金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

カーテンとワンピース

  1. 2017/10/22(日) 18:18:28_
  2. 金亀のひとりごと
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身の回りに、華がない。
小学校3年生からこのかた、
「少年マガジン」で育ってしまったからかな。
特に、生活のなかに花がない。
生け花もアレンジフラワーも無縁だし、花柄の服やインテリアもほとんどない。
女子力の低さは十分わきまえている。

ところが! ふと気づくと家の中にでーんと大きな花柄があった。
ピンクのチューリップ。リビングのカーテンだ。
この生地を選んだのはたしかにわたしなのだが、なぜこの生地が気に入ったのか?

   DSC_1651.jpg


あらためてつくづくとカーテンをながめていたら、
記憶の底からぽわんと浮かび上がってきたものがあった。
子どものころ着ていた、母のお手製の夏のワンピースだ。
濃いピンクの大きなチューリップもようで、白い大きなラウンドカラーがついていた。
かわいいとほめられ、自分でも何度も鏡に映してみた。似合っている、と思った。
服の似合う、似合わないを初めて意識したのは、
このワンピが初めてだったような気がする。

けれども、着ることができたのは幼稚園から一年生の二夏だけだったようだ。
「ああ、もう無理だね、小さくなった」
 二年生の夏、母がそのワンピースを広げ、近所の子にあげるために
またたたむのを、しょんぼりながめていたっけ。
まだきれいなのに。かわいいのに。大好きなのに。
よそいきだったから、あんまり着ていないのに。

大きくなるのはうれしい。
でも、サヨナラしなくてはならないものがあるんだ・・・。
そんな喪失感に気がついたのも、あのときが初めてだったかもしれない。
 
モノを選ぶ。
なぜこれが好きか、理由を深く考えたりしないけれど、
思い出の底から、ひょこっと顔を出すものもある。
なつかしかったり、寂しかったりする。 

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ありがとう、「新語」

  1. 2017/10/08(日) 21:02:38_
  2. 金亀のひとりごと
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このところ、ずっと家の中を片づけている。
わたしが最も苦手とする分野だ。
家の中をきちんと整えるのダメだし、きれいに飾るセンスもない。
だが、片づけはまず捨てることから、ということくらいは心得ている。
とにかく、モノが多すぎる。

こんな古いものは捨てよう。もう使わないよね? 
いやいや、使うかも? とっておく? もったいないもんねえ。

いかーん! 100均の破れザルで迷ってどうする。
すでに人生後半戦もいいところ。
使うかも、なんてヌルイこといってはいかんぞ。
素敵に便利な言葉があるじゃないか。

そう、断捨離だ。
「もったいない」さんには悪いが、「断捨離」氏に出張ってもらいます。

もともと、根の張る持ち物は、ないに等しい。
服も靴もアクセサリー、食器類も安物ばかりだ。

 大好きなピンブローチ、一個数百円のものばかり。

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問題は、増えすぎた本の山だ。古い古い文庫本を、思い切って処分した。
基準は三つ。
★「目」が拒否しないか? 
読む気を奮い立たせなくてはならないくらいに字が細かいものは、×。
★図書館にあるか? 
 図書館に必ずある本は、×。
徒歩5分という好立地だもの、図書館を我が家の書庫にすればいいのだ。
 これで、40年も昔の「赤毛のアン」や「グリム童話集」が一気に引退となる。
 
同じく、ぬいぐるみたちも処分。こちらも40年以上前のものもある。
どうしても残ってほしいいくつかだけ選び、洗った。 きれいになったねー。

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猫氏は35年くらい前のものかな。

サヨナラするものは、写真に残した。
一番つらいのは、本とぬいぐるみたちとの別れだろうから、
これさえ乗り切れば、先が見えてくる。

「断捨離」氏、今日もがんばってます。
新しい言葉は新しい概念を生むし、行動の後押しにもなるんだなあ。

セクハラをはじめとする、パワハラ、マタハラ、などの言葉もそう。
いやがらせを受け傷ついたとしても、
もしや自分が悪かったの?みたいな感覚が一掃され、声を上げやすくなった。
ブラック企業という言葉によって、自分の努力不足などではない、
社会問題なのだと認識しやすくなった。

