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金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

昭和の父

  1. 2019/06/16(日) 09:30:00_
  2. 金亀のひとりごと
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今日は、父の日。
わたしの父が他界して、すでに30年近くたつ。
戦争を体験し、高度成長期に働いた、まさに昭和を生きた人だった。
記憶にあるのは、黙々と、一人で酒を飲む姿ばかり。

それでも、たまに父が家のことをする日があった。
初夏、網戸を出してきて取り付けたり、秋にはずして洗って納戸にしまったり、
春にストーブ類を片づけるのは、父の役目だった。
大きな網戸をひょいと苦もなくはずして持ち歩き、
ホースの水でじゃぶじゃぶ洗うのを
見ているのが好きだった。

月に一度、家々の真ん中を流れる側溝の清掃日があった。
つまりドブさらいの日。
わたしの実家は小さな家ばかりが集まっていた一角で、
他県から移り住んだ勤め人世帯ばかり、
父親同士の近所付き合いも、皆無だった。
それでも、父親たちは月に一度、共同でドブさらいをやってくれた。
ドブ板はコンクリ製だったので、男手でないとはずせない。
〇〇ちゃんちのおじさん、〇〇くんちのおじさんが、
ランニングシャツ姿で、重いドブ板をどっこいしょ、とはずしている。
みんな汗びっしょりになる。
うちの父もちゃんと作業に加わっていて、ほっとする。
父は人一倍不愛想だったので、子ども心にハラハラしていたのだろう。
ドブ板が全部はずれると、おばちゃんたちも混じって、
ほうきやちりとりでドブどろをかき出し、
バケツに水をくんできて、水が澄むまで流せば完了。

父親たちが、共に働いているところを見るのが、
わけもなくうれしかったっけ。
むっつりしていた男たちが、作業が進むにつれて笑顔になっていくのが、
新鮮だった。

無口で、わたしや姉と遊んでくれたこともない父の、
ささやかすぎる思い出だ。

さて、令和のパパたちは、昭和とは比較にならないくらい、家庭的なのではないか。
特に、子どものめんどうをよく見るパパが増えたなあと思う。

えむちゃんを寝かしつけて、自身も寝落ちするパパ(撮影はママ)
 
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図書館へ絵本の読み語りに行くと、子どもたちを連れてきたパパが増えたこと!
今日、わたしの読む絵本をお子さんの後ろから熱心にながめていたのも、
若いパパだった。
時代は動いているんだな。



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「父」の数字

  1. 2019/06/09(日) 14:59:23_
  2. 金亀のひとりごと
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  4. _ comment:1
昨日の朝刊に、出生数の記事がでっかく出ていた。
「合計特殊出生率」、とやらが、1.42だったそうで。
これは、一人の女性が生涯に産む(と見込まれる)子どもの数、だそうだ。
年々低下していて、人口の維持に必要な2.07を大きく下回る。

だから、意識低い政治家が、「三人以上は産んでいただきたい」などと言い出すわけで。
(『三人以上産みたくなるような社会にしたい』と言えないのかね?)
ふと、思ったよ。
「三人以上の子どもの父になっていただきたい」
という意味の失言を、聞いたことがない――。

なぜ、女性だけについての数字なんだろ?
《一人の男性が生涯に産ませる子どもの数》の統計って、ないんだろうか?
〈産ませる〉ってところが、なんや怪しげな響きになってしまうが・・・。
「一人の男性が生涯に遺伝上の父親となる子どもの数」?
これもなんだかイマイチやけど。

文言はどうでも、男性の統計があったらいいのに。
でないと、人口減が女性のせいであるかのようなニュアンスがつきまとう。
未婚でも既婚でも、女性にプレッシャーがかかってしまう。

出生数が把握できるのだから、「父」もカウントできるはず。
そうしたら、いかに「父」として子どもを育てる数が少ないか、一目瞭然だ。
「男性の結婚願望が低下しているから」「経済的に無理」
果ては「オトコを追い詰めるな」などなど、出てきそうだな。

そうなると、出生率の低下は、男性個人の問題ではなく、
社会の問題であることが、男性政治家にもわかってもらえるのではないかな。

ちなみに、先日産んだ卵。あ、わたしじゃないですがね。
 DSC_0129.jpg

愛亀キメラ嬢、かなりのトシですが、まだ産めるようだ。
最盛期には30個近くを三回に分けて産んでいたが、
今年はまだこの三個だけ。
あと一回くらい、産みそうだ。というのは、産卵してもまだ食欲が出ないから。
(おなかに卵があると、食べられないらしい)
早く産み終わらないと、飢えてしまう! がんばれ、キメラ!

