金亀苑 金治直美ブログ

児童書を追いかける日々

二日間の温泉効果

  1. 2016/12/04(日) 17:21:01_
  2. 児童書のぐるり
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  4. _ comment:2
二日の金曜日は、いいでした。
「知里幸恵物語」(PHP研究所)を第二回児童ペン大賞に選んでいただき、
その贈呈式でした。
主催の日本児童ペンクラブのみなさま、ありがとうございました。

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いっしょに大賞を受賞した堀米薫さん(『あきらめないことにしたの』・新日本出版社)や、
絵本賞・かさいまりさん(『クレヨンがおれたとき』くもん出版)、
詩集賞・こやま峰子さん(『未来への伝言』未知谷)、
童話企画賞・創作ユニットKH0DSのみなさん(『いただっき―!』銀の鈴社)、
児童ペン新人賞・ふくだのりこさん(『黄色いかさ』)、
山﨑類範さん(『にじいろの手紙』)も、
みーんなお友だちだったり仲良しの大先輩だったり。
共通の書き手仲間さんもたーくさん来てくださって、ほかほか幸せな一夜でした。
ご来場のみなさま、ありがとうございました。
PHP研究所の山口編集長さんが、
「児童書の世界は、仲良くていいですね」としみじみと。
そうなんです、ほんとうにいい仲間です。
キホン、お人よしが多いんです~~。

この大事な日だってのに、わたしってば二週間ほど前にすっころんで
足の甲の骨に小さなヒビを入れてしまい、松葉杖姿での受賞式でした。とほほ。

翌日は、児童文芸家協会主催の「児童文芸講座・創作ないしょ話」の日。
開催責任者なので、またしても松葉杖姿で協会事務局へ。

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講師は、矢部美智代理事長。
なんせ、「矢部美智代先生にこっそり聞いちゃう」というサブタイトルの講座ですから、
そりゃもう、創作のひけつや出版秘話がてんこもり。
熱気と、この協会らしい和やかな空気がほっかり。

このほかほか感、「手ぬるいぞ」と言わば言え。
日々作品と格闘している我々にとって、
温泉効果があるんですよ。


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衿を正されます

  1. 2016/11/27(日) 18:01:08_
  2. 読み語りは楽しいな
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このところ、気になっている絵本があります。
『だれがいちばんはやいかな』マイケル・グレイニエツ作 絵本館

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遠目の効くダイナミックな絵とシンプルなストーリー、
いとうひろしさんの訳も絶妙で、
読み語りボランティアでよく使うのですが・・・。

うまやうさぎ、ねこ、にわとりといっしょにかけっこをすることになった、
かたつむり。定石どおり、ほかのどうぶつたちは油断して道草をくい、
かたつむりが一番に。

「こんなのおかしいよ。かたつむりが いちばんのはずないよ」
納得いかないどうぶつだちは、もう一回勝負しよう、といいだします。
今度は、自分の家に一番先に着いたものが勝ち、というルールです。

「かたつむりは、どこにもいかないで よかったんです。
 ぬるっと からにはいれば、そこはもう じぶんのいえ。
 こんども かたつむりがいちばんでした。」

ああ、よかった! となるはずなのですが――。
このラストで子どもたちから、
「かたつむり、ずるーい!」という声が出ることがあるのです。
子どもたちの目線が、かたつむりになっていないんですね。
読み手のせいなのか、子どもたちの年齢と環境に合っていないのか・・・。

そういうときは、「そうお?」と流すだけにとどめるべきなのですが、
あるとき、2,3人の男の子の「ずるーい!」の合唱があんまり大きかったので、
ついうっかり「でも一度目だって、ちゃんと勝ってるんだよ? 
ずるいのは、ほかのどうぶつたちじゃない?」などと反論してしまいました。
ああ~、大失敗。

先週の市内の全校おはなし会でも、二年生の教室でこの本を使いました。
今日はどうかな、とどきどきしながら。

「こんども かたつむりがいちばんでした。」

一人の男の子のうれしそうな声。「そういうことか!」
みんな、とっても胸に落ちた、いい笑顔でした。
よっしゃ! こんな瞬間が、ボランティアのエネルギー源です。

同じく二年生に、「いがぐり星人グリたろう」を読みました。
大島妙子 作・絵 あかね書房
  
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地球に不時着した宇宙船には、クリみたいな小さな宇宙人が。
いっしょに暮らすうちに、その「グリたろう」は大切な家族の一員に。
でも、ある日空からグリたろうの家族が迎えに来て・・・。
別れを告げるグリたろうを、両手に包み込んだ「ぼく」。