それにしても、廃棄物の山のなかで個数が多いのは、100均の収納グッズ。

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気軽に買って気軽に捨てるループになってしまっている。
ほとんどのものが不燃ゴミ、圧縮して埋めるしかないシロモノだ。ああ、罪悪感。

ゴメンナサイ、今だけ。今だけ不燃ゴミを多量に出させてください~~~。
そのあとは、できるだけゴミを出さない生活にしますから~~。
・・・と、地球サマにお許しを乞う日々、まだしばらく続きます。


アイヌ文化にどっぷり浸ってきたよ

  1. 2017/10/01(日) 14:39:40_
  2. 金亀のひとりごと
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前回、北海道に旅した帰路の、二度とできない旅を書きましたが、
今回は旅の中身について。
目的は、オトナの修学旅行、
PARC(パルク)自由学校主催の講座「アイヌの言葉と文化を学ぶ」の、
三日間の研修旅行でした。

日高地方の平取・二風谷の民宿に泊まり、
二風谷(にぶたに)アイヌ文化博物館や白老(しらおい)アイヌ民族博物館をたっぷり見学し、
アイヌ語の演習を受けたりする企画。
民宿では、鹿肉のオハウ(汁物)や、キトビロ(アイヌネギ・ギョウジャニンニク)のお浸しなど、楽しみました。

 二風谷アイヌ文化博物館 

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 シマフクロウのカムイの像がお出迎え。
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昨年、『知里幸恵物語 アイヌの「物語」を命がけで伝えた人』(PHP研究所)を
出版させていただきました。

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執筆にあたって、北海道のアイヌ関連の博物館をいくつか見て回りましたが、
二風谷は時間がなくて訪問できなかったので、心に残っていたのです。

博物館では、ユカラやカムイユカラ、ウエペケレなどの口承文芸を聞いたり、
ちょうどいいタイミングで開催されていた二風谷のお祭りで、古式舞踊を見学したり。

 展示品のタマサイ(首飾り) おしゃれでしょー?
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チセ(家) こういう家、好き。住みたいです。ヤワに見えるけれど、厳寒の北海道でもあったかく住めるそうです。
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チセのなかでユカラを聞く。いいねー、囲炉裏。
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わたし、こんな講座を受けていても、アイヌ語はほんの数語の単語を知っている程度で、
せっかくの「生ユカラ」も、意味はわからず(日本語の解説がたより)。
でも、ユカラは、語るというより歌に近いの。使っている音は、ミ・ソ・ラ・シが主流で、
メロディは、「あんたがたどこさ」や「通りゃんせ」みたいな日本のわらべ歌そっくり! 
すごく耳になじんで心地いいですよ。 

博物員さんによると、アイヌ語の学習グループは北海道にいくつもあるけれど
受講生が10数人という感じだそうです。
アイヌの人が今も多く住む平取に限れば、
小学校でアイヌ語の授業がありますが、年間10時間だけだそうです。
言語を習得できる時間じゃないですね。無いよりはましだけれど。
このままでは、アイヌ語を話せる人(高齢者)がなくなっていくスピードに追いつきません。

アイヌ民族は、2008年に正式に日本の先住民族と認められました。
それならば、日本人全体でもっと関心を持ち学ぶべき、と思うんだけどな。
「世界的に見て、日本人の、自国の先住民族への関心度合いはたいへん低いです。
ニュージランドなど、先住民族についてきちっと学ぶカリキュラムが
整備されている国はたくさんあるんですがね」と、博物員さん。
 
なぜ関心が低いのかな。

アイヌの民は、和人(ざっくりいうと日本語を母語とする人々)から何世紀に渡り、
差別や迫害を受けてきました。
差別は今も残り、悲しく悔しい思いをするアイヌの人々も多いのが実情です。
 
漆塗りのお椀が一個(二風谷アイヌ文化博物館・蔵)。
これは、昭和15年ころ亡くなったアイヌの男性が持っていたもの。
 
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若いときに厚岸(アッケシ)の漁場で働かされ、
一年後にようやく故郷に帰れたけれど、
その報酬はこのお椀一個だった、とのこと。