産む性というのは、いつになってもシンドいものだなあ・・・。

知らなかったのは、わたしだけ?

  1. 2019/05/31(金) 15:45:36_
  2. 金亀のひとりごと
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
4月にスマホを買い替えたときに、びっくりしたことがある。
「古いほうのスマホ、通信機能はもうありませんが、
Wi-Fiは使えますよ」
は? 実はわたし、Wi-Fiって使ったことがない(ここ、笑うトコです)
「Wi-Fiっていうと、あの、あの、公共施設とかホテルとか?」
「はい。おうちのパソコンでも、できますよ」
「ええ~~~! 家でWi-Fiができるのですか?」
「はい。あ、もちろん、新しいほうでもできます」

知らなかった! Wi-Fiって、そういうものだったのか!
わたしのスマホは、何か月に一回、通信速度制限というやつに引っかかり、
どんくさスマホに堕ちることがあった。
(理由は簡単、孫のえむちゃんの映像の見過ぎで、ギガ使い果たしたの)
そっか、Wi-Fi使えばよかったんだ。
さっそく必要なことを入力して(実は苦心惨憺)、
待つこと1秒。おお~~、イチョウの葉っぱみたいなマークが立った!
しかも、死んだはずの古スマホで!
わお、新旧二台使って、えむちゃんが見れる、ググることもできる、PCメールのチェックもできる。
これって、知らなかったのは、わたしだけ?

ちょっと前にみたNHKの「フランケンシュタインの誘惑」を思い出した。
第一回目に、死者を蘇らせようとした科学者のことが語られていた。
死体を板のようなものに乗せて固定し、バタンバタンと板を大きく上下に揺すり、
気道から強制的に空気を送り込んで肺を動かし、血流をうながすというもの。
蘇生したように見えたこともあったとか。

・・・こんなの思い出すの、わたしだけ?
機械オンチのわたしにとっては、
Wi-Fiによって古スマホが蘇生したかのような感覚だった、ということなんです。
(ここ、大いに笑うトコです)

ところで、「フランケンシュタイン」は世界的にものすごく有名な「怪物」だが、
その元となった小説を読んだことのある人は、多くないかもしれない。
『フランケンシュタイン』シェリー・著 新潮文庫(ほかに、光文社古典典新訳文庫もあり)
 
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フランケンシュタインという名は、怪物を創り出した科学者の名前であり、
怪物の名前ではないことだけは、知っていた。
けれども、著者は知らなかった。
マッド・サイエンティストみたなオタク中高年男性、と思い込んでいた。
実は、作者はメアリー・シェリーという、執筆当時19歳という若い女性。
しかも、「駆け落ち婚」をして、息子が生まれた直後から書き始め、
脱稿したあとに第二子が生まれている、という女子力に満ちたママさん作家。
出版になったのは1818年だから、日本はまだ江戸時代だ。
そんな時代に、医学の力で合成人間を創るという着想を得て、
生み出された怪物の悲しみと怒りをテーマに据えるなんて。
天才作家と言えるだろう。
興味のある方、読んでみて!

あれー、Wi-Fiからまったく逸れてしまいました。(^^ゞ


『しあわせの牛乳』を生み出した牛オタクさん

  1. 2019/05/26(日) 16:07:54_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
23日は、日本児童文芸家協会の総会・各賞贈呈式・懇親会の日でした。
この日は、「サークル交流会」「秋木真講演会」も開催されたので、「一年で一番長い日」。
詳しくは、こちらから

今年、受賞されたのは、この方々です。
受賞者

左から、篠崎三朗様(児童文化功労賞)、国松俊英様(児童文芸ノンフィクション文学賞特別賞)、
井上こみち様(児童文化功労賞)、湯山 昭様(児童文化功労賞)、
佐藤慧様(児童文芸ノンフィクション文学賞)、森川成美様(日本児童文芸家協会賞)、
森埜こみち様(児童文芸新人賞)。
おめでとうございます!

