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金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

ハモン・セラーノの因縁

  1. 2019/02/16(土) 18:43:44_
  2. 金亀のひとりごと
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我が家はブッフェ料理、バイキングというものが大好きだ。
わたしはたいして大食ではないものの、
いろいろな料理をちょびちょび食べるのが好きなので、
ブッフェ店への出撃率は高い。
この日は、埼玉県人が愛する浦和ロイヤルパインズホテルのブッフェレストランへ。

本日は生ハム狙い。
わたしは、生ハムに目がなく、飲み会なんかで生ハムが出てきた日にゃ、
皿を抱え込みたくなる。
しかもこの日は、スペイン産のハモン・セラーノのカッティングサービスがある!

DSC_0607.jpg


ハモン・セラーノという名は、中学生くらいのころに知った。
家にあった料理雑誌の、
スペインを旅した男性の小説家(お名前は失念)のエッセイに出てきたのだ。
彼は、列車のコンパートメントで
怪しげな二人組の男と居合わせる。
その二人組は、大きな袋に骨つきのハムを何本も詰め込んでいて、
中の一本をひょいと取りだし、ナイフで薄く切ってふるまってくれた。
「こりゃすごい。ハモン・セラーノじゃないか?」
「セニョール、よくわかったな。今、盗んできたところだ。
こいつを売りさばいたら、大金が転がり込むぜ!」
そのハムは最高級品だ、日本円で総額100万以上はするだろう――
そんな話だった。

これを読んだ当時は、生ハムなんて見たこともなく、
食卓に並ぶのは、まん丸にスライスされたプレスハムばかり。
ハモン・セラーノという名前は、憧れと共に胃袋と頭に刻み込まれた。

その後、生ハムは近所のスーパーにも並ぶようになったが、
ハモン・セラーノにお目にかかったことはなかった。
しかし、出会いは思わぬところにあった。
となり町にチーズ専門店ができ(なんとこんな埼玉の片田舎に!)、
知人の家を訪問する手土産にしようと買いにいくと、
店の奥にどーんと横たわるのは、大きな骨付きのハム様!
「ハモン・セラーノ」と書いてある。
え~~~!
わたしはチーズの予算をけずり、
ハモン・セラーノを100グラムだけスライスしてもらうことにした。

ナイフをふるうのは、なぜか和服に割烹着をつけた、かなり高齢の女性。
だいじょうぶかな? 
もや~っと不安がよぎったが、任せるしかない。
切ってもらっている間、向かいの店へたい焼きを買いに行く。
戻ったら、ハムとチーズはきれいに包まれていた。

友人宅で、わたしは得意げに包みを出した。
「骨付きのハモン・セラーノを切ってもらったの~~」
しかし、包装紙を開いて、目を疑った。
ぶ厚い! 生姜焼き用にスライスされた豚肉ほどの厚みがある!
その分、枚数は4枚しかない。よ・ん・ま・い・・・。
幸い、人数は四人ではあるけれど、これじゃ寂しすぎる。
わたしは包丁を借りて、一枚を三つくらいの細切れにして、
レタスの上に載せた。
口に入れると・・・固い。ぐにぐにして、噛みきれない。
しかも、しょっぱい。厚みがある分、塩気を強く感じてしまうらしい。
ぶ厚い生ハムが、こんなに食べにくいものとは思わなかった。
せっかくのハモン・セラーノなのに。骨付きなのに。
わたしの憧れを返して!

・・・という、因縁の骨付きハモン・セラーノであったのだ。
今日は存分に食べてやろうじゃないかい!

うすーくひらひらにスライスされた生ハムは、
極上の味だった。
ソフトな塩気が、肉の甘味とほのかなスモークの香を連れてくる。
わたしは何度もおかわりして、そのたびに幸せをかみしめた。

ここのブッフェは、おいしくてリーズナブル。
脂身ごってりのローストビーフや、バサバサの蟹を大皿でごそっと出す、
みたいな雑な料理は皆無。

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この日は、パエリアやガスパチョもおいしかったな。
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選択縁

  1. 2019/02/03(日) 14:49:27_
  2. 金亀のひとりごと
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先日、ちょいとおもしろい飲み会に参加した。
ほとんど未知の人たちの集まりだ。

去年の夏にシベリアに旅行した。
シベリア鉄道のコンパートメントでいっしょになった女性二人組さんが、
海外旅行先で同じツアーになった人たちと、毎月飲み会を開催していて、
それに誘っていただいたのだ。
わたし、飲めない。海外旅行、そんなに行ってない。行く資格ナシ?
それでも、どこか胸がときめいて、
ホイホイと出席のメールを出し、夕暮れの電車で都心の居酒屋へ向かった。