つまり、奴隷とほとんど同じですよ。それでも生きて帰れただけよかったそうです。

そういう自国の汚点を直視したくない気持ちが働いて、
アイヌの歴史文化から目をそらすのかな。
といっても、迫害の事実すら、あんまり知られていないのだけれど・・・。

アイヌの文化は、縄文文化を色濃く残しているそうです。
ということは、一地方の問題ではなく、
日本全土の文化のルーツと思うんだけどね。
それに、血筋をたどれば、そうとうの人々がどっかで
アイヌとつながっているのでは。
 
異なる文化、民族がいっしょに住むのって、ちっとも特別のことじゃない、
それが当たり前の国だってたくさんあります。
スイスは公用語が四つもある国もあるし、アイルランドの第一公用語は、ケルト民族の「ゲール語」です。

国際交流や異文化交流の第一歩は、自国の先住民族の文化を知ることじゃないかな?
違う文化が共存するって、素敵なこと。
違う尺度の価値基準を認めるって、難しいだろうけれど、
それこそが人類のキャパを広げるんじゃないかな。

それにねー、今年大流行の「忖度」とか、「空気を読む」やら「根回し」やら、
子どもから大人まで支配している強大な「同調圧力」やら、
和人が人口のほとんどを占めるこの国ならではの、珍現象かもしれないぞ。



心と胃袋は・・・

  1. 2017/09/25(月) 15:34:52_
  2. 金亀のひとりごと
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 その日、わたしはへろへろだった。

 先週、北海道を二泊三日で旅した。
旅の目的は次回書くとして、今回はその帰路のこと。
最終日、先だって日本列島を縦断した台風が北海道を直撃、
JRが止まってしまった。
わたしは北海道でJRに乗ったことがない。北海道新幹線にも乗りたい。
なので飛行機ではなく、登別からJRで埼玉まで帰ることにして、
指定席を確保していたというのに。
 しかたなく、登別近くの虎杖浜というところの温泉ホテルに泊まることにした。
タクシーの運転手さんが、予約なしで、しかも女の一人客でもOKのところを探してくれたのだ。 

 ホテルの窓から見た海。大荒れでコワイ。このあたりの家、避難勧告も出てました。

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ホテルは夕・朝食ともにバイキング。
これがまた・・・。うら悲しい情緒がたっぷり楽しめましたわ~。ほほほ。
おいしかったのは、じゃがバターだけ。あとは察してくださいな。
でも、そういうわびしさもキライじゃないから、まあいいさ。
海なし県の埼玉人、海を見たら心はアガるし。

翌朝の海。
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しかし・・・この食事で宿泊費14800円は高いだろー。部屋もかなりの残念感。
と、ここで第一章のへろへろ。

 翌日、登別から特急で新函館北斗へ。指定席は取れず、
自由席は昨日移動できなかった人たちでいっぱい、朝の通勤電車並みの混み方だった。
うげー、これは、つらい。これがへろへろの第二章。
しかたなく、デッキのすみっこでおしくらまんじゅうのアンコとなる。
あれこれ体制を立て直し、スーツケースの上にちょこんと腰かけられたから、多少は楽。(チビは便利)

ああーーー! でも人込みで景色が見れない! へろへろ第三章。
あっしはすっごくこの旅程を楽しみにしていたんですぜ。
シートにゆっくり座って、車窓に広がる原野や海や小さな漁港や、大沼の景観を楽しみたかったなあ。

乗り継ぎの北海道新幹線は、かろうじて指定席が取れたから、新函館北斗までの二時間は耐えよう。
・・・と思ったら、途中で列車停止。車輪に不具合が生じたらしい。
結局45分遅れで新函館北斗に到着、予定の新幹線は無情にも行っちまっただよ。へろへろ第四章!
ここで、気持ちがポッキリ折れました。どっと疲れが出て、ふらふら。
だいたいわたしは閉所恐怖症気味で、せまい空間に詰め込まれると気分が黄土色になっていく
(黄土色、というしかない妙な気分の悪さなのだ)。

 よれよれとみどりの窓口へ向かう。
次の新幹線の席を調べてもらうと、1時間後の北海道新幹線で席があるのは盛岡まで。そ
こで下車し、三〇分後に別の便を乗りかえるなら座れるとのこと。
席があるならいいや。