ぼくは、この手を ギュッと とじたまま はなせない。
だって、はなしたら さいご。グリたろうが かえっちゃう。

何度読んでも胸がつまります。
この短いフレーズに、なんとたくさんの思いが詰まっていることか。
女の子が涙ぐんでくれたことも。

物語っていいなあ。絵本っていいなあ。
読むたびに襟を正されます。


「小母さま」という称号

  1. 2016/11/20(日) 15:07:46_
  2. 金亀のひとりごと
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東京・神楽坂の石畳を歩いていたら、
なんだかわからないうちに地面にコテンと倒れていて、
その0.5秒後には、4人のおばさま方に囲まれていた。
「だいじょうぶ?」
「けがは?」
「救急車呼ぶ?」
「立てる?」
 矢継ぎばやの質問に、ようやく自分が段差に足を取られ、
けっこうハデに転んだことが判明。
それにしても、たまたま通りかかったであろうこのおばさま方の
脊髄反射のごとき素早さ! 
若いころなら、恥ずかしさが先だって「だいじょうぶです!」と
つっぱねたかもしれないが、今はひたすら、ありがたい。
こんな都心で、だれにも声かけられず地べたでうめいていたら、
世を呪ったかもしれない。

痛いもののどうやら足首をひねっただけ、と予測をつける。
「だいじょうぶみたいです。ありがとうございます。
薬局、近くにありますか?」
薬局で湿布薬と固定用のサポーターを買おう。
「すぐそこよ。手を貸してあげる」
 おばさまのなかのお一人が、そう申し出てくださった。
ご厚意に甘えることにして、支えてもらい数メートル先の薬局へ。
「ご親切にありがとうございました。助かりました」
そういえば、「ご親切に」というセンテンス、生まれて初めて口にしたかも。
いい言葉だなあ。

薬局のバックヤードを借りて、着ぶくれてるもろもろ(冷え性なもんで)を脱ぎ、
湿布してサポーターを装着、会場へ向かう。

そう、この日は「おはなしエンジェル子ども創作コンクール」の授賞式。
わたしは選考委員のはしくれとして、出席予定だった。
が、数歩で足が悲鳴をあげた。
「いてえ!いてえ! 医者行け医者~~~」
ハイ、足さんのおっしゃるとおり。
ちょうど持っていた傘を杖がわりに、通常の1、5倍の時間をかけて、
電車3本乗り継いで、
エレベーター無し・三階の我が家まで、へろへろと帰宅。
すぐ近所の外科へ行きましたよ。

入ってすぐのカウンターで保険証だしたら、
「ここは会計です。受付は二階ですので、そこの階段登ってください」
その階段はインテリアとしか思えないような急勾配のらせん階段。
この階段を登れと? 
会計のうら若きオネーサンよ、
わたしが傘にすがって足をひきずってやってきたの、見えていたでしょーが! 
「捻挫してるんですけどっ! エレベーター、ないんですかっっっ!」
実は、エレベーターがあることは知っていたんだけどね、
なんで「エレベーターで二階へ」と言えないのかが理解不能で、
ちょっとイジワルしてやった。

そしたら、会計を済ませたばかりのおばさまが、
「すぐそこよ。いっしょに行きましょう」と、手を取ってくれた。

この日出会ったおばさま方、どうもありがとうございました。 
「小母さま」という表記が、胸にしっくりくる一日でした。
わたしも当然オバサンだけど、
「小母さま」の称号をつけてもらえるオバサンでありたいなあ。
あ、医者の会計嬢にイジワルするんじゃ無理か。

画像は、関係ないけれど神楽坂の商店街で買ったフィギュア。
手前はボールペンです。引き出しも開く箱火鉢。粋だねえ。

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編集者さんと書き手のビミョーな関係に捧げる映画と本

  1. 2016/11/13(日) 10:58:47_
  2. あんな本、こんな本、どんな本?
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
時に師であり、時に生殺与奪の権を持ち、
けれどもかけがえのない同伴者である編集者さん。
どれだけ書き手がふりまわしても親身に支えてくださる、
ありがた~いお人、編集者さん。

作品について、ここをああして、こっちをこうして、
ここを刈り込んで、そこをふくらまして、と指示をいただき、
ひいひい泣きながら書き直しているときは、
「編集者さんてなんていい仕事!」とうらめしくなり、
でもこちらの作業が終わって作品をゆだねたあと、
編集者さんが画家さんやカメラマンさんや取材対象者さんや
印刷会社さんや営業部門さんと打ち合わせし折衝し、
本の体裁を整え発売にこぎつけてくださるわけで、
わたしは絶対こんな仕事はできんわーと拝んでしまいます。

いつも黒子、裏方に徹してくださる編集者さんですが、
主役を張っている映画があります。大都市ではまだ上映しているかな?

「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」
1920年代に実在した編集者パーキンズと、
37歳で早逝した小説家トマス・ウルフとの曲折のある友情と人生を、
淡々と描いています。
パーキンズは、「老人と海」のヘミングウェイや
「グレートギャツビー」のフィッツジェラルドを見出して
世界的な作家に育てあげた名編集者。
ある日彼のもとに、無名の書き手、トマス・ウルフの
げっそりするほど長大な原稿が持ち込まれ・・・。
天才作家の苦しみと喜び、名編集者の迷いと悩み、
作品に対する二人の熱い思い。いろいろと感じることの多い映画でした。

さて、いっぷう変わった本をご紹介。
「まことに残念ですが・・・」アンドレ・バーナード編集、徳間書店

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編集者さんに教えてもらった本です。
持ち込み原稿へのお断り状を、160も集めたもの。
断られた作家さんと、蹴られた作品名が、すごい!
パール・バック(『大地』)やギュンダー・グラス(『ブリキの太鼓』)、
メルヴィル(『白鯨』)などなど。『アンネの日記』も、実は断られていたのだよ!
帯にあるとおり、「み~んな断られて大きくなった!」
H・G・ウエルズの『タイム・マシン』なんて、将来性がない、などと言われているぞ!