この夜の参加者は、わたしを入れて七名。中高年ばかりだ。
みなさん、海外旅行の回数は、「何回かなあ? 数えきれない」という人ばかり。
「来月はアルジェリア」「わたしはハンガリー」と、ツワモノそろいだ。

仕事は、会社員、お琴の先生、考古学の先生、自営業と、さまざま。
家族や親戚でもご近所でもなく、幼馴染や昔の同僚でもなく、
ご仕事上のお付き合いのある人でもない。
でも、そんな「まっさらなご縁」が、なんだかうれしい。

地縁血縁や「社縁」は、選べない。
対して、こんな緩やかなご縁は、自分で選択していく「選択縁」というものだろう。
そこがおもしろい。選べるって、いい。

飲み会は楽しかった。旅行の話、仕事の話、食べ物の話。
「まっさらな選択縁」のおかげで、
長年付き合ってきた「自分自身」に、ちょっと新風を入れてもらえる気がした。

その二日後は、地元でやっている読書会。
テキストは、はからずも『あの家に暮らす四人の女』。
三浦しおん・作 野口奈緒子・画  中央公論社

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選択縁の物語としても読み取れる物語だ。
古びた洋館に住む、60代の母とアラフォーの娘。
そこに、たまたま親しくなった娘の友人が同居を始め、
さらに友人の会社の後輩が転がり込んできて・・・。
四人の女たちは、ほどよい距離感を保ちながら朝晩食事を共にし、
お花見をしたり、海水浴を計画したり。物騒な事件もある。
そんな日々の暮らしのなかで、縁あった人と、その縁を深めたり、断ち切ったりを、
おだやかに描く。

古いけれど、こんなコミックもあったな。
現代の事情とそぐわなところもあるけれど、しみじみしたいい物語だと思う。
『ルームメイツ』近藤ようこ・作 小学館

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還暦を迎えた同級生女性三人の同居生活を描く。
離婚希望の専業主婦、独身の元教師、元二号さんという、
バラバラな経歴の持ち主が、家族ってなに? 共に生きるってなに? 
と、問い直しながら幸せを探っていく。


この一瞬を

  1. 2019/01/06(日) 13:37:03_
  2. 金亀のひとりごと
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2019年になり、もう一週間。
今年は、初孫のえむちゃん、ママパパと共に年越しをした。

DSC_0545.jpg

えむちゃんは10か月児。なにをしてもかわいい。
たまにしか会えないけれど、
ママパパがせっせと画像映像を家族アルバムアプリに投稿してくれるので、
成長ぶりがリアルタイムでわかる。

それらを日々ながめていると、
息子たちの子育て期が悔やまれてならない。
デジカメもスマホもない時代とはいえ、
写真がすごく少ないのだ。
そのころは、「このかわいい一瞬を残したい」と、
あんまり考えていなかったのだろう。
ちゃんとミルクを飲ませ離乳食を食べさせること、
ちゃんと時間通りに寝かせること、
そんなことで日々追われていたような気がする。
もっと大事なことがあったのに。

この子の、この日は二度と来ない。
だから、今、かわいい!と感じたこの瞬間を慈しもう。
そんなふうに赤ちゃんとの時間を楽しめばよかった。

今さらだけど、息子たちにゴメンナサイ。

その分、えむちゃんのこの一瞬を、楽しもう。
・・・そうか、孫がかわいいって、子育てリベンジの意味もあるのね。

次に会う時には、えむちゃんはもうあんよしているかもしれない。
このかわいいハイハイ期も、終わってしまうんだな。
両手いっしょに、バンバン何かをたたくしぐさも、
おもしろいかっこうでミルクを飲むのも、
見られなくなるかもしれない。

   DSC_0549.jpg

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                                      トイレットペーパーの芯で遊ぶえむちゃん

そう思ったら、えむちゃんが帰っていくときに、
ガラにもなくウルッときてしまった婆でした。


埼玉でこんなイイものが!

  1. 2018/12/09(日) 15:52:40_
  2. 金亀のひとりごと
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おもしろいものを見た。

鮭の遡上だ。しかも、“亜熱帯”である埼玉県内で!
鮭がやってくるのは、群馬県と埼玉県の県境を流れる坂東太郎・利根川。
自然遡上の南限とされている。

出かけていったのは、埼玉県行田市にある「利根大堰」だ。
この堰の三か所に魚道があり、鮭やコイの仲間たちが遡上するらしい。

利根川と利根大堰
② (2)

② (1)

魚道 
④

魚道のわきに「大堰自然の観察室」が設けられていて、

③

ぶ厚いガラス越しに魚道が見えるようになっている。

⑤

鮭の遡上は、12月中旬まで。
そろそろシーズンが終わるころで、鮭の姿、なかなか見えず。
小さいコイの仲間が、やってきた。
水流に逆らっていっしょけんめい上ろうとするが・・・
なかなか進めないの。がんばれ! 

