金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

初めて見るのに、知っている

  1. 2018/06/17(日) 18:30:48_
  2. 金亀のひとりごと
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正直いって、わたしはずっと草間彌生の絵は、
「なにがいいのか、わからーん」ですませてきた。
あの強烈なキャラとド派手な水玉模様に目が眩むだけだった。
ところが、少し前に訪れた埼玉県近代美術館の現代版画の展覧会で、
一枚の版画にくぎ付け。
遠目だったが「これおもしろい!」
近づいてわかった、草間彌生のカボチャの絵だった。

という話を、松本に住む長年の友人・たまさんにしたら、
「草間彌生は松本出身なの。今、大きな展覧会やってるよ。来る?」
ホイホイと出かけましたよ、松本市美術館。
『草間彌生 ALL ABOUT MY LOVE 私の愛のすべて』

絵画や立体作品、鏡を張り巡らせたミラールームなど、展示作品は約180点。
来館者数は10万人を突破したそうだ。

大きなオブジェがお出迎え。美術館全体が水玉もよう。

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せっかく来たのに、もしかして頭から???マークをいっぱい飛ばすだけだったら
どうしよう。
そう心配しながら見て歩いたが、とんでもない。
これはおもしろい!
初めて見るのに、脳の裏側で知っていたような世界だ。
しかもそれが無限に広がっている。
小宇宙であり、細胞のひとつひとつでもあり、生まれる前の世界でもある。

プロフィールに、『幼少から自身の内面に湧き上がる得体の知れないイメージに対して、
芸術をもって闘う』とある。
でも、闘ってねじ伏せたわけではない。
身から噴出させ、その力で自分を動かしているのだろう。
そして彼女は、回遊魚のように書き続けていく。そうしなければ呼吸できないのだろう。
かくて、作品は今日も増殖されている。彼女が生きている限り。

撮影可のゾーン。

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遠目はこういう感じでも  ↓            
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近づくとやっぱり、細胞のようにテンテンがびっしり!DSC_0067.jpg

なんの分野でもそうだと思うが、真剣に観よう、聴こう、感じようとすると、
思っていた以上の贈り物がもらえるものだなあ。

館内のカフェで一休み。
わたしは弥生ちゃんケーキ(ラズベリー)、
     弥生ちゃんケーキ

たまさんは弥生ちゃんパフェ。弥生ちゃんパフェ

少し足をのばすと、あがたの森公園。
旧制松本高校の校舎が、文化会館になっている。

       縣の森 図書館

古い木の匂いが、ぐるぐる興奮していたアタマを冷やしてくれた。



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梅雨を乗り切る色

  1. 2018/06/10(日) 17:00:12_
  2. 金亀のひとりごと
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好きだと気がついたのは、いつのころだろう・・・な~んて、
幼馴染への恋心じゃなくて、紫陽花のこと。

ネズミの額ほどの庭に、一輪だけ紫陽花が咲いた。
ピンクがかった青、わたしの大好きな色合いだ。

あじさい

紫陽花って、なんて梅雨に似合うんだろうと感じたのは
二十歳を過ぎたころだろうか。
小さな花の集まりは、どれだけ大きくなろうとも
清楚さを失わず、どんよりした梅雨空に映えること映えること。
ああ、わたしは紫陽花が好きだなあと気づいたとき、
胸に小さなペンダントをかけたような気がした。
というのは、わたしは完璧な花より団子派。
花が好きだと意識したことって、皆無だったのだ。
こんな情緒欠落人間のわたしでも、好きな花があった。それがうれしかった。

「好きな花」にこのごろ加わったのが、ドクダミ。
あの白い十字架が、はっとするほど美しい。

 ドクダミ

    
好きだな、と思うものが歩く道々にあるって、なんという贅沢だろう。

梅雨時の果物も美しい。
メロンを初めて食べた時のことを覚えている(昭和レトロだね~)
学校から帰ると、薄緑色のみずみずしい果物がおやつに出てきた。
プリンスメロン、と母に教えてもらった。
それまで、果物といえばリンゴやミカンや甲州ブドウという、
和モノばかり食べていたわたしは、びっくらこいた。
こ、これは、王女さまの食べ物だ!
そこで、名前を付けた。「メロリン」と。
母に、「メロンあるよー」と呼ばれるたびに、
「これはメロリンなの!」と力説したっけ。
だから、「プリンス」が王子さまと知ったとき、え‘‘~~と思った。
なんでプリンセスメロンにしなかったのか、今もふしぎだ。

