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金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

三月のおはなし会から

  1. 2019/03/31(日) 15:00:00_
  2. 読み語りは楽しいな
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桜が三分咲きとなった。
でも、椿はだいぶ前から満開。えらいぞ、椿。

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椿の咲くころになると、『いってかえって星から星へ』を手に取る。
(佐藤さとる・文 田中清代・絵  ビリケン出版)

無題

先日、三月の放課後児童クラブでのおはなし会で読み語った。

ある星の宇宙船が、地球に接近! 乗組員が降りたったのは・・・。
この絵本は、最後のページまで行くと、上下ひっくり返してページを逆もどりしながら読み、
最初の絵に戻っていくという、おもしろい作りになっている。
つまり宇宙船の地球への往路と、復路の絵が共通なのだ。
でも、上下逆だから、ついさっき見た絵であることは、すぐにはピンと来ない。
そのくらい、ひっくり返していてもちゃんと成立する巧みな絵ということかな。
椿は、登場する地球の景色に(ニホンの、何の変哲もない児童公園)描かれている。
美しい宇宙船、美しい地球に、見惚れてください。

ほかに、よく三月に読むのは、
『ロバのシルベスターとまほうのこいし』ウィリアム・スタイグ 作・絵 評論社

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一年のしめくくりに、じっくり読みます。
自分を大切にすることや、
パパとママがどんなに我が子を愛しているかを知ってほしくて。

『ひつじのメイ パパとママ』穂高 順也・作 沢田 としき・絵 キッズメイト

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 パパとママは、なぜけっこんしたのかな?
そんな疑問をいだいたひつじのメイ。
自分が生まれてきた意味を問うお話ではあるのだが、
まあそこはあまり難しく考えないで、
次々に出てくる
もしパパがブタだったら? とかママがゾウだったら? などの展開を
子どもたちといっしょに楽んでいます。
わたしは、いろいろな動物とヒツジとのハイバイブリットとなったメイの、
「ブヒーメェェェ」とか「パオーメェェェ」とかの鳴き声を、
高らかに読むだけで、テンション上がるわ。 

さて、四月からまた、放課後児童クラブで新一年生と会える。
一年間、いっしょに絵本やおはなしの世界を旅しようね。

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クリスマス絵本で、極寒の国へ

  1. 2017/12/17(日) 17:53:14_
  2. 読み語りは楽しいな
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  4. _ comment:0
クリスマス絵本で、極寒の国へ
 
市内の放課後児童クラブで、絵本の読み語りボランティアをしています。
12月は、やっぱり一冊くらいは、クリスマスの絵本をプログラムに入れたいところ。

で、今回読んだのは、これ。

『サンタクロースのおてつだい』
ロリ・エベルト 著 ペール・ブライハーゲン 写真 ポプラ社

サンタ

写真絵本です。
でも科学絵本やノンフィクションではなく、ファンタジー。
フィンランドを舞台に、小鳥や馬やトナカイの助けを借りてサンタさんに会いに行き、
プレゼントの配達のお手伝いをする、という内容です。
ストーリー自体は、目新しいものではありません。
でも、動物たちと主人公の少女のあまりに自然なたたずまい、
雪原の美しさに、ほ~~~~っと息を飲むほど。

読み始める前に、子どもたちに、ちょっとよけいなことをいいました。
「これね、絵じゃなくて写真なの」
すると、食いつき方が違う! 
「写真? じゃあ、ほんもの?」
「ぬいぐるみじゃないの?」
「ううん、ほんものだよ」

ほんとうに、ほんものの動物写真です。
本文の画像を載せられないが残念!
どうやって撮って構成したのかな?
サンタさんのそりが空を飛ぶところなども、ものすごく自然です。

この絵本、読むと10分くらいかかってしまう長いもので、ちょっと心配でした。
ストーリーテーリングでは、10分15分のお話でも、
こどもたちはちゃんと聞いて楽しんでくれます。
でも、絵本の場合、10分だと飽きてしまうことも。
じっと絵を見つづけるのが、くたびれるのかもしれません。 
絵本はもともと、大勢を相手に読み語るものではないからでしょう。
自分で読んだり、一対一で読んでもらうときはだいじょうぶ。
だから、大勢に読み語るときは、お話のおもしろさはもちろんですが、
絵に魅力がないと集中力がもたないのです。

この美しい写真絵本に、子どもたちはたっぷり浸ってくれたようでした。
写真の力ですね。

わたしが特に好きなのは、美しい雪原、そして「ジャコウウシ」。サンタさんへの道案内役で登場します。

ジャコウウシ
(写真は、ツアー会社の「生涯感動」さんHPからお借りしました)