⑦ (2)

しかし、なんのために上るのかな? 鮭と同じく、産卵のため?

待つこと30分。
キターーーーー! 
スマホを構えたけれど、間に合わなかった。
水流、けっこうキツイのに、鮭サマったら速いの!
あっというまに、泳いでいってしまった。

もう一匹来ないかな~と、じっと待つ。
すると・・・来た来た!
コンクリのブロックみたいなところを、
大ジャンプして来た!
思わず拍手。

こんなイイものが、埼玉県内で見れるなんて!
 
⑦ (1)

 アワアワで、鮭サマのすがたを、こんなふうにしか撮れず、残念!
(アワのせいではなく腕のせいです)

ここでは、11月には、産卵観察会も開かれている。

鮭は、この堰を1シーズンに数千匹、遡上するそうだ。
太平洋を渡り、千葉の銚子のほうから利根川に入り、
はるばる埼玉までの長旅だ。
春には、なんと鮎が、数万匹もやってくる。

埼玉人の埼玉知らず。こんないいところがあったなんて!
いっしょに鮭ツアーを楽しんだのは、
埼玉文学館を拠点とする童話サークルのみなさん。
案内役のTさん、ありがとう!

ランチは、行田市内の古民家カフェで。

⑧

車のなかでは、五家宝(ごかぼう、と読みます)やらイガ饅頭やら、
埼玉伝統スイーツの話で大盛り上がり。
埼玉人と、埼玉県内で遊ぶって、楽しいなあ! 

ここ行田には、「のぼうの城」の舞台の忍城や、
さきたま古墳群があり、大好きな街だ。
この魅力、もっともっと、日本中にアピールしてもいいのでは?
埼玉人って、「なーんにもないとこだよ?」が口癖になっているんでない?



親というヒトを思う11月

  1. 2018/11/11(日) 13:09:04_
  2. 金亀のひとりごと
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11月は、わたしの亡き父母の誕生月だ。同じ歳で、同じ月生まれ。
さぞ夫婦仲が良かったのではと想像されるかもしれないが・・・
そこはムニャムニャ。

親というヒトとの関わりは、なかなかやっかいだ。
近すぎて、客観視ができにくい。
性格そのものは、わりと早く把握できても、
これまでの人生、社会とのつながりをひっくるめての「人格」を
落ち着いてとらえられるのは、
もしかして亡き後のことなのかもしれない。

父は、大酒飲みだった。
給料が銀行振込になる前の、給料袋で手渡されていた時代、
母は、給料日にそうとう気をもんだようだ。
父が赤提灯につかまらずに、無事に帰宅しますように、と。
乏しいボーナスの半分を、飲んでしまったこともあったようだ。

だから、父という人はお金に関して大雑把だと思い込んでいたのだが・・・。
わたしが成人してからのこと、父の財布をたまたま目にして、目を見張った。
お札は札入れに、向きをそろえて収めてあり、
小銭に小銭入れに、硬貨の種類ごとにきれい並べられていた。
こんな人だったんだ・・・。
そういえば、服をぬぎ散らかしたり、
私物をリビングに置きっぱなしにしたりは、一切ない人だった。

母は、けっこう強気の人だった。
……ということを、子どものころのわたしは、あまりわかっていなかった。
その強気と、わたしのアマノジャクな性格は、よくぶつかったなあ。
そんな母が、小学生のころのわたしに説いたこと。
【駕籠に乗る人、担ぐ人。そのまた草鞋を作る人】
 母は「世の中、いろんな人がいる。自分とはちがう立場の人への
思いやりを忘れちゃいけない」と語ったように思う。

あの負けん気の強い母が、この慣用句を娘に残したことが、
今となって、おもしろい。

そんなことを思い出す、11月。

父の故郷は山梨。山梨側から見た富士山です。

       177.jpg


亡くなる二年半前の母。

      ばーちゃん

米寿のお祝いで、いっしょけんめい「ハッピーバースディ」を歌ってくれた、
ひ孫のMちゃん(わたしの孫ではありませぬ)。



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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
イラスト:大塩七華
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)『となりの猫又ジュリ』(国土社)『クレオパトラ』『マイヤ・プリセツカヤ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師

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