受賞作品はどれもおもしろいものばかり。
そのなかから、佐藤慧さんの『しあわせの牛乳』をご紹介します。(写真・安田菜津紀 ポプラ社)

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           なんてかわいい牛さん! 牛への愛が伝わってくるなあ。 

主人公の中洞正さんは、酪農家です。子どものころから牛が大好き。
だから、牛の健康を損ない寿命を縮める「近代酪農」をしたくはなかった。
やがて、「山地(やまち)酪農」という、山の斜面で牛を飼育する酪農法に出合い――。

この山地酪農という方法、わたしは初めて知りました。
牛を山の斜面に放牧するのです。
牛たちは、自分でエサとなる植物を探しだして食べ、
そのフンは土に還り豊かな土壌を生み出します。
北海道のような広大な牧場がなくても十分。
どこも山だらけの日本の風土にあった酪農かもしれません。
これなら、毎日のエサやりも何十キロにもなるフンの片づけに追われることなく、
人間も健康、牛も健康! しぼった牛乳は、当然、自然のおいしさいっぱいです。

ページをめくるたびに、丁寧な取材と優しい目線の文章、
四季折々の牛たちの写真にひきつけられます。
牛をいじめるような「近代酪農」への怒りも、
じわじわとこめられています。

なにより、中洞さんの「牛オタク」ぶりにぐぐっときました。
世界はこんな素敵なオタクによって、より良く変わっていくのですね。

それにしても、われわれはもっと、
食べるものがどうやって作られているのか、知るべきだなあ。
動くこともできない狭い牛舎に閉じ込められ、
草食なのに穀物などの濃厚なエサを食べさせられ太らされ、
子牛を産ませられ乳をしぼられ、
乳の出が悪くなったら肉牛として売られていく牝牛たち。
同じ「女性」として、うわー、「近代酪農」の牛には、なりたくはない、
と胸がズキズキ痛みました。

でも、自分が牛でなくてよかった、と安心してしまったら、何も変わらないですね。

作者の佐藤慧さんと、ちょっとお話しすることができました。
「佐藤さんも、牛がお好きなんでしょう?」とわたし。
「はい、好きです~」と、佐藤さんは牛みたいにおだやかな黒い瞳で、にっこり。
(でも体型は牛とは似ても似つかぬ、長身でシュッとした方です)

佐藤慧さんは、世界の紛争地帯の取材で知られるフォトジャーナリストさんです。
なのに、なんでこんなに児童向けの文章が上手なの~~? 


先住民の誇りと祈りを椅子に託して

  1. 2019/05/19(日) 17:38:53_
  2. 金亀のひとりごと
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
北浦和の埼玉県立近代美術館で、「ブラジル先住民の椅子」展を観てきた。
ブラジル北部から中部に住む17ほどの部族の先住民に伝わるのは
椅子作りの技術。
これらの部族にとっての椅子は、日常生活で使用するだけではなく、
儀式や結婚式に使う、伝統や神話と結びついたものだそうだ。
会場には、えりすぐりの90点の椅子が展示されていた(すべて撮影可)。

伝統的な椅子 
カメ 素朴~。
 DSC_0052.jpg

ほかに美しい幾何学模様などの踏み台型の椅子があったのに、亀に気を取られて写真忘れた・・・。


動物の形の伝統的な椅子 
カエル
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コンドル 
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コウモリ
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エイ  楽し~!
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ホウカンチョウ
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ハチドリ めちゃ綺麗。
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ワニ
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伝統から発展させた、動物の形の椅子
アリクイ  美しすぎる!
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アルマジロ タヌキかと思ったら・・
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カメ
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ハナグマ
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サル
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おもしろいっしょ? まさに芸術品。
残念ながら、触れるのはご法度だから、座り心地はわからなかったけどね。

それにしても、先住民の文化ってどうしてこんなに胸に響くのかなあ。

このブラジルの先住民さんたち、今でも昔のままの暮らしが基本なのだ。
椅子作りの映像があったが、伝統にのっとって、半裸。
家は、大きな竪穴式住居という感じ。

彼ら彼女らは、世界中の先住民の例にもれず、
入植者によってひどい迫害を受けていたのは、歴史の事実だ。
だからこそ、この椅子のデザインに、民族のアイデンティティを、誇りを、
酷い歴史への祈りを込めたのだろう。
動物という「神」の姿によって。


さて、この美術館はもともと、世界の椅子デザイナーさんが手がけた椅子が
実用を兼ねた展示物として置かれている。

 DSC_0088.jpg
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座って休憩するのもOK。
どれも実に座り心地がよくて、疲れを吸い取ってくれるの。



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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
イラスト:大塩七華
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)『となりの猫又ジュリ』(国土社)『クレオパトラ』『マイヤ・プリセツカヤ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師

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