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金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

文章修行はマンガでも

  1. 2020/07/12(日) 15:17:09_
  2. 金亀のひとりごと
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わたしは、ほぼ毎日、何かしらのマンガを読みます。
といっても次々に雑誌や単行本を買っているわけではありません。
何度も読んだ単行本を書棚から引っ張り出し、
絵を楽しんだり、セリフや地の文をじっくり味わったりするのです。
マンガには文学性の高いもの、また児童書に通じるものがたくさんあるのですよ。

文学性の高さでは、これが好き。
ご存知、『三月のライオン』羽海野チカ 作 白泉社

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例えば、15巻目の終わり。
主人公の高校生桐山零は両親と妹を事故で失くし、
しかしプロ棋士の地位を手にし、
偶然知り合った家庭の暖かさを得て、こうつぶやきます。

僕が失くしたもの
手に入れたもの
僕がこれから失くすもの
――そして
失くしたくないもの
――その全部を乗せて 
大きな河は
ただ
流れていくのだ
月を映して

これはもう、詩ですね。
羽海野さんの作品は、絵もものすごく上手で見あきません。

マンガには、コマのなかにオノマトペがたーくさん書かれています。
そのおもしろさといえば、
子猫のチーの毎日を描いた『チーズスイートホーム』こなみかなた 作 講談社

 小

そりそりそり 
(チーが自分の毛づくろいをするとき。
猫の舌はざらざらしているから、ぺろぺろ、ではないのよね)
てってってっ てこてこてこ (歩くとき)
だらららー (走るとき)
くりっ(ふりむくとき)
作者のこなみさん、きっともんのすごく子猫を観察し、考え、
オノマトペをつかみ出しているのでしょう。学ばなくては!
だって、児童書では大人の本以上にオノマトペは大切ですから。
二行も三行も使って説明するより、たった一語のオノマトペで、
状況や心情を語ることができるからね。

『ワカコ酒』新久千映 作 コアミックス

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夜な夜な、酒場で一人酒を楽しむワカコ。
お酒とツマミを楽しみながらつぶやくモノローグがすごくいいんです。
シンプルな文に、出汁やお肉やお刺身や青物の芳香がにじみ出るよう。
例えば9巻目、「菜の花のお浸し」。

それは 不意に現れて
もうこんな季節かと 毎年気づかされる
菜の花のお浸し
「黄緑」でも「黄色」でもない 菜の花だけの色
まだ若い花がいっぱい集まっている
これから花咲く 自然の力強さをもらう

ね、おいしそうでしょう?

さあ、マンガ読んで、文章修行!

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「塩こくり」と新カタカナ語

  1. 2020/06/21(日) 16:10:40_
  2. 金亀のひとりごと
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夜、ぬか床をかきまわし、胡瓜を漬けようとして、手を止めた。
うちは、容器を冷蔵庫に入れているので、漬かるのに時間がかかる。
明朝に食べたくても、一晩だけでは塩気が浅すぎる。
かといって、うっかり丸一日置いてしまうと、しょっぱすぎる。
そうだ、「塩こくり」しよう。
粗塩少々を手に取り、胡瓜にまぶしつけてからぬか床に入れる。
亡き母は、よくこうやって浸かり加減を調整していたっけ。

塩こくりして漬けた胡瓜。心なしか緑色が冴えている気が。
ピンク色のは、前日に漬けた新生姜の梅酢漬け。

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 広辞苑を挽くと、「こくり」はないが、「こくる」はあった。
「こする」「くくる」「その動作をずっと続ける意」だそうだ。
なるほど。「塩をまぶす」のではなく、「塩でこする」のね。
それにしても「塩こくり」という言葉は、母以外の人から聞いたことがない。
すでに死語になっているのか。もともと方言かもしれないが。
消えゆく言葉って、いったいどのくらいあるのだろう。

言葉は消え、はたまた増えていく。
コロナ禍で、新しい言葉、知らなかった言葉を毎日耳にするようになった。
クラスター、オーバーシュート、ロックダウン、ソーシャル・ディスタンス。
テレワーク、オンライン飲み会、リモート会議。
これらは、すでに日本語として定着しているのだろうか。
カタカナ語がピンとこない、相応しい訳語はないのかなと感じるのは、
私だけじゃないと思うが。

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一躍、名が知られた「アマビエさま」のハンカチ。昔から存在してはいたけれど、これも新語のうちかも。

その、リモート、オンラインが、我が家にもやってきた。
このあいだ初のオンライン飲み会を経験し、
今週にはリモート会議の予定もある。
いよいよ、そういう時代に入っていくのだなあ。
正直いって、わたしにとってはかなりの背伸びだ。