これは赤肉系のクインシーメロン。なんてきれい。

 メロン


こちらは、いただいた梅で作った、梅シロップ。お庭の梅だから、完全無農薬だ。

  梅酒

このさわやかさ、日本の夏を乗り切るにふさわしいね。


知ってしまったら、元には戻れない

  1. 2018/06/03(日) 16:50:56_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
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『さよなら、田中さん』鈴木るりか・作 西原理恵子・絵 小学館
を読んだ。
田中さん

6年生の花ちゃんのうちは、シングルマザー。そして、いわゆる貧困家庭だ。
それでも、建設現場で働く母は、ガハハと明るくビンボー暮らしを笑い飛ばし、
花だっていつも元気。友達にも信頼されている。

物語には、「今」がいっぱい。
友達の前に、離婚して去ったその友達の父が突然現れたり、
お母さんが再婚を考えたり、
ヒッキーになってしまった大家さんの息子やら、
クラスのなかで痴漢よばわりされてしまった男の子やら、登場する。
そのなかにあって、花ちゃんはいろいろ考え悩むが、
それがものすごく自然体だ。

こういう物語って、ひと昔前だと「ケナゲ感」満載だったり、
ちょっと前だと「ヒリヒリ感」が出てたりするけれど、
どっちも違う。
みずみずしく笑える(「カラッと笑える」のとは、ビミョーに違う)。
泣けてきちゃうのに、「泣かされた」感がない。
 
この物語はかなりの話題作だから、知っている方も多いだろう。
作者は、2003年生まれだ。今、中学二年生。
執筆したときは小学生だった。
うーーむ、舌を巻きすぎて、ぐるぐる三重巻きになってしまった。
世界の作り方、表現の押さえ方、人物の描き方、どれも見事。
最後の章の語り手は、クラスの男子になっている。
これにより、花ちゃん母子のイメージがさらにくっきりしたし、
物語に重みと余韻を与えている。この構成にもびっくり。

「中学生作家」ということを知り、読んだのだが、後悔した。
中学生ということを知らずに、読みたかった。
違う感想になったのだろうか? 
それでも、やっぱり舌はぐるぐる巻いただろうか?
たぶん、巻いただろうな。

こちらも、小学生ちゃんの絵本。
『一日だけうさぎ』原知子・作 こばようこ・絵 くもん出版
 
     うさぎ

 「おはなしエンジェル子ども創作コンクール」の最優秀作品が絵本化されたものだ。
その町には、一年に一度だけ住民全員がうさぎになってしまう日がある。
学校でもみんな、うさぎの姿。
学校のうさぎ小屋のうさぎたちと話ができて、「待遇改善」を求められたり、
授業は体育ばかりだったり、人間目線とは違う一日を過ごす。
物語の終わりは、こんな文章。
「まいとし、うさぎの日がおわると、町がまえよりずっといい町になっている。
わたしはこの町がだいすき!」
なんて素敵、こんな町に住みたいなあ。
うさぎになりたいよ~~~!

作者の原知子さん、これを書いたのは小学校三年生のとき。
かわいくてほろっとさせるこのセンス、すごいねえ。
これも、小学生ということを知らずに読みたかったなあ。

藤井聡太くんだけじゃない。天才は育っている。


障がいを克服するって? 

  1. 2018/05/27(日) 17:44:38_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
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5月24日(木)は、一年で一番忙しい日。
日本児童文芸家協会の総会、協会賞・新人賞・功労賞の贈呈式・懇親会が
都内で開かれた。
今年の新人賞は、「僕は上手にしゃべれない」椎野直弥・著 ポプラ社。

ぼくは

吃音に悩む中一の悠太、その葛藤と成長を描く物語だ。
悠太が吃音を克服すべく選んだ部活は、なんと放送部。
そこで出会う新入女子部員や先輩、姉たちに助けられ・・・。
悠太の、うまくしゃべれないもどかしさと悔しさ、嘆きが
ぐいぐい胸のうちに迫ってくる。
それでいて、リズム感のある文章のおかげか、決して暗くはない。

ただ、腹が立ってくるのだ、この物語は。
悠太クンは、周囲の無理解やら嘲笑やらという、
出口のない闇を歩いている、いや歩かされている。
それってもちろん、本人が悪いわけではない、100%周囲の問題。
ならば、「成長」すべきは、本人ではなく、学校であり、社会じゃん?
なのに、なんでこんな苦労を、彼自身が背負わなくてはならないの?
ただでさえ、うまく回らない口と舌をどう動かすかに疲労困憊しているのに?
と、ムカついてしまう。
そう思わせることが、作者の狙いなのかな?