こんな世界的作家でもボツになったことがあるんだから・・・。
以下省略。

さて、編集者といえば、「バクマン。」(原作・大場つぐみ、作画・小畑健、集英社)や、
TVドラマで作家仲間の紅涙を誘った
「重版出来!」(作・松田 奈緒子 小学館)も面白かったですね~。

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無題


東北復興応援旅行② 海の恵みにありがとう

  1. 2016/11/06(日) 16:23:28_
  2. 金亀のひとりごと
  3. _ tb:0
  4. _ comment:0
今回の東北復興応援は、現地に泊まって食べての支援です(なんかすんません)。
しっかりどっさり食べてきました。
しかしっ! お料理が運ばれてきたとたん箸をつけ、
さんざん食べ散らかしてから「あっ、写真撮ってない!」
これをえんえんと繰り返したため、料理画像はほとんどナシ。
グルメリポーターには絶対なれないな。

ちょっとリッチに鮑の踊り焼や、気仙沼名物のフカヒレ姿煮。
珍しいものは、マンボウの酢の物、大タコの吸盤の黄身酢かけ、
メカジキのハーモニカ煮(ハーモニカというのは、中骨付きの身のようです。うまい!)、
サメの味噌焼き、それから「もうかの星」。

もうかの星

これは、モウカザメというサメの心臓のお刺身。酢味噌でいただきます。
心臓のことを、このあたりの言葉でホシというそうです。
真っ赤な血の色、食べたらパワー出そう。
臭みは全然なく、知らずに食べたらふつうのお刺身と思うでしょう。
半分以上食べてからあわてて撮影したので、ちょっとしか残っていないの。

魚介の養殖場を、気仙沼大島で漁船に乗せてもらい見学してきました。
          気仙沼大島港で漁船に乗る

船べりに引き上げて見せてくれたのは、袋状の網。
ここに、海流に乗ってそよいできた帆立の卵が入り込んで、
稚貝になるのだそうです。
帆立の卵を着床させるネット
大きくなってきたら袋を変え、4~5年かけて大きく育てます。

その帆立の殻を養殖に使うのは、牡蠣。
海中に沈めた帆立の殻に牡蠣の卵がくっついて、育っていくんですって。
        牡蠣
   牡蠣たちは、帆立殻の座布団の上。

さらに、その牡蠣殻を使って育てるのが、ホヤ。ホヤの底にも、牡蠣殻のザブトンが。
        ホヤ

海から引き揚げたばかりの帆立とホヤを、
漁師さんがその場でさばいてくれました。(帆立の画像は、いっしょに旅したはなさん撮影)
まさしく、濃厚な海の味です。

      活き帆立。海が凝縮
                            ホヤ (2)


帆立、牡蠣、ホヤ、これらは養殖といっても、
海水を漂っている卵が自然にくっついてくるわけですし、
エサをやるわけでもありません。
育てるには、ものすごい手間と時間がかかっていますが、
あくまでもゆりかごは「海」、貝たちのゴハンも「海のなかのもの」。
おいしいわけです。
養殖といっても、天然ものとの境目はあまりないのではないかな。

早朝、気仙沼港での水揚げを見学しました。
旬の戻り鰹、水揚げしたらその場で大きさを選別(はなさん撮影)
       戻り鰹の水揚げ。その場で大きさを選別

ごろんごろん並ぶ鮪。
           気仙沼港のマグロ

「海の恵み」という言葉が、するりと胸に落ちます。
自然の営みに、「ありがとう!」
ほんとうにおいしいものは、海と太陽と土から生まれてくるのですね。

気仙沼も三陸も、津波の惨禍に遭いましたが、養殖や漁業は見事に復活しつつあります。

      気仙沼大島の朝日
    気仙沼大島の朝日(はなさん撮影)

 海猫使いのおばば、カナジ。実は右手にかっぱえびせん
     海猫(はなさん撮影)


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プロフィール

金G亀美

Author:金G亀美
かなじ・なおみ 児童書作家 埼玉県在住。
主な著書に『さらば、猫の手』(岩崎書店)『マタギに育てられたクマ』(佼成出版社)『ミクロ家出の夜に』(国土社)『花粉症のない未来のために』『子リスのカリンとキッコ』(佼成出版社)『知里幸恵物語』(PHP研究所)『私が今日も、泳ぐ理由 パラスイマー一ノ瀬メイ』(学研プラス)など。
日本児童文芸家協会会員 
童話サークル「かざぐるま」会員
よみうりカルチャー・大宮教室
「童話を書いて楽しもう」講師
イラスト:なかむらしんいちろう

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