けれども、定着してほしいものもある。
学校の「オンライン授業」や一般向けの「オンライン講座」、
勤め人の「テレワーク」だ。

学校現場では、不登校の生徒たちはオンライン授業で救われる。
同調圧力が強く閉塞感のある日本の学校には、
いい意味でバイパスになるだろう。
一般向けの各種講座は、通う時間の余裕がない人にはありがたい。
また、テレワークによって、「会社に行き時間を費やすこと自体が仕事」という
日本型の働き方が、変わっていくかもしれない。

リアルとリモート。これからどんなバランスになっていくのだろうか。
ちょうどいい塩梅になるといいな。
明日は、初めて受講するオンライン講座の日。

エンドウ君の不在

  1. 2020/06/14(日) 15:44:36_
  2. 金亀のひとりごと
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ここ二年ほど、豆ご飯を食べていない。
えんどう豆の炊き込みご飯は大好物なのに。
旬の生のお豆にお目にかからないのだ。
スーパーにはないし、
COOPやポラン広場(有機野菜の宅配店)のカタログにも載ってこない。

さや付きのえんどう豆は、豆をとりだすのが面倒だけど、
色と香りと味は、初夏にふさわしい。
一つずつペリリとむきながら、わたしはよく亡き義父を思い出したものだ。

銀行員だった義父は、退職後小さな家庭菜園で
えんどう豆や玉ねぎやさつまいもを育て、
我が家に送ってくれた。
どっさりと届いたえんどう豆は、早く料理してやらないと固くなってしまう。
せっせとさやをむいて、せっせと食べた。
豆ごはんはもちろんのこと、
薄味でさっと煮て卵とじ、新玉ねぎといっしょにかき揚げ。
ベーコンやソーセージと共にバター煮。
裏ごしして、ポタージュ(絶品中の絶品!)。
食べきれない分は、さっとゆがいて冷凍保存し、いろいろな料理の彩りにした。

子ども好きの義父は、我が家が秋口に帰省したときに、
幼い息子たちにさつまいもの芋掘りをさせてくれたっけ。
ひとうね分、収穫するのを待っていてくれたのだ。
息子たちは、大人になってもちゃんと覚えている。
今思うと、それらはなんと贅沢で輝く時間であったことか。

そのさや付きのグリーンピースは、数年前から見かけなくなり、
はだかんぼの青豆がちんまりとパックで売られるようになった。
去年からは、そのパックも見なくなった。
どこにいっちゃったの、エンドウくーーーん! 

しかたないので、空豆を買ってきて炊き込みごはんにした。

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大失敗だった。空豆は皮を取るととっても柔らかいので、
ぐちゃぐちゃにくずれてしまった。
次に買ったときは、皮ごと醤油で煮てみた。
素朴で、なかなかおいしいものになった。

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それにしても空豆のさやって、ふっかふかで気持ちよさそう。
まさに『そらまめくんのベッド』(なかやみわ 作 福音館書店)だねえ。

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えんどう君の不在を埋めるように、たくさん出回っているのがスナップエンドウだ。
こちらはさやごとポリリッと食べられるから、なんかトクした気分。エヘ。

タジン鍋で、これまた大好きなベビーコーンといっしょにバター蒸し。

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タジン鍋で蒸すと、野菜が2倍は甘くなる。ホントです。

この季節、おいしものをしっかり食べて、巡って来る猛暑に備えなくちゃね。
(といいなから、一年中しっかり食べています)



コロナ禍の日々に コンビニ神さま

  1. 2020/06/07(日) 14:49:58_
  2. 金亀のひとりごと
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孫のけいちゃんが生まれて、間もなく一か月。
世の中はコロナ一色、生まれたときは緊急事態宣言の真っただ中でした。

けいちゃんの出産予定日の一か月前、四月上旬から、
わたしは続けていたことがありました。
わざわざ書くほどの大きなことではないのですが、
神社に毎日お詣りすること。
徒歩3分ほどのところに、小さな小さな、祠サイズの神社があるので、
そこに毎朝、お賽銭用の小銭を手に通っていました。缶ビールを供えた日もありました。

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「こんな時ですが、赤ちゃんが無事にうまれてきますように」「母子ともに健康でありますように」
「新型コロナウイルス感染症が、すみやかに収束しますように」
さらに、毎年女子旅をしている大切な友人が深刻な病で入院、手術することになったので、
「彼女が安全に完全に速やかに治癒し、健康を取り戻せますように」
という願いも加わりました。