 とにかく、ハラへった(気分は黄土色でも、おなかはへる)。
時刻はすでに午後1時を過ぎている、お弁当買わなくちゃ。
 目当ては、鰊弁当だ。北海道の味といったら、今では蟹や乳製品やジンギスカンだが、
かつては鰊。鰊漁のにぎわいって、すごいものだったらしい。
 これで買えなかったら、へろへろ第五章となるところだったけれど、
ちゃんとありましたよ。神はまだわたしを見放していなかった。

 鰊みがき弁当
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 ふたを開けると、身欠き鰊の煮付けがどーんとのっかている。
けれどもそれを凌駕するのは、黄色い固まりだ。
こ、これはまさかタクワンぶつ切りじゃないよな? 
おそるおそる口に入れると、ぷりぷりぷり。
やったじゃん、でかい数の子だ! 
鰊の卵だもん、このお弁当に入っていても不思議はないのだか、これはサプライズ。
 身欠き鰊もこっくりと味が染みて、子どものころに食べたっきりの懐かしい味だ。
この味を知っているのは、もはや中高年だけかもね。
 このお弁当は函館名物で、昭和41年からあるそうだ。よくぞ残っていてくれました。こんな地味においしいお弁当。
北海道のかつてのやん衆の心意気の名残を、経木の中に見つけたよ。
これで880円はウレシイ。
 
かみしめているうちに、折れかかった心もへれへれの背骨も、しゃんと伸びてきた。
うむ、わたしの心は胃袋とつながっている。

 急ぎの仕事も気になるので、持参したポメラをポチポチ叩く元気も、
湧いてきたのでありました。
 


走っているけどアンダンテ

  1. 2017/09/03(日) 15:33:19_
  2. 金亀のひとりごと
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プチ乗り鉄のカナジ、このところ電車旅はご無沙汰で
寂しい思いをしていましたが、
ようやく乗ってきました! 
SLです。埼玉の秩父鉄道のパレオエクスプレス。
東京から一番近いSLなんですよ!

DSC_1586.jpg

パレオというのは、太古の昔、
秩父地方にまだ海があった時代に
生きていた古生物、パレオパラドキシアに由来しているそう。
カバさんみたいな風貌で、のたのたとユーモラスな動物です。
詳しく知りたい方は、埼玉県立自然の博物館HPへどうぞ。
そう、秩父は昔、海でした。古秩父湾という名前もあるそうです。

SLって、想像以上にでっかいです。
黒光りして堂々と、すごくかっこいいです。

機関室の石炭の釜から炎が見えます。
当たり前だけど、ああ、ほんまに燃やしているんや! と興奮。

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ホームには、煙のにおいが。
あら、なつかしい! 石炭ストーブがあった小学校の教室の匂いです。
朝10時10分、びょぼぼぼ~と雄たけびをあげて
ガッタン、ドッドッドッドドドドドと熊谷駅を出発!

SLは、ゴットンゴットン走ります。
熊谷から三峰口までの約57キロが、2時間40分もかかります。
「エクスプレス」という名が「うふふ」でしょ?
走っているけれど、アンダンテ(歩く速さで)という感じ。
のどかな里山の景色をゆっくり楽しめます。

荒川の渓流
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この速さは、なんだろ、人間の体に合っている? すごく心地よいのです。
人類が得たスピードって、上は宇宙に行けるほどですが、
あのスピードに日常さらされたら、体はあっというまにおかしくなるでしょうね。

ゴットンゴットン、ああ、くつろぐなあ。駅弁食べて、ちょっと居眠りして。

 車内販売の「SL弁当」1000円。
おかずの一つ一つの味付けがていねいで、おいしかったよ。
DSC_1611.jpg

持っていた本は、一度も開きませんでした。

機械との関係って、身の丈にあったレベルがあるように思えてきます。
思い出すのは、昔の足踏みミシン。
子どものころ母が使っていて、
雑巾とかを縫わせてもらった記憶があります。
その後電動になりましたが、足踏みミシンの「自分でキカイを動かしている感」は、
なかなかよかったな。

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 三峰口で。 ここで折り返します。

熊谷着、16時18分。
合計5時間のSL体験で、リラクゼーション効果あったみたい。
慢性的な肩こり腰痛が、あれえ、ちょっと楽?
やっぱり人の体にあっているのかな。
今の人類は、あきらかに急ぎすぎなのでしょうね。




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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師
イラスト:なかむらしんいちろう

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