ジャコウウシは、アラスカや北欧やカナダ北部のツンドラ地帯に住む大型のウシ科の動物で、
冬眠しません。極寒の北極圏で群れで生きています。

敵に襲われたり、強風で寒さが厳しい時には、オトナが円陣を組み、
その中に子どもたちを入れて守るそうです。
マイナス50度の雪嵐に円陣を組んで立ち向かう、ジャコウウシ・・・泣けません?
体毛や呼吸器官は、おそらく地球上でもっとも寒さに適応しているのではないかな。
10年ちょっと前にアラスカに行ったときに、その存在を知り、大好きになりました。

寒さが駆け足でやってきた今年の冬、
おこたで、寒い国の絵本を手にとってみては? プレゼントにもお勧めです。



文字によって失うものもある

  1. 2017/09/10(日) 15:39:45_
  2. 読み語りは楽しいな
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
もらっちゃった。かわいいお手紙。
小学二年生の女の子から。

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わたしの本「逢魔が刻のにおい」(学研)がおもしろかったって!うれしいなー。
でも、この本、中学年向きでわりと長いんだけど・・・
と思ったら、「まい日ねるまえにお母さんがよんでくれる」んだって!
いいなあ。素敵な母娘さんにこの本を選んでもらえて、幸せだなあ。

大人はついつい、小学生なら、いや、幼稚園児であっても、
早く自分で読んでほしいと思いがち。
でも、ゆっくりでいい。
耳から入る文章を頭のなかで映像化するおもしろさを、まず感じてほしい。
だって、人類の進化の道すじは、そうだもの。
ことばがあり、絵や図形や造形があり、それから文字だもの。

文字を持たない民族は世界中にたくさんある。
記憶力がすごくいいらしい。
アイヌの人々もそうだった。
三日もかかる長大な英雄叙事詩をよどみなく語ることができた。
ケルトの民には、吟遊詩人というロマンに満ちた職業があった。
アイヌと同じく、膨大な詩物語をそらんじていたのだろう。
数年前に訪れたモンゴルも、その昔は文字を使っていなかった。
たまたまかもしれないが、ツアーのガイド嬢は記憶力抜群で、
電話番号のメモなど不必要、すぐに覚えてしまうから、とのこと。「みんなそうですよ」だって。
モンゴルの力士たちがみな驚くほど日本語の習熟が巧みなのも、
無関係ではないかも。

人類が文字を持つことによって、失うものもあるに違いない。
記憶力や音声からのイメージ力やら。

図書館へ絵本の読み語りボランティアに向かうと、
絵本を一心に「読んでいる」小さい子がいる。
小さな声で、たどたどしく文字を読んじゃっているのだ。
「おばちゃんが読んであげようか」というと、
ママから「自分で読めるからいいです」なんてやんわりと断られるときもある。
あらら、残念。でも無理強いは禁物だ。

なかには、「読んで」と差し出してくれる子もいる。
ゆっくり読み語ると、おお、目線はちゃんと絵に注がれていて、満面の笑顔。
そう、絵本の場合、字を読んでしまうと、
絵のおもしろさをつかみ取る力が弱まるのですわ。
大人も同じ。ほかに人に読んでもらうと、絵本は2倍おもしろいですよ。
絵の魅力、細部にこめられた画家さんのこだわりや遊び心が見えてくる。

できたら一対一か一対二くらいの少人数で、
ゆっくり絵を楽しめるスピードがいいな。

もし、図書館などで絵本の読み語りをしているところに行き会ったら、
どうぞ子どもたちにまぎれこんで、
絵と、耳から受けとる情景を楽しんでみてくださいな。

わたしの好きな、細部も楽しめる絵本 

『かいじゅうじまのなつやすみ』 風木 一人 作 早川 純子 絵 ポプラ社

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『ちょろりんのすてきなセーター』 降矢なな 作・絵 福音館

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『ちゃんがら町』 山本孝 作・絵 岩崎書店

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『魔女ひとり』 ローラ・ ルーク S.D. 作 シンドラー 絵 小峰書店

無題


衿を正されます

  1. 2016/11/27(日) 18:01:08_
  2. 読み語りは楽しいな
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  4. _ comment:0
このところ、気になっている絵本があります。
『だれがいちばんはやいかな』マイケル・グレイニエツ作 絵本館

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遠目の効くダイナミックな絵とシンプルなストーリー、
いとうひろしさんの訳も絶妙で、
読み語りボランティアでよく使うのですが・・・。

うまやうさぎ、ねこ、にわとりといっしょにかけっこをすることになった、
かたつむり。定石どおり、ほかのどうぶつたちは油断して道草をくい、
かたつむりが一番に。

「こんなのおかしいよ。かたつむりが いちばんのはずないよ」
納得いかないどうぶつだちは、もう一回勝負しよう、といいだします。
今度は、自分の家に一番先に着いたものが勝ち、というルールです。