わたしは、「障がいを乗り越えて」という表現が嫌いだ。
(吃音は障がいと認められていないそうだが)
乗り越えて成長すべきは、本人ではないもの。
わたし自身、パラアスリートの物語を二冊、オムニバスでも一作書かせてもらったが、
そういう視点では描かなかった。

『ワンダー』R.J.パラシオ・著 ほるぷ出版

ワンダー


この物語は、全世界で300万部売れたという感動作だ。
映画化されて、まもなく封切りになる。
オーガストは生まれつき顔に障がいがあり、10歳ではじめて学校に通うことに。
生徒たちはオーガストの顔に驚き、悲鳴をあげるが・・・。
しかし、オーガストをめぐる男子たちのなかで起こったあるいじめをきっかけに、
生徒たちは変わっていく。
そう、これは「障がいを克服する」物語ではなく、
回りが偏見を克服する物語だ。

方向は違うけれど、どちらも素晴らしい物語。
「僕は・・・」も、あっというまに版を重ね、すでに6刷りだそうだ。
これらの物語が多くの人に受け入れられているって、素敵だね。





「好き」から見える。

  1. 2018/05/20(日) 16:36:28_
  2. 金亀のひとりごと
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我が家が引っ越ししたのが10月初め。
いくら、そのころめちゃ忙しかったとはいえ、
引っ越し荷物が片付いたのが、先週だったなんて、ひどすぎないか?

その最後の荷物というのが、わたしのお宝。フィギュアのコレクションだった。
(自分のオモチャが最後になるというのが、主婦の良心なのさ)
引っ越し時に、100均で買った小袋に一セットずつ詰めたのを、
取り出して、プラケースにピンセット収めていく。
レイアウトがヘンで、やり直す。手が当たって、落っことす。
ティセットの、シュガーポットのフタ(3ミリ)が、うまくはまらない。  
スベスベマンジュウガニが捕食中の魚のカケラはどこ?

笑えるくらいに不器用なわたし(しかもすでに老眼)にとっては、
好きなモノとはいえ難行苦行だ。
3日かかって、100個あまりのフィギュアを、なんとか飾り終えました!
まったく、アホちゃうか。

わたしはオタク気質ではあるが、コレクターではない。
一つのシリーズをコンプリートしようとかは、無い。
その時々に、オモシロいと思ったものを買ってきた。
それでも、傾向ははっきりしている。
とにかく、食べもの系が多い。

    DSC_0024.jpg
 
  レストランのサンプル風のものと、世界の料理、それに上段はお弁当。
 
フィギュア②

 昭和の給食

それから、動物。ただし、可愛いモフモフではなく、
深海のキテレツな生き物とか、亀、カエルの類。

    ⑤
   こんなのもあります。カラスとゴミ袋、リアルでしょ。

⑥

どうぶつじゃないけど~バルタン星人と科学特捜隊。凝ったアングルのつくりでお気に入り。         
                                       
集める気ではなく、集まってきたもの(いや、買ったのはわたしだけどさ)。
だれに見せるでもなく、何の役に立つでもない、
ただただ、「好き」というモノたち。
だからこそ、素の自分が見えてくる気がする。
そうだ、作家のレイ・ブラッドベリがこんなことを書いていたっけ。
「世界で一番ほしいものはなにか。なにを愛するのか。
それをメモしていくうちに、本当の私が見えてくる」

つまり、本当のわたしとは、「食いしんぼで、ヘンな生き物にシンパシイを感じる」ヤツ。

やっぱ、そうだったか。
 
 こんなのもある。「大阪のおばちゃん」あめちゃん、食べやー!

  フィギュア③


ヲタおばさんはうなずきながら、
新しくゲットした岡本太郎シリーズを飾るのでありました。

DSC_0028.jpg

 なんていい出来! 海洋堂さん、ありがとう。





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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)『となりの猫又ジュリ』(国土社)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師
イラスト:なかむらしんいちろう

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