四月の終わり、感染者数グラフがどんどん伸びていき、
国中に圧迫感が増していたころから、
この小さな神社で参拝者が目に付くようになりました。
これまで、お詣りする人など見かけたことがなかったのに、
多い時には三人も並んでいたほどです。
小さなお賽銭箱には、たたまれた紙幣が押し込まれていたこともあります。
コロナ禍で「神頼み仲間」が着実に増えていたのです。
ちょっとほっこり。

そして、第二波第三波の懸念があるというものの、
新型コロナウイルス感染者はぐんと減り、
けいちゃんは元気で生後一か月目を迎えようとしています。

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 ぷくぷくしてきました。
    
友人の手術も成功、驚くような回復力で退院しました。
お詣りを始めてから、ちょうど二か月たっていました。

わたしの祈りが神さまに通じた、とは思いませんが、
祈ることで自分の気持ちが落ち着いたのは確かです。
何もできない無力さを嘆くよりも、
祈ることでエネルギーを産むほうがいいに決まっていますから。
そして、遠くの有名神社ではない、徒歩3分で神社に行けることの良さ。
コンビニみたい、といったら神さまに怒られるかもしれませんが、
近くに祈る場所があるっていいものですね。
仏壇も神棚もない我が家ですから、なおのこと。

もう一人の女子旅仲間も病気が発覚、検査中です。
朝のお詣り、まだまだ続けるぞ!

コロナ禍でも季節はめぐり、紫陽花が咲き始めました。
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名前の魔法

  1. 2020/05/26(火) 17:18:58_
  2. 金亀のひとりごと
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お風呂場の床を、ナメクジが這っていた。
窓から入ってきたらしい。
ぎゃーっというほど嫌いではなく、
カワイイというほど好きでもない。
テッシュでつまもうとしたら、きゅっと固く縮こまった。
でろれーんとしている姿の、半分以下のサイズになって、
目地の小さなくぼみにすっぽりはまりこんでしまった。
まあいいかと、放っておいた。

次の日、のろりんこと、床をはっていた。
昨日のナメ太郎かな?
今度は割りばしを持ってきて、つまんで窓から外に出した。

翌日、またナメクジが来訪した。
ナメ次郎だ。
お風呂場の出窓に置いたままの割りばしで、外にぽいっ。

その後も、ナメ三郎、ナメ四郎、とやってくる。
続けてくる日もあれば、数日来ないときもある。
一日に三匹のときもある。
だんだん楽しくなってきた。
ナメ五郎、ナメ六郎、ナメ七郎、ナメ八郎。
来ない日はなんだか物足りない。
会えた日は、「やあ!でも、ここにいてもいいことないよ。お外へお帰り」と、
わりばしでつまみ上げる。
ナメ九朗、ナメ十郎。
そして、現在はナメ十四郎。
ナメ十五郎、明日は会えるかな。
ぜんぜん好きではなかったナメクジなのに。
名前をつけるってすごい。

友人のエッセイスト、山梨在住の水月さえちゃんと、数年前に都内で会った時、
彼女が手袋を忘れたまま山梨に帰ってしまったことがある。
そのときわたしが引き取りにいき、うちに持ち帰った。
次に会う時まで、預かるつもりだった。
それはそれはかわいい、ハリネズミの姿をした手袋だ。
わたしは、左右それぞれに名前をつけた。
左手が男の子で「ハリー」、右手が女の子で「ネリー」。双子ちゃんだ。
名付けたとたんに、ハリーとネリーは、おしゃべりを始めた。
「ねえ、ここはどこ?」「どこなの?」
「わたしたちのおうちより、せまいね」「せまいよ」
「空がちょっとしか見えないよ」「うん、見えないね」
「しょうがないでしょ、ここは埼玉だもん。山梨とは違うの」
「さいたまあ? やだー。ねえ、なんでわたしたち、ここにいるの?」
「なんで?」「なんで?」
 ……と、彼らのおしゃべりは延々と続く。
彼らがあんまり山梨を恋しがるので、しばらくしてわたしは車を雇って(つまり宅配便にて)、
さえちゃんの元へ送り届けたのだった。
今も時おり元気かなと思い出す。
さえちゃんがエッセイに登場させてくれるのが楽しみだ。
成長を見守る親戚の気分。成長しないけれどね。

ナメ太郎一族、そしてハリーとネリー。
「名前」って、魔法だ。

関係ないけれど、庭の薔薇。バラという名前は、茨から来ているそう。

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コロナ禍の今年は、散歩途中のよそのお庭の花が、ひときわきれいに見えました。

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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
イラスト:大塩七華
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)『となりの猫又ジュリ』(国土社)『クレオパトラ』『マイヤ・プリセツカヤ』(学研プラス)『読む喜びをすべての人に 日本点字図書館を創った本間一夫』(佼成出版社)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師

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