「かたつむりは、どこにもいかないで よかったんです。
 ぬるっと からにはいれば、そこはもう じぶんのいえ。
 こんども かたつむりがいちばんでした。」

ああ、よかった! となるはずなのですが――。
このラストで子どもたちから、
「かたつむり、ずるーい!」という声が出ることがあるのです。
子どもたちの目線が、かたつむりになっていないんですね。
読み手のせいなのか、子どもたちの年齢と環境に合っていないのか・・・。

そういうときは、「そうお?」と流すだけにとどめるべきなのですが、
あるとき、2,3人の男の子の「ずるーい!」の合唱があんまり大きかったので、
ついうっかり「でも一度目だって、ちゃんと勝ってるんだよ? 
ずるいのは、ほかのどうぶつたちじゃない?」などと反論してしまいました。
ああ~、大失敗。

先週の市内の全校おはなし会でも、二年生の教室でこの本を使いました。
今日はどうかな、とどきどきしながら。

「こんども かたつむりがいちばんでした。」

一人の男の子のうれしそうな声。「そういうことか!」
みんな、とっても胸に落ちた、いい笑顔でした。
よっしゃ! こんな瞬間が、ボランティアのエネルギー源です。

同じく二年生に、「いがぐり星人グリたろう」を読みました。
大島妙子 作・絵 あかね書房
  
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地球に不時着した宇宙船には、クリみたいな小さな宇宙人が。
いっしょに暮らすうちに、その「グリたろう」は大切な家族の一員に。
でも、ある日空からグリたろうの家族が迎えに来て・・・。
別れを告げるグリたろうを、両手に包み込んだ「ぼく」。

ぼくは、この手を ギュッと とじたまま はなせない。
だって、はなしたら さいご。グリたろうが かえっちゃう。

何度読んでも胸がつまります。
この短いフレーズに、なんとたくさんの思いが詰まっていることか。
女の子が涙ぐんでくれたことも。

物語っていいなあ。絵本っていいなあ。
読むたびに襟を正されます。


希望と願いの輝き

  1. 2016/03/28(月) 11:13:09_
  2. 読み語りは楽しいな
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埼玉の女子中学生が、二年ぶりに保護された。
誘拐され、二年間監禁されたすえ、
自力で脱出、保護を求めたという。

この娘さんの家は同じ県内であり、近所の公共施設に
安否情報を求めるポスターが貼られていたので、
目にするたびにご両親の苦しみを思い、無事を願っていた。

ああ、助かってほんとうによかった。
二年間の監禁のあいだに、希望を失わず、
「家に帰るんだ」という意志を保っていくことは、
想像以上に強い精神の力が必要だったことだろう。

こんな絶対に許せない事件を引き合いにして絵本を紹介することを、
お許しいただきたい。
かたや凶悪犯罪の被害者、絵本のストーリーはどちらかというと、偶発的な事故だ。
けれども、ためらいながらも書くことにしよう。
幼児向けの絵本であっても、人生の悲哀と希望を語ることにおいては、
一般文学となんら変りはないのだから。

古典名作絵本、「ロバのシルベスターとまほうの小石」
ウィリアム・スタイグ 文・絵 評論社

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ロバのシルベスターは、山の中で魔法の小石を見つけ、
その力でうっかり岩になってしまう。
家に帰れず、元の自分に戻る望みもないまま月日が過ぎて・・・
翌年の春、両親が、シルベスターと知らずに岩のところにやってくる。
シルベスターは願う。
「ああ、もとのぼくになりたい。ああ、ほんとのぼくに もどりたい!」
そして、願いが通じ、大団円。

シルベスターの悲痛な思い、両親の嘆き、その両方が心にずしずし迫ってきて、
何回子どもたちの前で読み語っても、涙が出そうになる。

埼玉のこの娘さんも、強く願ったのだろう。
「ほんとうのわたし、両親の元で学校に通う、
中学生のわたしに戻りたい!」と。

希望。願い。ありきたりのことばであるが、
失わずに保つことの大きさと輝きを感じさせてくれた。

この娘さんの心の傷ができるだけ癒えますように。

シルベスターのぬいぐるみ、持ってます。手にしているのが、まほうの小石。

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岩になった姿。ロバのおなかにファスナーがあり、
しまってある布を引っ張り出してかぶせると、岩に。

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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
イラスト:大塩七華
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)『となりの猫又ジュリ』(国土社)『クレオパトラ』『マイヤ・プリセツカヤ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師

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