていた
私たちの里に 私たちの大地に 
今 わたしたちもまた 
ここにいます

そう、「ここにいます」。
この素敵な文化の継承者が、ここにいます。

わたしは、あまりに力不足で継承者にはなりえませんが――
この『アコㇿコタン』が、たくさんのたくさんの人に届くことを、
願い、祈っています。


サイン、いただいちゃった! わーい。

     DSC_0770.jpg





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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
イラスト:大塩七華
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)『となりの猫又ジュリ』(国土社)『クレオパトラ』『マイヤ・プリセツカヤ』(学研プラス)『読む喜びをすべての人に 日本点字図書館を創った本間一夫』(佼成出版社)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師

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